墓じまいの費用について徹底解説

終活のために、墓じまいをする人は増えています。沖縄県も例外ではなく、今後のために墓じまいを考えている人は多いです。

古いお墓を移転して新しいお墓にする墓じまいには、どんな費用がかかって幾らかかるのかが心配といった声もあります。また、手続きも複雑なため「何からすればいいの?」といった疑問もあります。

そんな終活に必要な、墓じまいにかかる費用について解説します。

墓じまいとは?何にどんな費用がかかるのか

これまでご先祖さまのご供養に使っていたお墓を引越して、改装するのを墓じまいといいます。

なぜお墓を引越して改装するのかというと「古くなってしまったから」というのもありますが、大家族で生活する家庭が減って親子だけ・子供だけといった核家族化が進んだのが理由です。

生まれ育った沖縄から、ほかの都道府県に進学や就職をして沖縄県外で結婚する人は増えています。そのなかで年齢を重ねてから、今まで住んでいた都道府県を出て沖縄で暮らす人も増えています。

生活のスタイルが複雑になってきたことで、これまで先祖から代々守ってきたお墓を見直さなくてはならなくなったために、墓じまいをする人も増加しているわけです。

墓じまいにかかるお金には事務的な手数料と、実際にお墓を引越し・改装するための費用とがあります。それぞれ、どの程度お金が必要になるかを手続きに添って説明します。

改葬許可証の発行代金

墓じまいのためにお墓を移転するとなったら、今まで埋葬されていた遺骨を別のお墓に移す手続きのために「改葬許可証」が必要になります。

この改葬許可証を申請するためには、いま遺骨を埋葬している市町村で改葬許可申請書をもらって、それに記入・捺印して提出し発行してもらいます。

お墓を所有している親族以外の人が申請する場合は、お墓の所有者または親族が記入したものをお墓のある市町村の役場に提出します。

お墓には2種類あり、個人でお墓を持ってる場合と霊園といって宗教や宗派にとらわれない集合墓地とがあります。そのため改葬許可証の申請は

個人で所有しているお墓から霊園へ

いまお墓のある霊園から別の霊園へ

所有しているお墓を移転する

以上の3通りの書き方があるので、お墓のある市町村に問い合わせるか沖縄県ならホームページから記入の仕方を確認してから書いたほうがいいです。

改葬許可証の発行代金は、お墓のある市町村ごとに違っていて無料~500円程度と幅があります。事前にお墓のある市町村へ問合わせ、て幾ら必要なのか確認しておくとスムーズです。

埋蔵証明書と受入証明書の発行代金

改葬許可証の申請のために、埋蔵証明書と受入証明書も必要になります。

埋蔵証明書は、いま利用しているお墓に遺骨が埋蔵されているのを証明する書類です。戸籍どおりに遺骨者の氏名を記入して、お墓の所有者の実印で捺印して提出します。

受入証明書は、新しいお墓に納骨が決まっているのを証明する書類になります。新しいお墓の管理をするお寺や霊園にお願いして発行してもらいます。

お墓のある市町村によって、証明書にかかる費用はまちまちです。墓じまいするのを決めたら、いま利用しているお墓と新しいお墓の場所それぞれの市町村に電話で問合わせたりホームページで確認するのがいいです。

墓石の解体や撤去にかかる代金

実際にお墓を移すのを決めたら、いま利用しているお墓を撤去しなくてはいけなくなります。このお墓の撤去は、石材店にお願いすることになります。

石の大きさで、お墓の解体や撤去にかかる代金は違っています。というのは、お墓は石塔や霊標・灯籠や巻石など複数の石材部品を組み合わせたものだからです。お墓のパーツや石の大きさによって費用が変わるため、だいたい1坪あたり15万円程度と言われていますが、いくつか石材店を比較して見積もってもらうのがいいです。

また他のお墓と並んでいるなら、その他のお墓を傷つけないように作業しなくてはいけないため専門の業者にお願いするのが一般的です。お墓のパーツが解体されたあとは、リサイクルされます。

ほかに、お墓の土台に基礎があった場合は基礎部分を撤去して更地にする必要もあります。いま利用しているお墓のタイプをよく見てもらって、追加の料金が出ないように最初によく見積もりをしてもらうのが肝心です。

檀家をやめる場合は離檀料を

お墓の移転をするのにお付き合いしているお寺から離れるとなったら、檀家をやめるのを住職へ連絡する必要もあります。離檀(りだん)と呼ばれる手続きですが数世代にわたってお世話になっていますので、住職に家庭の事情を理解していただけるように説明しなければトラブルのもとです。

そして今までご供養していただいた気持ちを、離檀料として支払うのがマナーとなっています。支払う金額は気持ちのものなので決まった金額はなく、お墓を移転するにあたって今後お付き合いが途切れてしまうことを説明して510万円程度を渡します。

