永代供養は費用が安価、家族の負担を軽減できるサービス

永代供養

近年、さまざまなものが多様化してる時代ですが「永代供養」という言葉をご存じです?

「供養のかたち」にも物事にとらわれずに違った視点や思考をとりいれています。その中の一つに「永代供養」という形態があります。

お墓を建てて供養をする人もいれば、永代供養をする人もいます。つまり手段や方法の違いだけの差で決して無関係なことではないのです。

そのことを踏まえた上で今回は「永代供養」について詳しくお話ししたいと思います。

永代供養とは

永代供養
永代供養は、お墓を見てくれる人がいない、遠方のためお墓参りが困難である等の理由から、寺院や霊園が遺骨の管理や御霊の供養をすることを言います。注意が必要なのは「永代」とは永遠にというわけではない事です。

ここで示す「永代」の意味は、契約期間内の事を言います。お寺さんや霊園によってその期間には違いがあり、17回忌・33回忌・50回忌とバラバラなので契約の際は注意が必要です。

沖縄の場合は、多くのご家庭で33回忌をすると故人の魂は天に召され神様になると信じられており、33回忌をめどに法事を終いにする家庭も多くあります。そのため沖縄県内の霊園では33回忌までの契約となる場合があります。

ほか永代供養にはさまざまな形態のお墓があります。スタンダードな沖縄のお墓の形状をしたお墓であったり、内地墓と呼ばれる本土のお墓の形状をしたお墓、または好きな形を象徴にしたユニークな世界に一つしかないお墓を作られる方もいます。またお墓を持たずに納骨堂に納めているケースもあります。

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霊園墓地の事情と永代供養墓の特徴

契約終了時の遺骨の行方

ここで気になるのは契約終了後の遺骨の行方です。契約期間満了を迎えた遺骨は合祀※され、ほかの方の遺骨とともに永代供養墓に納めら供養されます。ここに絶対的な決まりはなく、遺骨を土に還す意味で埋める方もいます。

遺骨の一部を骨壺に入れ大切に保管し残りを土に埋める方もいるので、契約期間の確認と一緒に満了時の遺骨の所在についても聞いてみると良いでしょう。

※合祀とは・・・ほかの方の遺骨と一緒に合わせて祀る事。骨壺から出した状態で祀り、遺骨は長い年月をかけて土に還ります。

永代供養と個人墓の違い

上記で説明した通り永代供養には契約が存在し、お寺や霊園のルールに沿ってお参りをします。お墓は決められた区画内にあるお墓が隣り合って建てられているケースがほとんどなので、周りへの気遣いやごみのマナーなどを守る必要があります。

一方で個人墓の場合、お墓のデザインに加えて広さなども自分で決める事ができるので、使い勝手などさまざまな作る側の要望や工夫が生かせます。しかし、お墓の管理や維持はすべて自分で行う必要があります。

個人墓を一から建設する際は時間とそれなりの予算が必要です。お墓の建設は、契約から完成までで天候にも左右される可能性も考慮しなければなりません。最短でも5カ月以上の期間を要します。時間とお金がかかるのは避けられない事なのです。

お墓の建設を思い立った時に完成までのビジョンが見えているか?建設の時期は適切か?信頼のおける業者なのか?などさまざまな問題を解決していかなくてはならないので、正直骨の折れる作業です。

どんなお墓でも経年劣化は避ける事ができません。定期的に専門業者を入れてメンテナンスをして代々お墓を守る必要があります。

アドバイス
永代供養や個人墓には双方にメリットデメリットが存在します。どの選択をしても悔いの無いよう先を見据えた判断が必要です。

永代供養の費用・内容・タイプについて

永代供養

「自分には難しいかもしれない…」「お墓を一から建てると思ってはみたものの気力と体力に不安がある…」「予算が用意できるかどうか…」などお思いの方もいるかと思います。そんな方は一度永代供養を考えてみても良いでしょう。

ここでは、永代供養について詳しく紹介していきます。

永代供養の費用

永代供養と一言で言っても費用の面ではピンからキリ(およそ10~60万円)まであります。

安置する場所で金額に差が出ます。例えば、一定年数は所定の場所で遺骨を安置した後に合祀にする場合は比較的安価です。この場合、遺骨を安置する期間によって金額が決まる事が多い傾向にあります。

