この原稿を書いている2021年の6月下旬は、新型コロナウイルスの感染が拡大している中、沖縄県では緊急事態宣言が出ています。
お葬式も普通にできない状況で、いつになったら亡くなった人をねんごろに葬れるのかと、葬祭業者でもないのに先行きを案ずる今日このごろです。
そんな日々ですが、ネットでお葬式の現場や火葬場での写真撮影について、ちょっとした話題になっているのが目を引きました。
そこで今回は、コロナの終息を見越しつつ、お葬式での写真撮影について考えてみます。
目次
禁止されているわけではない
OKかどうかは状況による
遺体の撮影はやめたほうがいいかも
火葬場は公共の場と考えて
心霊写真になってもよくない
まとめ
禁止されているわけではない
スマホの普及や、そのカメラ機能の向上により、日常生活のどんなシーンでも写真が撮れるようになりました。
したがって、お葬式だろうが火葬場だろうがお墓だろうが、スマホさえ持っていれば写真が撮れる時代になっていますし、実際にそういう人が増えているという話も聞きます。
ただもちろん、マナーとして許されるかどうかは別問題です。
撮影が全面的にNGではなく、地域や個人の考え方によってはOKの場合もあるようです。
そもそも、少なくとも日本ではお葬式で写真撮影が禁止というルールは聞いたことがありません。
実際、親族がそろって記念写真的なものを撮ったり、葬儀社のスタッフが葬儀の様子をカメラに収めたり、参列者が祭壇の様子を撮影したりすることもあります。
OKかどうかは状況による
ただ、こうした撮影OKの場合は、故人が天寿を全うしてお葬式もなごやかに進む、といったケースが多いようです。
したがって、親族はもちろん友人や知人も多く集まり、故人をしのぶととも感謝の気持ちを持って冥福を祈るといった雰囲気になります。
こうした空気感なら、故人との最後の思い出として、スマホを取り出してシャッターを切ってもマナー違反にはならないでしょう。
問題は、お葬式の場が悲しみに満ちている場合です。
たとえば故人が若くして不慮の死を遂げたりして、両親が悲嘆にくれているなどといった状況では、とてもなごやかに故人を送るといった雰囲気ではありません。
そんなときにパシャパシャと写真を撮っていたら、不興を買うどころか激怒されるかも知れません。
状況を考慮して振る舞うのは常識の範囲といっていいでしょう。
遺体の撮影はやめたほうがいいかも
また、雰囲気にかかわらず、遺体の写真を撮るのもやめておいた方が無難です。
なんらかの事情があってどうしても撮りたいなら、遺族の許可を得るのが最低限のマナーでしょう。
特に事情がない場合は、事前に遺族からの要請がない限り、参列者による遺体の撮影は控えるべきだと思います。
まちがっても遺体を盗み撮りしたり、それをSNS等にアップしたりしてはいけません。そうした行為はほとんど犯罪です。
火葬場は公共の場と考えて
火葬場での撮影も注意が必要です。遺族の許可があっても同様です。
というのも、火葬場では複数の遺体を同時に火葬することがあり、いろいろな人々が集まります。いわば公共の施設なのです。
そこで勝手に写真を撮っていると、他人のプライバシーを侵害する恐れがあります。
また、故人の遺体を火葬中に、隣の火葬炉から遺骨が出てきて骨上げが行われていることもあります。
そうしたシーンがカメラに収められ、そこに遺骨が写っていることも考えられます。これは、ご本人からすると自身の裸を写される以上に恥ずかしいことかも知れません。
ましてや、遺骨の写った画像がネット上に出回ったりすると、故人も安らかに眠るどころではないでしょうし、遺族の心情をも大きく傷つけることになります。
心霊写真になってもよくない
また、撮影に失敗して妙な画像になることがあります。変な光が入っていたり、いわゆる多重露光になったりすることも考えられます。
そうした場合、普通のシチュエーションなら笑って済ませられるにしても、火葬場という特殊な場で撮ったものだと心霊写真のように扱われることもあり得ます。
それも気にしなければいいのですが、撮影後に自身やまわりでよくないことが起きたりすると、その写真のせいではないかとか、お祓いをしなくてはいけないとかいった話になるなど、大ごとになりかねません。
まとめ
スマホの普及によってお葬式の場で写真を撮るケースが増えているという話があります。
はっきり禁止されているわけではないにしても、遺族が悲しみに打ちひしがれているときに写真を撮るのは、普通に考えてきわめて失礼です。
撮影する場合は状況を考慮したり、遺族の許可を得るなどしましょう。
火葬場での撮影は、もっときびしくなります。ちなみに、浦添市にあるいなんせ斎苑では、写真や動画の撮影をはっきりと禁止しています。
そうでない火葬場でも、撮影に関して最低限のマナーを守るのは当然のことです。