いわゆる終活ブームの中で、生前墓を建てる人もかなりいるようです。このコラム記事でも以前に生前墓を取り上げたことがあります。
しかし、生前墓にもいろいろ問題があるようで、最悪の場合、建てた本人が入れないケースもあるといいます。そうなるとなんのために高額の費用をかけて建てたのかわからないことになりますね。
そうならないように、今回は生前墓に関するトラブルと予防法について調べてみました。
目次
おさらい、生前墓のメリット・デメリット
まずは、生前墓のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリットとしては、自分の好きなお墓が建てられることや、死んだ後の心配が少なくなること、子どもなどの親族の負担を軽減できることなどです。
一方、デメリットとして、親族のためも考えて建てたのに、逆にトラブルを招くことがあります。最たるものは、生前墓の存在を親族が知らず、亡くなってから別のお墓を建ててしまうことです。
また、一部の霊園などでは、遺骨がないとお墓は建てられないなどといって、生前墓の建立を拒否することがあります。さらに、お墓を建てたとたんに管理費がかかる場合もあります。だれも入っていないお墓に維持費がかかるのは、ちょっと疑問だったりしますね。
生前に建てた自分のお墓に入れない?
さて、生前墓をめぐる最悪のトラブルの元は、その存在を誰も知らないというケースです。
特に身寄りのない人が亡くなった場合には、こうなる可能性があります。そうした人だと親族が新しいお墓を建ててくれることも期待できませんから、結果として、遺骨は行き場がなくなり、お墓に入れなくなることもあり得ます。
なぜ、生前墓の存在をまわりのだれも知らないのか。それにはいろいろな原因が考えられます。
墓業者の倒産が原因になることも
生前にお墓を建てると、これでいつ死んでも大丈夫と安心し、生前墓を建てたことをだれにも知らせないケースがあるそうです。ただ、それでも、かならず知っている人がいます。それはお墓を建てた業者です。
業者は知っているから大丈夫という意識もあるようですが、その業者が倒産してしまうこともあります。特に終活ブームでこの業界も競争が激化し、経営破綻する会社も出ています。その意味でも、お墓を建てる際には信頼できる業者を選ぶことが大切です。
自分の問題でまわりが知らない場合もある
業者が問題なく存続していても、亡くなったという情報がその会社に届かないこともあり得ます。
その要因のひとつとして、本人が認知症などでコミュニケーションがうまくいかない状態だったことも考えられます。
こうなるともうお手上げになりかねません。せっかく建てたお墓はだれも入ることなく放置され、一方で行き先を失った遺骨は自治体の手で無縁墓地に葬られます。自治体は特定の宗教と関わりを持ってはいけないため、どんな形であれ供養はいっさい行いません。悲しい結末になるのです。
問題解決のために自治体が乗り出すケースも
お墓があるのかないのかわからない、ありそうだけれどどこにあるかわからない。そうした遺骨はいったん自治体が預かり、お墓を探します。しかし、見つからないケースも多々あり、大きな労力がムダになります。
また、自治体の安置所は行き場のわからない遺骨であふれているという話も聞きます。こうした遺骨は、自治体の大きな負担になりかねません。
そこで、改善に乗り出した自治体もあります。
業者との橋渡し役を果たす
ある自治体の対策で、本人と墓業者や葬儀屋さんなどとの間に立つサービスが例としてあげられます。まず、自治体が生前墓を建てたいという人の希望などを聞き取り、業者との契約まで確認します。
その後、本人が亡くなると死亡届が出されるので、自治体には情報が入ります。そこで、業者が存続していようがいまいが、納骨まで見届けるというものです。
このサービスのミソは、生前墓の存在を行政が知っているという点です。お墓を建てた後に本人が認知症になっても孤独死しても、行政が知っていれば遺骨が行き場を失うようなことはありません。
まとめ
せっかく生前墓を建てたのに、だれも知らないために死後入れないというトラブルを避けるには、いうまでもなく生きている間にまわりの人とコミュニケーションを取っておくことです。
少子高齢化や未婚率の高まりで難しいケースもあるかも知れません。しかし、お墓も建てたからあとは放っておいても安心などと油断せず、死んだ後の縁も考えて準備しておきたいものです。これも終活の一環ではないでしょうか。
それができない場合には、自治体に相談しておくことがよさそうですね。とにかく、生前墓の存在を自治体が知ってさえいれば、身寄りがなくてもなんとかしてくれそうです。