寺院や霊園内のお墓であれば個人墓と同等程度の金額になり、故人の遺骨のみ安置する場合は年単位の契約になりますが安価です。

いずれも個人墓を建設するよりも期間を要さず、費用も抑えられます。管理費を前払いで納めるお寺さんや霊園が多く、その他追加で支払う事はないシステムになっています。

アドバイス
お寺さんや霊園によっては契約期間を満了しても、更新が可能な場合もあるので一度問い合わせてみると良いでしょう。

永代供養の内容

一般的な手順として、一定期間安置したのちに合祀の流れになります。

一定期間安置された遺骨は契約満了時に合祀となります。合祀で供養された遺骨は長い年月をかけて土に還ります。その後のお参りについては各運営元に問い合わせ行うようにしましょう。

気を付けたいのは、一度合祀で供養された遺骨は骨壺から出され他の方の遺骨とともに土に埋められます。再度手元に戻すことは不可能です。

アドバイス
やり直しがきかない事柄ですのでトラブルが起きることもあります。供養された後に迷いが生じてしまわぬよう、話し合いや検討を重ねた上で判断しましょう。

タイプ別の永代供養

永代供養にはさまざまなタイプが存在します。タイプ別に説明していきましょう。

霊園やお寺内にお墓を購入し管理をしてもらう

個人墓の建設と同じように霊園やお寺の管理地にお墓を購入します。

区画やサイズ、型タイプが決められているので予算に応じて選択ができます。お墓のメンテナンスや管理、その他施設の整備等は契約時に支払う管理費から賄われる事が多いです。

駐車場完備の施設がほとんどなので、個人墓のように駐車場の心配や草刈りなどのメンテナンスの心配はいりません。

条件によっては他の方のお墓と隣り合う形になるので、トラブル防止のためお参りの際のルールやマナーは必須です。構造上隣との距離が近い事があります。故人を偲ぶ和やかな空間ですので気遣いと配慮をもってお参りしましょう。

一定期間安置したのちに合祀にて供養する

墓石を建ててそこに安置するという形でなく、遺骨の入った骨壺や位牌などを小さな個室のような場所に安置し一定の期間が過ぎたのちに合祀するタイプがあります。

この場合は、期間をあらかじめ契約しその期間内はその場所を使う権利が得られると言ったものです。もちろんお参りも可能ですし、合祀供養された後のお参りも可能です。(各運営元への確認が必要です)

安置する期間についてはお寺さんや霊園によって違いがありますので、ご自身に合った年数を選択すると良いでしょう。

散骨や樹木葬

最近増えてきている供養のスタイルとして散骨や樹木葬があります。中でも海洋散骨(海に散骨するスタイル)が有名です。日本では芸能人や海外の著名人も海での散骨を行っています。

散骨

散骨
分骨(海に散骨する分と手元に残しておく分の遺骨を分けておく事)したのち、遺骨を粉砕し粉状にします。粉状になった遺骨を海に散骨します。

散骨について規制する法律はありませんが、(陸地や山中において散骨をする場合、場所によっては条例で散骨を禁止しているところもあるので注意が必要)どこにでも散骨して良いわけではありません。

他人の土地にはもちろんの事、周囲の環境を壊す恐れのない場所で行う必要があります。故人の安らかな永遠の眠りを願い行う儀式です。節度のある、他人に迷惑をかけない行動が求められます。

樹木葬

樹木葬

遺骨を土に埋めて供養する事で「土に還る、自然に還る」と言った意味を持ちます。また、墓石の代わりに樹木を植える事で散骨とは違い樹木自体がお墓の役割を果たします。

植える樹木に関しても日本人に好まれる桜や四季折々で表情を変えてくれるハナミズキなどが人気です。また、ハナミズキはあまり背が高くならず、横に根を這って成長するので樹木葬向きと言えます。

基本的に宗教や宗派を問わないところがほとんどですが、沖縄では樹木葬自体行っているところが少ないので事前に確認が必要です。

その他

前述でもあるように、葬儀や供養の仕方にも多様化が進んでいます。

今後新たな供養の形として宇宙へ散骨するなどの方法も出てくる事でしょう。

ご自身の希望する供養の形をあらかじめ考えておいて実現するのも良いのではないでしょうか?

