納骨堂は一時的に遺骨を保管する場所?沖縄の風習にこだわらない供養の方法とは

納骨堂

「納骨堂」と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?

生前から付き合いのある檀家さんしか利用できない…お墓を建てるまでの繋ぎの場所…遺骨は葬儀後お墓に直接納骨されるのでそもそも関わりのないところ…といった考えをしている人もいるでしょう。

多くの家庭がお墓を所有している沖縄では、なおさら馴染みの薄い場所です。そういったこともあって自身の生活に関わってこない事にはなかなか深く考える事はありません。

しかし、今からお墓を建てようとお考えの方には、近い将来必要になってくる事があるかもしれません。以上の事を踏まえたうえで今回は納骨堂についてお話しします。

納骨堂とは

そもそも納骨堂とはどのようなものなのか?

沖縄県内にも霊園内に設けられた納骨堂や各寺院に存在します。沖縄では葬儀を終えた後にお墓に直接納骨するのが一般的です。少し前までのイメージでは「一時的に遺骨を保管しておく場所」といった認識でした。

一時的に保管しておく理由としては、お墓の建設が間に合わない、改葬中で納骨ができない、またはお墓内にある遺骨の整理などで納骨ができない場合に利用される事があります。

これらは、皆さんの抱くイメージと近いものがあるのではないでしょうか?

しかし、現在では元来のイメージとは少し違った納骨堂も出てきています。

「霊廊(れいびょう)」と呼ばれる事もあり、故人を偲び参拝に訪れる方が多くいるため「お墓がそこに無くても不便を感じる事なくきちんとお参りできる空間づくり」が演出されています。

遺骨を目の前にして故人を思い、在りし日の思い出を回想してみたり、現在の自身の思いや考えなどを故人に伝える事で日常や現実と向き合っていく…といった精神的な支えや憩いの場として利用される方もいます。

今や一言で「納骨堂」と言っても多くの意味を持ち、さまざまな考えを持った方が利用されているのです。

※霊廟とは

死者を弔う事や死者を祀る事を目的とした建物の事を言います。宗教や宗派によって言い方や形状は違うものの、広い意味での目的や意図は類似しています。

納骨堂、永代供養の違い

納骨堂を調べた時によく出てくる言葉で「永代供養」というワードがあります。関連ワードとしてあげられているこれらの違いについて書いていきます。

上記でも解説しているように納骨堂はお墓に納骨するまでの一時的な期間に遺骨を保管しておく場所、もしくはお墓を持たずしていつでも遺骨を目の前にしてお参りができる、遺族にとって故人を偲ぶことのできる尊い場所でもあります。

一方で「永代供養」とは、ある程度の期間は特定の場所で供養ができます。お墓参りのように時期を問わず自身の都合の良い時に自分のタイミングでお参りする事ができます。

永代供養を行う施設によって形式は違い、お墓のメンテナンスや掃除、トイレや駐車場などのサービスが充実しているところもあります。

個人で購入するお墓と違ってお墓をみる人がいない場合やお墓が遠方でなかなか足を運ぶことが困難であるなどの不都合が生じても供養する事ができます。

しかし、勘違いしやすいのが「永代」とは永久的ではないという事です。

ほとんどのお寺や霊園などで行われる永代供養は期間が定められています。その期間については依頼者やお寺さんや霊園によって違いますが、一般的には17回忌、33回忌、50回忌と定められています。

上記の期間供養された遺骨は期間を満了すると「合祀」という方法で供養されます。

※合祀

合祀とはある一定の場所に遺骨をまとめて供養する方法です。骨壺から出されて葬られます。

さて、ここで注意が必要なのは、合祀で一度埋葬された遺骨は元に戻る事はないという事です。つまり、期間内での契約を満了すると他の方の遺骨とともに長い年月をかけ土に還ります。

他の方の遺骨と一緒になっているので完全に元に戻すことはできませんし、合祀が行われた後で遺骨を回収する事は不可能に近いです。

だからこそ永代供養を考えた時には、上記にあることを頭において慎重に決めなくてはなりません。

以上の事をまとめると・・・

納骨堂

遺骨を一時的、または契約期間内預かってくれる場所。(契約期間に関しては短期や長期など幅広い選択が可能)

遺骨を目の前に自分のタイミングで参拝ができる事から、故人への思いを偲ぶひと時が得られます。合祀が行われる事は少なく、契約期間終了後はお墓に納骨する、契約期間の延長などさまざまな選択肢が提案できる。(もちろんその後合祀する選択肢もあります)

永代供養

多様化が求められる時代背景からさまざまな形態が存在し、契約期間内には参拝を自分のタイミングで遺骨を前に行う事ができます。

契約期間満了時には合祀が行われる事が大半である。合祀を行い、埋葬された遺骨は元に戻す事が難しいです。

※関連記事はこちら
永代供養は費用が安価、家族の負担を軽減できるサービス

納骨堂の費用・内容・タイプについて

ここでは納骨堂へ遺骨を預けるという決断をした場合に必要な知識についてお話ししていきます。肝心な費用ですが、沖縄で一般的なお墓を建築するよりも圧倒的に低いコストで賄えます。

全国的な平均価格では33~50年で約50万円前後と言われています。もちろん夫婦で利用したい(十分なスペースの確保)、期間を短くしたいなどのオプションがあれば価格は変動します。

また、沖縄ではまだ納骨堂という選択肢を選ばれる方が少ないので、多くの前例や多様化するニーズに追いつけていないのが現状です。

限られたスペースやプランに沿った選択になるかと思いますが、「○○年で○○万円~」ということに注目し各お寺や霊園のプランを比較してみるのも一つの考えとして良いかもしれません。

