先日、友人のお父さんが亡くなったので、お葬式に行って来ました。また、親戚の女性も亡くなり、こちらのお葬式にも行ってまいりました。
このおふたり同士に接点はなかったのですが、ある共通点がありました。どちらもキリスト教徒だったのです。
特に友人のお父上は牧師さんだったので、お葬式は当然キリスト教式です。普段の仏教式とは違うため、少しとまどうこともありました。そこで、キリスト教のお葬式に参列する際にとまどったりしないよう、今回はその要点について整理しておきたいと思います。
スタイルはカトリックとプロテスタント
真言宗、浄土真宗、日蓮宗・・・。仏教には13の宗派があるといわれます。キリスト教にも細かく分ければきりがないほど多くの宗派がありますが、日本では大まかにカトリックとプロテスタントのふたつと認識されています。
この二宗派の違いは多々あるのですが、とりあえずカトリックは伝統を重んじ、プロテスタントは聖書が絶対、神父はカトリックで結婚できない、牧師はプロテスタントで妻帯できる、くらいのことを踏まえておくとよいかと思います。
キリスト教のお葬式スタイルにもこの二種があると考えていいでしょう。
一般的服装で数珠はなし
お葬式に参列する際の服装は、カトリック、プロテスタントにかかわらず、普通の仏教式のスタイルでかまいません。黒っぽいスーツや夏場ならかりゆしの喪服でもよいでしょう。
ただ、数珠は本来念仏を唱えるときに使われるものなので、キリスト教式のお葬式には持っていかないようにしましょう。
もちろんキンキラキンのアクセサリーなどはやめておいた方が無難です。
最低限の知識とマナーは踏まえて
カトリックのお葬式は神父さんが、プロテスタントは牧師さんが執り行います。内容については細かい違いはいろいろあり、それぞれに宗教的な深い意味はあるのですが、無宗教者が参列する際には、あまり細かいことを意識する必要はないでしょう。
ただ、ある程度の知識およびマナーは心得ておいた方がいいでしょう。そのひとつはカトリックの場合、葬儀と告別式を別々に行うことと葬儀ではミサが行われること。一方のプロテスタントでは葬儀と告別式を分けず、いっしょに行います。
歌は歌いましょう
キリスト教では一般的な日曜礼拝や結婚式に歌は欠かせません。お葬式でも同様です。ただ宗派によって呼び方に違いがあります。カトリックでは聖歌といい、プロテスタントでは賛美歌といいます。
お葬式で歌を歌えといわれてびっくりすることがあるかも知れませんが、聖歌や賛美歌は神をほめたたえる歌なので大切なことです。
したがって、ちゃんと歌えなくても、メロディに合わせてハミングする程度でもOKなので、ぜひ歌ってみましょう。歌詞は式次第などに印刷したものが配られるので、それを参照してください。
お悔やみの言葉はNG
仏教式のお葬式に参列するとき、「ご愁傷様です」とか「惜しい方を亡くされました」などといったお悔やみの言葉を遺族にかけることがよくありますが、キリスト教式ではお悔やみの言葉はNGです。
というのも死に対する観念の違いがあり、キリスト教では死は天国へ召される喜ばしいことと考えるからです。
したがって、どちらかというと慰めの言葉をかける方がよいでしょう。具体的には「○○さんが安らかにお眠りになりますようお祈りします」といった言葉が、特定の宗教を連想させないので適切です。
また、冥福、成仏、供養など、仏教を連想させる言葉は口にしない方が無難です。
香典ではなく御花料
お葬式には欠かせない香典についてもおさえておきましょう。キリスト教式では香典ではなく「御花料」と呼びます。袋も一般的な「御霊前」などと書かれた香典袋は使わない方がいいでしょう。
表に十字架や御花料と書かれた袋を使うのが普通ですが、手に入らない場合は白い封筒に手書きで御花料と書いてもよいでしょう。ちなみに仏教式のお葬式でも、キリスト教徒の方が参列するときに、御花料と書かれた袋を持ってくることがありますので、宗教にかかわらず使えるものだと思います。
焼香ではなく献花
参列する側にとって、仏教式とキリスト教式の最大の違いといえば、焼香の仕方でしょう。これは特に事前知識として頭に入れておきたいものです。
キリスト教式では焼香ではなく、献花を行います。両手でお花を受け取ったら遺族に頭を下げ、祭壇の前の献花台に捧げ、黙祷します。その後、遺族に再度一礼して完了です。
まとめ
キリスト教式のお葬式は、カトリックでは神父さんが、プロテスタントでは牧師さんが執り行います。
式では神様をほめたたえるために聖歌や賛美歌を歌いますので、参列者も歌いましょう。
お悔やみの言葉は必要なく、慰めの言葉を口にしましょう。香典の代わりに御花料と書かれた袋にお金を入れて出します。そして、焼香の代わりに献花をします。