永代供養を選ぶ人の特徴または合っている人について

夫婦

「夫婦二人きりで後継者がいない」「老後の資金には限りがあるので負担をできる限り減らしたい」と言ったお声があります。

前述で記しているように永代供養を選択する人の中には、個人墓を建設する事が難しい状況に置かれている方が多くいます。

沖縄の場合は、車があれば時間を要するものの移動は可能ですが、お墓のある土地の状態が悪くお墓にたどり着くまでの道のりが悪路で子供やお年寄りにとってお墓参りが容易でない場合があります。

自身の年齢や体力、さらにこれからそう遠くない未来、自分に起こり得るあらゆるリスクを考えた時に個人墓の建設を見送るのも選択のひとつです。

最近では改葬や墓じまいも増えつつある傾向です。それらの背景には核家族化やもとのお墓のある土地から生活圏が移ってしまい足が遠のいてしまう事があります。

予算の面で不安のある方、年齢または体力、健康面で不安がある方、継続的にお墓をみる事が困難な方は永代供養の選択も一つとして考えてみてもいいでしょう。

永代供養の注意点

契約書
永代供養を選択する際に気を付けて欲しいのは、霊園またはお寺などの永代供養の依頼先の規定や契約内容をしっかり把握する事です。

上記でも少し触れましたが、永代供養とはこの先ずっとや未来永劫的にといった意味ではありません。契約期間(各霊園やお寺によってさまざま)を設け、その期間内に利用する権利が与えられているのであって個人墓のように完全な所有になったわけではありません。

言い方を変えれば、供養する場をレンタルしているようなものなのです。

永代供養の文字通りに意味をはき違えてしまうと多少のトラブルになりかねませんので認識しておいてくださいね。

年間単位で利用料を支払う場合もあれば、前払いの制度をとっているお寺さんや霊園があるようです。利用料のほかにも管理費が別途かかる場合もあり、管理費の使途に関しては供養場のメンテナンスや整備等に利用されるところが多いです。個人墓のデメリットでもある「メンテナンスや整備」が大変という点をカバーしてくれます。

契約が満了を迎えても、再度更新ができる霊園もあるので契約の年数や更新の有無、お参りのルールなど把握しておくことが重要です。家族の眠る和やかな空間ですのでルールやマナーを遵守し故人を偲ぶ時間を大切にしたいものですね。

家族と永代供養のお話

家族
これまででお話しした「永代供養の話」は参考になりましたでしょうか?

ご自身の考えがあるようにご家族にも考えや思いがあります。お墓の話しや自分の終活についての話は、多少の話しづらさはあるかもしれません。しかし、自己完結してしまう事のないようにしたいものですね。ご自身の終活であっても、その中には残された家族への思いやりが含まれます。

永代供養を決断された方のお話しを聞くと、「子や孫への負担を考えた時にお墓を維持するための労力や金銭的負担をかけさせたくない」ご自身の事だけでなく、お子さんやお孫さんの事を思い決断されたようですね。もちろんご家族とお話し合いの上で決められた事だと思います。

せっかく苦楽を共にしてきた深い絆のある家族がいるのです、自分の考えを伝えると同時に家族の思いにも耳を傾け、自分にとって、家族にとって「最善の選択」ができるようにしましょう。

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まとめ

今回は「永代供養」についてお話ししました。お墓を生業としているみくには関係ないように思う方もいるかもしれませんね。

ただ昔と違って現代では、供養のかたちにも多様化が進んでいます。だからこそ事前のリサーチや相談を綿密にすることで「最善の選択」ができるようになっています。

「絶対に個人でお墓を建設しなくては…」と言った固定観念にとらわれて、プレッシャーを感じてしまっている方も少なからずいらっしゃるでしょう。今回の記事で、「個人墓」と「永代供養」の違いやメリットデメリットについて知ってもらう事で、ご自身の考えの幅を広げて頂ければと思います。

しかし、自由に選択できるということは、裏を返せば自分に合っていない選択肢も存在して、それらを選んでしまう可能性もゼロではないという事です。大きな決断だから自分一人で背負うことなく、家族やご友人、専門の業者などの話を聞いたうえで吟味し冷静に決めるようにしてみてください。

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