健康寿命を75歳の壁を乗り越えよう。

111認知症の初期症状は「書く」行為でわかる 

文字や五角形など5つのタスク、アルツハイマー病97%検出

日本の平均寿命は80代だが、健康寿命とは?

健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は⇒70代。

男性の健康寿命は75歳に到達していない。

そこで、〝75の壁〟を乗り越えるためには何が必要なのか。

毎回、さまざまな角度から専門家に話を聞いてご紹介する。

第1回は、認知症の初期症状の見分け方を筑波大学附属病院認知症疾患医療センターの新井哲明教授にうかがった。

■記憶以外にも変化

「脳の変化で気づきやすいのはもの忘れですが、初期段階から、

(1)注意力、(2)集中力、(3)遂行機能、(4)身体バランス、

(5)空間認識力などに、影響が生じていることが最近わかってきました」(新井教授)

中でも興味深いのは、⇒「文字や線を書く」行為でわかる診断法があります。

■アルツハイマー病97%検出

新井教授らとIBMリサーチの研究グループは、タブレット端末にペンで描いた線(描画)をAIが自動解析し、高齢者の認知機能低下を検出する新たなツール開発に関する論文を、今年6月にリリースした。

文字や五角形を描くなどの5つのタスクから、(1)描画速度、(2)静止時間、(3)筆圧、(4)ペンの傾きなどを解析することでで、

アルツハイマー病は⇒97%、認知症のリスクが高い軽度認知障害

(MCI)は⇒83%検出することができ、近い将来のスクリーニング検査として期待が寄せられている。

「タブレットに字などを書くときに、健康な人はサラサラとスムーズに書くことができます。

MCIになると、画面からペンを離して考える時間が増えるなど、微妙に異なってくるのです。

アルツハイマー病の方では、ペンを持つ指の圧力も変わってきます。

その変化をAIで解析することで、簡便で安価な新しい検査ツールにしたいと思っています」

認知症の初期症状は「書く」行為でわかる 文字や五角形など5つのタスク、

アルツハイマー病97%検出

■歩行や発声も変わる

脳は、記憶や判断、理解などの知的機能のほかに、全身を動かす運動機能、ものを見る視覚機能など複雑な働きを担っている。

アルツハイマー病などの認知症で脳を構成する神経細胞が変性し、脳の機能が低下すると、記憶や判断能力だけでなく、さまざまな行動に変化が生じやすいのだ。

「私たちは、歩行や声の出し方でも、アルツハイマー病やMCIの方では、変化が見られることをすでに研究発表しています。

MCIの段階で早期に発見すれば、認知症へ移行するのを予防する、あるいは、進行を遅くすることが可能です」

ただし、書く、歩く、声の出し方などのMCIの早期の変化は自覚しにくい。

日常生活動作は、加齢とともに衰えがちだからだ。握力は低下し、歩く速度は遅くなり、滑舌が悪くなっても「年のせい」と思うのが一般的だろう。

「認知症なのか、単なる老化なのか、と思われたときに、現状では、医療機関への受診の敷居がまだ高いと思っています。

私たちは、新しい検査ツールの開発でその敷居を低くし、早期発見・早期治療に役立てていただきたいと思っています」と新井教授は話す。 (取材・安達純子)

■新井哲明(あらい・てつあき) 筑波大学医学医療系教授、筑波大学附属病院精神神経科長、認知症疾患医療センター部長。医学博士。1990年筑波大学医学専門学群卒。東京都精神医学総合研究所主任研究員などを経て2016年から現職

夕刊フジ2022.9/7の記事より転用させて頂きました。

次回は、健康寿命 なぜ郊外より都市部の方長いのか?

についてお知らせいたします。

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