大手の霊園では、依頼者のニーズに合ったプランが提案されています。一方で昔からあるお寺や中小の霊園などでは、理想からはすこし離れてしまう事があります。

もちろん古くから付き合いがあったり、紹介などで融通がきく事もあります。しかし、大半の方はそういったコネクションを持ち合わせていないので妥協を余儀なくされてしまうのが現状です。

元来納骨堂は遺骨の保管のみを目的としたもので最小限のスペースで賄われる事が多くありました。現在では、納骨スペースが少し広がり故人の大切にしていた私物や、思い出の品、故人が好きだったものをお供えできるスペースが設けられるようになりました。

十分なスペースが確保された事でお参りがしやすく、故人を偲ぶ和やかなひと時を過ごす事ができるように変わってきているのです。

ロッカーのように並べられたスペースの場合もあれば、お参りの際にあらかじめ登録してある情報から自動でお骨を目の前に運んでもらえるシステムが確立された納骨堂も存在します。

和やかな空間を演出してくれる音楽や自然の音を流したり、位牌やお花、線香などをプロジェクションマッピングで投影するかたちをとっている納骨堂も存在します。

くにちゃん
いろんな納骨堂があることに驚き!
みーちゃん
宗教や宗派、思想や故人に対しての考えがさまざまあるように供養のかたちも多様化しているんだよー。

納骨堂を選ぶ人の特徴または合っている人について

お墓の引っ越し(改葬)や新たに建設を計画していて納骨堂を一時的に利用する方は多くいます。特に沖縄の場合、昔から継承されたお墓だと多くのお骨が眠っています。自宅に持ち帰るわけにはいかないので尚更、納骨堂が重宝されます。

一方でお墓の建設を望まず、納骨堂での供養を希望する方も近年増加傾向にあります。

  • お墓を建設する体力、気力、財力に自信がない
  • 自分のお墓にお金をかけるよりも、子や孫に財産を残してやりたい
  • 墓守がおらず、お墓の継承に不安がある

以上の理由から永代供養や納骨堂を選択される方がいます。

お墓を建設するのは体力や気力を要するうえに、決して安くはない費用が掛かります。

例えば、生前に「終活」をし、綿密な計画や家族との意思疎通がとれていて、滞りなく理想に近いかたちで遂行された場合は何ら大きな負担はないでしょう。

しかし誰もが実行できるものではありません。

お墓を建てる事が困難、建てたとしても継承ができないケースの背景には現代社会が抱える問題である核家族化が一因としてあります。そのような状況にある場合、本人たちで解決する事が難しいことがあります。

くにちゃん
核家族化でどうなるのか心配だ。
子や孫に財産を残したい…
みーちゃん
費用の面でお墓を建設するよりも圧倒的にコストがかかりません。「自分のお墓にお金をかけるより…」とお思い方には一つの手段として考えてみてほしいよー。

納骨堂の注意点

永代供養や納骨堂の利用は運営する施設、つまり霊園やお寺との契約です。大まかではありますが、最低限気を付けておきたい点を挙げてみると、

  • いつからいつまで使用するのか?
  • 契約期間に相当する料金はいくらなのか?
  • 料金の内訳と追加が生じるケースについての注意事項
  • 契約期間の延長や満了時の対応について
  • 夫婦、家族で利用したい場合の注意事項

その他にも細かい条件や契約内容の確認が必要です。

納骨堂がお墓の建設に比べ低コストと言っても大金が動きます。夫婦で利用したい場合は始めの納骨から期間が始まるのか?もしくは最後の納骨から期間が開始されるのかなど詳しく聞いたのち契約しましょう。

契約後に物言いがあっても、変更が認められないケースがほとんどです。契約の判をついてしまった以上、「思っていたのと違うから変えて欲しい」は通用しません。

くにちゃん
契約で勘違いすることもありそうだ。
どうすればいい?
みーちゃん
事前の確認を惜しまずに契約する事が大切だよ。

家族と納骨堂のお話

前の記事で永代供養のお話をした際にも同じようなお話しをしたのですが、デリケートな部分でもあり大切な事柄なので再度お話しいたします。

自分の希望や家族に伝えたい要望は、エンディングノートに記載しておくことをおすすめします。エンディングノートを作る際には家族としっかり話し合い、家族の気持ちも確認しておくと良いでしょう。

自分の亡き後、ご自身の要望を実現してくれるのは他でもないご家族です。ご自身で希望を押し付けすぎてもいけません。自分にも考えがあるようにご家族にも考えや思いがあります。

ご自身と家族、双方の希望や要望をあげた上で折り合いをつけていき、最終的な結論をエンディングノートに少しずつ記載していくと未然にトラブルが起こるのを防げます。

※関連記事はこちら
家族への負担を減らす終活の必要性とエンディングノートに書く内容について

くにちゃん
デリケートな部分なんだね。
家族間で問題が起きるのは嫌だ…
みーちゃん
人生の終わりの時には穏やかに旅立ちたいという考えは、誰にでもがある事ですよね。家族も同じ考えを持っているはずなので、しっかりとした話し合いが大切ですよ。

まとめ

今回は「納骨堂」についてお話ししました。現代では人が誕生する際にバースデープランという計画を立てられる方もいます。この世に誕生する素晴らしい瞬間を最高の形で演出してあげたいという親の愛情のかけ方の手段だと思います。

同じように、人生の最後を自分の希望に沿って迎えたいと思うのは何ら不思議な事ではありませんし、縁起でもないと思う事でもありません。

そのごく一環として「納骨堂」といったお墓という形にこだわらない供養の方法がある事を忘れないでください。

私たちみくにはお墓を生業としている会社ですが、お客様自身が思うより良い供養のかたちを見つけていくことが大切な事だと考えております。

その手段を模索するきっかけや微力ながらのアドバイスができれば幸いです。

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