沖縄の個人墓地の問題と納骨や供養の選択肢について

沖縄の個人墓地
現在、沖縄県全体で個人墓地の集約を推進しています。ところが対応が追い付かず至るところに墓地が存在しそれどころか増えている状況です。

以前は個人でお墓を建てる際に規制などがなく、建てる予定の地域の反対がなければ自由に好きな場所に建立することが出来ました。しかし「墓地埋葬法(1948年)」によって規制が行われてからは基本的に個人墓地であっても県の許可をとらなければお墓を建てる事が出来なくなりました。

例えば都市計画に入っている地域に無断でお墓を建てたとしてもその後計画が進めば半ば強制的に撤去または解体を余儀なくされます。これは実際にあったケースです。

需要と供給が追い付いていない

前述のとおり、人口増加などの様々な要因によりお墓を建てられる場所が極端に少なくなってしまい需要と供給が追い付いていない状態です。

ある年のデータを比較すると調査期間6年の間で約1,600基のお墓が建てられており、その内約60基が法に従い墓地の申請を行っています。つまり無許可で約1,500基ものお墓が建てられていることになります。

なぜそうなってしまったのか?

その理由として、一般の市民の墓地埋葬法及びそれに関する法律を知らないという事が考えられます。行政の窓口には墓地に関するパンフレットや墓地申請の手順などが記された資料が置かれていますが、それ自体の認知度が低く、多くの市民に周知されていないのが現状です。

行政でも呼びかけ等をしていますがいまいち弱いように感じられます。前述の通り人口は増える一方でお墓の需要も高まっているので今後ますます懸念される問題です。

納骨堂の施設に遺骨を預ける場合

納骨堂
前述でお墓不足の深刻さをお話ししましたが、一方ではお墓を建てずに「納骨堂」を利用する場合があります。「納骨堂」とは遺族の委託を受けて遺骨を収蔵し、保管するための施設であり、納骨する場合は都道府県知事の許可が必要です。霊堂とも言われています。

沖縄でも近年、納骨堂の利用者が増えています。本来であればお墓を準備するまでの間に一時的に預けておく場所としての認識でしたが現在では納骨堂の施設に長期間預けている方が見受けられます。

県内の霊園内にある納骨堂で調査した資料を見たところ、10年以上の長期的な利用者は全体の約半数以上に上ります。これらの利用者の中には少数派ではありますが遺骨を引き取らない方がいるのも事実です。

上記の方の理由は様々ですが、身寄りの方が県外に出てしまい連絡が取れない、引っ越しを機に連絡取れなくなってしまう、その他避けられない事情の為長期に渡り遺骨を引き取れない方も居ます。個人墓地と霊園墓地の形態についてにもあるようにトラブルが起こることがあるため、管理している方も困惑しているのが現状です。

納骨堂の利用をお考えの方へ

一般的に納骨堂はお墓の準備中、または建てるまでの仮の宿として利用するという解釈になります。お墓完成後、速やかにお墓に納めてあげる事で故人を安心させるのが供養だと思います。

最近増えてきた形態として「永大供養墓」という納骨堂を利用される方も増えています。沖縄県内で言うと、那覇市内は宗教法人の数が多く納骨施設も多く設置されています。寺院施設と合わせてかなりの数が設置されているのですが、現状では満室に近い状態の施設も出てきています。

こちらは利用金額も法人よって差があり、利用条件も各法人で違います。例えば宗教団体の信者さんのみが利用できる施設だったり、葬儀を行わないと利用できないなど取り決め、条件は様々です。霊園墓地の事情と永代供養墓の特徴はこちらのページを参考にしてください。

最近では契約の際には保証人を立てなければならない法人も増えています。

納骨堂の需要が増える可能性が高い

もしかしたらそう遠くない未来には、墓地事情が以前に増して厳しくなり納骨堂を利用する方が急増するかもしれません。

那覇市の調査でもここ20年で需要が増える事が予想されており、その対応の一つとして識名霊園納骨堂の再整備化があります。しかし、需要のペースを考えれば間に合うのかが心配されるところです。