「故人のお棺になにを入れる?」~実は気をつけたい副葬品の話!

人が亡くなったとき、火葬前、お棺にお花を入れることがよくありますが、それ以外に故人の愛用したものや好きなものを入れる場合があります。

そういうものを副葬品というのですが、なかには入れてはいけないものもあるようです。最近、副葬品について専門家が語った記事を読んで目からウロコが落ちたので、その内容も含めて副葬品に関する注意点を中心に紹介してみます。

ガラスのメガネが溶けて頭蓋骨にべっとり

音楽家や作家、怪談師としても活躍している下駄華緒さんは、火葬技士(火葬技術管理士)1級の資格を持ち、火葬場でも働いたことがあるそうで、その経験から副葬品として入れてはいけないものを語っています。その内容は次の通りです。

まずメガネ。特にガラス製だとマズイとのこと。というのもガラスが溶けてお骨にべったりと貼りついたりすることがあるそうです。頭蓋骨についたりすると、お骨上げの時に親族が驚くかも知れませんし、そもそも死者の尊厳という面からもよくなさそうですね。

ガラスに限らず、金属も溶けてお骨に貼りつくことがあります。たとえば金歯や銀歯、アクセサリー類ですね。故人が女性だと愛用した指輪をはめることもあるかも知れませんが、いちおう気をつけたいものです。

おにぎりは意外に焼け残ったりする

お棺に食べ物を入れることもあります。故人の好物だからという理由もあるでしょうが、そもそも仏教的な観点から、あの世へたどり着くまでの旅の食料としてお米を入れることもあります。

その流れを意識してなのかはわかりませんが、おにぎりを入れることもあります。しかし、実はおにぎりは燃えにくく、黒い固まりとして焼け残ることもあるといいます。ちょっと不気味ですね。

フライドチキンは宗教的な問題も招く

さらに故人の好物だからといって、フライドチキンを入れると大きな問題になりかねません。というのも、火葬して人間の骨が残るように、鶏の骨も残るからです。すると、故人のお骨と鶏の骨が入り混じり、区別がつかなくなります。その結果、お墓に入れるお骨に鶏の骨が混じるわけです。

本来仏教では、人間の骨と畜生の骨をいっしょにお墓へ入れることを禁じています。この点については、愛するペットと同じお墓に入りたいと考える人が多くなって、仏教界でも論議を呼んでいます。

家族同様のペットと同じお墓にというならともかく、フライドチキンの焼け残りといっしょというのは、いかがなものかと思われます。

副葬品はやさしさの現れ

そもそも副葬品とは、死者を弔うため、もしくは死後に必要なものをいっしょに埋葬するものです。その歴史は大変古く、4万年ほど前に絶滅したとされるネアンデルタール人の埋葬跡で花の花粉の化石が見つかっており、副葬品として花が供えられていたと考えられています。

つまり、遺体に副葬品を添えるのは、人間の根元的な行為というか、やさしさの現れであり、それ自体は決してとがめられるものではありません。時代が下るとエジプトのピラミッドや中国の墳墓など、権力者のお墓では価値の高い財宝が遺体とともに埋葬されているのはよく知られています。

実際に火葬場でも自粛要請がある

土葬ならばメガネやおにぎりやフライドチキンをお棺に入れても特に支障はないでしょう。問題なのは火葬の場合です。

そこで調べてみると、お棺に入れてはいけないものを明示している火葬場もありました。浦添市にある「いなんせ斎苑」です。こちらでは次のようにある種の副葬品の自粛を要請しています。

ガラス製品や貴金属製品。メガネ、ビン類、杖、時計、宝石、金、プラチナなど。前述の下駄華緒さんがおっしゃっているのと共通ですね。また、これらの品は炉内で爆発することもあるそうです。

続いて、燃えにくいものや燃えないもの。例としてドライアイス、果物、本、着物・背広等の衣類、陶磁器類、仏像、多量のお土産品など。本や衣類が燃えにくいとは意外ですね。デメリットとしては、火葬時間が延びる、酸素不足による不完全燃焼、ダイオキシン類の発生もあるそうです。

さらに、プラスチック製品や化学繊維製品。例としては人形、おもちゃ、ボール、ぬいぐるみ、化粧品、CDなど。ダイオキシン類の発生、不完全燃焼、火葬時間の延長、焼骨の損傷などの可能性があります。

もちろん危険物もNGです。たとえばペースメーカーなどの体外医療器具、ライター、スプレー缶、電池など。炉内での爆発のおそれがあります。

まとめ

副葬品を入れる場合、ガラスや貴金属は避けましょう。食べ物も気をつけましょう。特に故人がいくら好きだったとしてもフライドチキンは最悪で、同じく骨が残るという理由で豚ソーキや牛スペアリブも入れないように。

トラブルを避けるために、火葬場の係員や葬儀社の担当者とよく事前打ち合わせをしておいた方がよさそうです。

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