「お墓を見る人がいない!」~社会に影響を及ぼす無縁墓の問題~

無縁墓(むえんぼ・むえんばか)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。お墓を継ぐ人や、手を合わせる縁故者もいなくなってしまったお墓のこと。つまり縁者がいないお墓という意味です。

管理する人もいないため荒れ放題になってしまっても、勝手に壊すわけにもいかず、特に都市部では社会問題にすらなっています。

そこで今回は、なぜ無縁墓が増えてしまうのか、そしてそれを防ぐにはどうしたらいいのかについて、考えてみたいと思います。

なぜ無縁墓が増えるのか

生前にお墓を建てると、自分が死んだあとはここに入れるんだと安心します。しかし、それだけでは済みません。お墓に入った後、お参りに来たり、管理してくれたりする人がいなければ墓石は汚れ放題、まわりは草ボーボーになってしまいます。

それだけでなく、手を合わせて故人をしのんでくれる人がいなければ、とてもさびしいことになります。なんのためにお墓を建てたのかも、わからなくなってしまいますね。

縁者がいなくなってしまう背景には、さまざまな社会的要因が複合的に絡んでいます。

まず少子高齢化です。ご存じのように出生率が下がって子どもが減っています。その裏には未婚化や非婚化、さらにその根底には非正規労働者が多いという雇用情勢もあります。

高齢化もあげられます。ご先祖様のお墓に参ったり管理したりしたくても体力的にできないということもあります。

さらに価値観の変化から、お墓に行くこと自体が少なくなってきた面もあります。

嘉手納の公園に集中する無縁墓

2018年10月30日付の沖縄タイムスに、概略次のような記事がありました。

「嘉手納町の比謝川周辺に多数の無縁墓が点在し、まちづくりや安全対策に支障をきたしている。特にリニューアル計画が進んでいる屋良城址公園には100基に上る所有者不明の墓がある」

所有者が不明な墓というのは無縁墓のことです。当然管理する人もおらず、放置された状態です。

屋良城址公園内の無縁墓は、戦後の混乱期に建てられたのではないかといわれます。嘉手納といえば、現在でも町の面積の82%が米軍基地で占められています。終戦直後、強制的に土地を取られた人々が狭い地域にひしめき合うように住み、さらに残されたもっと狭いエリアにお墓を建ててしまったため、一ヵ所に多くのお墓が集中してしまったのだといいます。

「家族で継いでいく形態の個人墓は3世代で継承者がいなくなる」という話もあります。また、継ぐべき子や孫が他の市町村や県外に引っ越してしまったというケースもあるでしょう。それらを考えれば戦後75年を経た今、嘉手納の公園に無縁墓があふれる状態は、必然的といえるでしょう。

主にお寺がお墓を管理する本土とは違う沖縄の特性が、それに輪をかけている面もあるかもしれません。

行政も対応に困っている

こうした無縁墓の取り扱いについては、町も頭を抱えています。改葬も可能ですが、所有者に無断で改葬した後、縁者が久しぶりに墓参りに来てみたらお墓がなくなっていたということもあり得ます。すると場合によっては訴えられることすらあるかもしれません。

そこで行政としては、お墓の所有者を探したり、改葬することを伝える立て札を設置したり張り紙をしたりするなど、法律で定められた手順を経て、改葬することになります。

ただ、この手続きにはコストがかかります。嘉手納町は屋良城址公園の所有者不明のお墓を調査しましたが、お骨や骨壺のある30基を含む107基について所有者の手がかりがなかったといいます。この調査には1155万円の費用がかかったそうです。

調査だけでこれだけの費用がかかるのですから、実際に改葬するとなると、億単位のお金がかかりそうです。それだけの予算を確保するのは非常に厳しいといっていいでしょう。

民間地にも無縁墓がある

嘉手納のように、町が管理する公園に無縁墓があって、それを改葬する場合は町が行います。しかし、民間地にある無縁墓は、だれが改葬するのでしょうか。

これは原則としてその土地を管理する人の責任となります。したがって、民間地の場合は、そこを所有する人が行わなければなりません。土地を購入してみたら、そこに無縁墓があって、改葬に多額に費用がかかるとか、建物も建てられないという事態があり得ます。

無縁墓化を避けるにはどうすればいい?

では、無縁墓になるのを避けるにはどうしたらいいでしょうか。

墓を継ぐべき親族とよく相談しておくことはとても重要です。それ以外に、もし今あるお墓が無縁墓になる可能性があるのなら、墓じまいも考えるべきでしょう。墓じまいとは、古いお墓を閉じて、納骨されていたお骨を別のお墓に改葬することです。

それによって、子孫が管理しやすくしたり、あるいは永代供養にしたりするのです。

まとめ

戦争の歴史や宗教などの環境から無縁墓が多い沖縄。これは社会問題化しており、まちづくりの障害になったり、土地活用を妨げたりしています。

こうしたことを避けるには、お墓を建てる前に自分が亡くなった後のことを予測すること、子や孫とよく相談しておくこと、場合によって墓じまいを考えること、などの対策が必要です。

  • エンドオブライフYoutube
  • 沖縄就活案内所Youtube