お世話になった長さによってはそれ以上の金額を求められるケースもありますけれど、高額になりすぎないように菩提寺の住職としっかり相談して決めるのが望ましいです。

新しいお墓のための費用

古いお墓を移転して、新しくお墓を用意するのにも費用はかかります。

新たにお墓を作る場合は墓地の取得や墓石を購入するため200万円ほどが必要です。そうでなく、いま利用しているお墓の墓石をそのまま移転する方法もあります。

墓石を移転するときには、新しく利用する墓地の永代使用料と墓石を移設する費用がかかります。この場合は新しく墓石を買うよりは価格をおさえられますが、お墓の土台に使う巻石や外柵は新調します。希望するお墓のデザインによって費用は違うので、新しいお墓を購入するまえに石材店と打ち合わせをして予算内で収まるように準備したいです。

お性根抜きの法要とお布施など

菩提寺と相談が済んでお墓の撤去をお願いする石材店が決まり新しいお墓の購入も決まったら、いよいよ今までのお墓を撤去することになります。

お墓にはご先祖が眠っていらっしゃるので「お性根抜き(または魂抜き)」という法要を行ってから、墓石を撤去します。お性根抜きをしないまま墓石の移転や撤去はできないため、お世話になっているお寺と石材店のスケジュールを合わせて撤去作業以前にお性根抜きをするのです。

このお性根抜きの法要にかかる時間は、宗派によって違いますが30分ほどです。今までのお墓とのお別れのために花と供え物を用意して、お墓を掃除してから行います。

お性根抜きの法要が済んだら立ち会ってくれたお坊さんへお布施を渡しますが、あらかじめ幾らと言われていなければ3万円程度を御布施の表書きをして渡すのが一般的です。

お布施を渡すときの封筒は水引なしで良い地方もありますが、お清めの意味で黄白の水引のあるものを使うところもあります。お布施については、法要をお願いする際に確認しておくのがおすすめです。

そのほか、お坊さんへお車代やお膳代を包むケースもあります。お墓まで距離があって来ていただいた場合は御布施とは別に、お車代やお膳代を封筒に入れて渡したほうが好印象です。

お性根抜きに石材店の方がお清めに立ち会った場合は、表書きを「志」として5千円前後を渡すのが慣例となっています。

沖縄県の墓じまい事情とは?費用以外の問題や注意など

これまで門中墓という沖縄ならではのお墓があり清明(シーミー)祭に親戚が集まって年に1度お墓参りをして掃除とお供えがされてきましたが、沖縄県を離れて暮らす家族が増えたことで沖縄県外で主流になっている家族墓を持つ家庭が増えています。

清明祭では、お墓のまわりに生えた草やシダを刈り取ってハブなど危険な生物が近づかないように手入れをします。しかし沖縄県内に高齢者だけが残されている家庭では、その手入れも難しくなり古くなったお墓が荒れてしまっているのも見受けられます。

そうなってしまうとお墓の老朽化も目立つようになり、お墓の傷んだ部分から壊れてしまう恐れもあります。お墓は石でできていますが、30年ほどすれば石にも裂け目ができます。

ご先祖のためもありますが、ゆくゆくは自分もお世話になるお墓のため新しいお墓に改装する墓じまいが求められているのです。

墓じまいの費用以外に供養について親族と相談を

墓じまいは個人で決断できるものではなく、家族や親族との相談が重要です。

それなりの費用もかかり手続きも複雑ですし、お墓を守っていくのは親戚同士や未成年のお子様たちです。今後のお墓参りを気持ちよくするためにも、また自分の供養を続けてもらうためにも家族や親族とよく相談して今後のお墓について語り合ったほうがいいです。

墓じまいの費用を考えるなら家族に負担の無いように

お墓が住んでいる場所から遠く道が整備されていないなどがあり足腰が不自由だったりすると、お墓参りをする機会が減ってしまいます。

今までのお墓の利便性が悪いなら、墓じまいを考える時期でもあります。移転するだけでも相応の費用がかかるものなので、親戚同士で相談しながらプランを立て今後のお墓の場所を決めるのが大切です。

先祖代々守り続けてきたお墓ですから、お墓参りがしやすく家族や親族に負担の少ないお墓へ移転改装するのを考えたいです。

未来のために先祖の想いを託す墓じまいを

沖縄県では時代の変化によって生活環境が変わったのもありますが、年々お墓の傷みが目立つようになり、それを機会に墓じまいを考える人が増えています。

墓じまいにかかる費用は墓石の解体や撤去のほか、檀家をやめる際の離檀料や新たにお墓を設置する費用と、それに関わる法要やお布施に加えて役所で改葬許可証を申請する事務手数料などがあります。

それら全てをあわせると、新しいお墓の購入費用を抑えても3050万円程度の費用になります。今までより立派なお墓にする場合はそれ以上の費用がかかるため自分ひとりで決めるのでなく、お墓参りをする親戚同士でよく相談して場所や規模を話し合ってから墓じまいをするのがベストです。

家族が少ないので負担を減らしたいと考える人も居ますが、いま少なくても将来には家族が増えることはあります。そのとき、お墓参りできる場所がないことは寂しいことです。

令和元年は戦後なみの人口と言われていますが、戦後と変わりなく人口は減少したあと増えるものです。未来の子孫のために新しいお墓を残すための墓じまいをすれば、先祖の想いも未来へ託せるはずですよ。

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