法的に有効な『遺言書』の書き方と書式について

自筆証書遺言は手軽に遺言を残したいときに便利です。

遺言書には自筆遺言書の他に2種類あり、公正証書遺言、秘密証書遺言がありますが、これらは手数料などが必要になってくるため、自筆証書遺言が便利なのです。

その反面、自筆証書遺言は自分で作成して自分で保管しておく遺言書なので、時には無効になってしまうこともあります。

そこで今回は自筆証書遺言を遺す場合に気をつけたい知識をお伝えしていきます。

人によって書式がバラバラ

自筆証書遺言は個人で簡単に作成可能な遺言書ではありますが、その中でも書き方にルールはあります。例えばそのルールの一つとして、「自筆」証書遺言なので全て「自筆」で記す必要があります。

その他の基本的なルールとして以下のようなものがあります。

①戸籍上の名前を署名する

②不動産財産ならば登記簿に従って記載する

③預貯金財産なら銀行名・口座名・種類と口座番号まで記す

④日付も明確に自筆で記す

⑤できるだけ実印で捺印をする

⑥遺言書を封筒に入れて封をする際は、封に割印をする。

このようにいくつかの点を守って遺言書を残してください。

曖昧な財産の指定

遺言書には財産目録を記します。その記された財産目録に沿ってそれぞれの遺産配分を指定していくようにします。

その際に注意していただきたいのが曖昧な表現にしないことです。

例えば、「〇〇市の一戸建てを佐藤太郎に相続する」という記載は曖昧な表現です。
これを具体的に正しく記すと以下のようになります。


私は下記財産を長男である佐藤太郎(昭和○年○月○日)に相続させる。

自宅

所在:〇〇県〇〇市〇〇丁目
家屋番号:〇〇番〇〇(住所)
種類:居宅
構造:鉄筋1階建
床面積:1階200平方メートル

このように記します。

ここでのポイントとして、相続人を特定するために被相続人との関係性と生年月日を明記することがひとつです。

そしてもうひとつ、財産を上記のように住所から種類や構造、床面積まで記載することが重要です。

時折、財産調査が必要になることもありますが、不動産の特定ができない曖昧な表現では無効になるばかりでなく、不動産登記もできないケースが出てきてしまうのです。

あまりに極端な分配内容

どれくらいの遺産を相続人に配分するかはある程度被相続人が決められますが、相続人にはそれぞれ相続する権利があり、その最低限の相続分である「遺留分」があります。

たとえば、自筆証書遺言が遺言書の形式をきちんと満たしており、問題ないものだったとしても、その財産配分がそれぞれの相続人の遺留分を満たしていなければ、その遺言書は無効になる可能性があります。

もし、相続人それぞれがその内容に納得すれば、その遺言書の指示通りに相続を進めることもありますが、相続人の一人でも自分の遺留分を主張する時には全て白紙になります。

さらには、自筆証書遺言に記されてない財産が発覚したときや、記されてない相続人が出てきた場合なども、同じく遺言書の内容は無効になるので、調査を行って確実にしておくのが安心でしょう。

そもそも自筆証書遺言書が見つからない

自筆証書遺言はもっとも手軽で秘密性も高く、被相続人本人だけが知る遺言書になることも少なくありません。

そのため、せっかく遺した遺言書が見つけられず、被相続人の意向が台無しになってしまうこともあります。
他2種類の公正証書遺言と秘密証書遺言は公証役場に提出するため、相続時に確実にその存在は知らされます。

また、もし相続人の一人に自筆証書遺言が見つかったとしても、内容がその相続人にとって好ましくないものだった場合、秘密性が高いだけに、破棄や隠蔽される可能性もあります。

しかし、何らか事情で自筆証書遺言書が開封された場合には、開封したものは5万円以下の過料を払わなければなりません。

公正証書遺言・秘密証書遺言とは

これまでお伝えしてきた内容を鑑みて、自筆証書遺言より、他の種類の形式の遺言を残そうとする方もいらっしゃるかもしれません。

まずは公正証書遺言書です。

これはもっとも確実に有効な遺言書になりますが、公証役場で公証人が証人2人、遺言書本人の立ち会いの元で、遺言書を作成するため、手間も費用もかかります。

次に秘密証書遺言書です。

これは自筆証書遺言書と同じように、自分で作成することができ、内容を誰にも知らされぬまま、封をすることが可能です。また、公証役場に申請するため、存在は知らされますが、必ず有効になるとは限りません。

どちらも証人2人の立会いは不可欠なので、自筆証書遺言書ほど気軽に作成できるものではありませんが、確実性を求めてこれらの方法を選択するのもいいのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は自筆証書遺言書を遺す場合に気をつけておきたいことをお伝えしてきました。

自筆証書遺言は手軽に費用もかからず作成できる反面、書式や必要事項がきちんとしてないと無効になってしまう可能性があります。

これらが心配であれば、紹介した他2つの形式で遺すのが良いでしょう。

しかし自筆証書遺言であれば、変更事項があった際により簡単に変更できるのもメリットの一つです。

終活を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

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