旧暦の1月1日。旧正月を過ぎると、そろそろシーミーのことも頭をよぎるようになってきます。
シーミーはご先祖様を供養するとともに、親族の絆を深める行事でもあるので、楽しみにしている方も多いでしょう。ただ、その前にお墓をきれいにすることも考えなくてはなりません。
近年はコンクリート墓に代わって石造りのお墓も増えており、それにつれて墓石のお手入れも課題になるでしょう。
そこで今回は墓石を美しく保つにはどうしたらいいかを考えてみます。
汚れと経年劣化は宿命
「石の墓なら千年もつ」という話も聞きますが、だからといって放っておくと汚れ放題になるし、風化することだってあるでしょう。
専門家によると、墓石には「汚れ」と「経年劣化」というものがあるそうで、これをなんとかするのが美しさと長持ちの秘訣のようです。
そこでお手入れが必要なのですが、墓石といっても種類がたくさんあり、それぞれ方法が違います。
なので、事前に専門家に確認するのが無難。まずは、お墓を建ててくれた業者さんに聞くのが確実でしょう。
汚れの原因はホコリから動物のフンまで
さて、「汚れ」についてですが、これは毎日蓄積されていくものです。原因は空気の中で浮遊するホコリ、PM2.5、それらを含む雨、花粉、昆虫や鳥のフンなどさまざまなものがあります。
そうした汚れは継ぎ目など水の溜まりやすいところにどんどん貯まっていきます。基本、野ざらしなのですから当然です。
また、墓石は丁寧に研磨してあるので表面はツルツルに見えますが、実際にはとても小さな穴がたくさん開いており、汚れの原因になるものがどんどんしみこんでしまいます。
そう考えると、放っておいても千年もつというのは、やはり幻想といっていいでしょう。
経年劣化の対処はプロに任せよう
もうひとつの「経年劣化」ですが、石も自然物なので仕方がない面もあります。原因としては酸性雨、海に近ければ塩分、沖縄の強烈な直射日光、車の排気ガスなどもあげられます。
経年劣化はもちろん少しずつ進むものですし、新しいものにはない風合いをもたらすこともあるので、頻繁なメンテナンスが必要というものではありません。
ただ、10年20年という単位で見て、どうしても気になるということであれば、プロにお願いして石の表面を磨き直すという対処法もあるかと思います。それなら、建てたときと同じ輝きをよみがえらせることが可能でしょう。
汚れ落としは水洗いが基本
上記のようなポイントを踏まえた上で、素人にもできるお手入れ法を考えてみましょう。ただ、先に書いたように石によって性質が違いますので、それを知らずに洗剤などを使うのは考えものです。まちがった洗剤などを使うと、かえって劣化を早めてしまう可能性もありますから、基本は水洗いであることをおさえておきましょう。
まずは道具。スポンジやぞうきん、タオル、柔らかめのブラシ、バケツなどです。いずれも安く、簡単に手に入るものであり、特別な道具は必要ありません。
道具を揃えてお墓に着いたら、さっそく水洗いを始めましょう。墓石の上の方から、水をかけながら柔らかいスポンジで洗っていきます。石とはいえ、乱暴に洗うと傷がつくこともありますので、注意してください。
故人の体を洗ってあげるような気持ちで
人の体を洗ってあげるようにやさしく、ご先祖様をきれいにしようという気持ちで洗い上げていきます。細かいところは手にはめた軍手を濡らしてこすったり、柔らかめの歯ブラシを使ったりするのも有効です。
また、花立など金属製品があったら、取り外してスポンジなどで洗います。筒状の花立なら、柄の付いた食器洗い用スポンジがあると便利ですね。
お酒をかけるのはNG
故人がお酒好きだったりすると、墓石にお酒をかけることがありますが、お酒はシミの原因になることがあるので、やめておいた方が無難です。コップなどに入れて墓前に供えましょう。
すみずみまで洗ったら、タオルなどで水気をふき取りましょう。これで、かなりきれいになっているはずです。
徹底的な洗浄や、前述のような磨き直し、さらに近年はコーティング処理もあるそうで、そうした大がかりなメンテナンスは、やはり業者さんに相談するのが確実ですね。
まとめ
墓石は、ほとんど野ざらし状態なので、汚れたり経年劣化するのは当然と考えましょう。そのため、シーミーなどの際には、墓地内の草刈りや清掃に合わせて墓石もお手入れすることをおすすめします。
墓石洗いの基本は水のみ。柔らかいブラシやスポンジ、タオルなどを使って、ご先祖様の体を洗うつもりで洗い上げます。
洗剤を使った洗浄や磨き直し、コーティングなどの大がかりなメンテナンスはプロに任せるのがおすすめです。
適切な手入れをしていれば、墓石は半永久的に美しさを保ち、それがご先祖様の供養にもつながると思います。