同性カップルって、同じお墓に入れるの?~同性カップルのお墓をめぐる話~

LGBT、つまり性的マイノリティ(性的少数者)への理解を深めようという動きが世界的に広まっています。日本でも、かなり遅れた感はありますが、なんとか進み始めています。

LGBTのひとつである同性カップルについては、行政、医療、相続などの面でさまざまな課題が指摘されていますが、お墓の問題もそのひとつでしょう。

そこで今回は、同性カップルのお墓問題について考えてみます。

同性カップルの結婚は認められていない

現在の日本では同性婚が認められていません。その根拠とされているのは日本国憲法第24条にある「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立する」という規定です。

両性、つまり男女間のみで成立するのが結婚であるというのが、日本の現状です。

相続、医療、さまざまな面で問題が

するとどうなるでしょうか。夫婦で認められることが同性カップルでは認められない場合があります。

たとえば、相続。相続権を持つのは配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹などに限られているため、配偶者でない同性パートナーは相続人になることができません

遺言があれば相続人になれるのですが、亡くなった人の親族から遺留分を請求されることがあったり、配偶者としての相続税軽減措置を受けることができなかったりします。

医療現場でも問題があります。急病や事故などで病院に急搬送されたとき、駆けつけた配偶者に病状の説明や緊急手術の同意書への署名を求めることがありますが、病院は同性カップルのパートナーにはそれを認めないのが普通です。

相続などの法的権利に関しては、婚姻届を出していない異性の内縁カップルには認められている部分もありますが、同性カップルにはほぼ認められていないのです。同性カップルは非常に不遇な状況にあるといえます。

自治体が支援の手をさしのべている

こうした、同性カップルの権利拡大を目指すのが、パートナーシップ制度というものです。これは、同性カップルに婚姻関係と同等のパートナーであることを地方自治体が承認するというものです。

2015年に東京都の渋谷区と世田谷区が導入したのを皮切りに、全国的な広がりを見せています。沖縄では2016年に那覇市が導入しました。

那覇市では、パートナーシップ登録を完了した同性カップルに証明書を発行します。これがあれば、市営住宅の入居申し込みの際や医療機関での手続きで夫婦同様に扱われるケースがあります。

また、民間企業でもこの証明書があれば、配偶者同様の福利厚生やサービスが受けられることもあるようです。

門中墓も家族墓も入れないのが普通

さて、同性カップルのお墓の問題です。法的な婚姻関係のない同性パートナーと同じお墓に入ることができるでしょうか。

普通に考えると、伝統的な門中墓にはまず無理でしょう。代々継いでいく家族墓も厳しいかも知れません。

お墓の所有権は、祭祀主宰者という人が持っています。その人が、同性カップルが自分の管理するお墓に入ることを認めるでしょうか。

また、同性カップルの一方が祭祀主宰者である場合に、パートナーを自分のお墓に入れようとしても、周囲が反対するかも知れません。

「あのホモ(レズ)のカップルをうちの墓に入れられるか!」という話になりかねず、そうした偏見がいまだに色濃く残っている以上、普通の門中墓や家族墓に同性カップルがいっしょに入るのは、現状では難しいかも知れません。

所有者本人なら大丈夫

しかし、逆にいえば祭祀主宰者の了解さえ得られれば、同性カップルもいっしょに同じお墓に入れる可能性があります。というのも、お墓に誰のお骨を入れるかに関しては、法律には特に規定がありません。婚姻関係のある配偶者はOKとか、それ以外はダメといった決まりはないのです。

そのため、簡単にいえば、自分でお墓を建てるなりして、そこにパートナーといっしょに入ればいいだけの話なのです。

近年はお寺や霊園でも同性カップルのお骨をいっしょに納骨できるお墓や納骨堂を用意するところもあるそうで、ペア墓とかパートナー墓と呼ばれているといいます。こうした流れは同性カップルたちのお墓問題に明るい光をもたらしそうですね。

まとめ

同性カップルの結婚は、現在の日本では法的に認められていません。それによって、夫婦に認められている権利が同性カップルにはなかったりします。

そこで、自治体がパートナーシップ制度を導入して、市営住宅の申し込みや医療の手続きで通常の夫婦同等の配慮がなされるようにしています。

お墓については、自身が所有権者となることで、パートナーといっしょに同じ墓に入ることが可能です。

お寺や霊園でも同性カップルがいっしょに入れるようにしているところもあります。そうしたお墓をペア墓やパートナー墓と呼んでいます。

  • エンドオブライフYoutube
  • 沖縄就活案内所Youtube