この時期になると悩むことがあります。それは年末年始にお墓参りをしてもいいのか、ということ。
沖縄では、むやみにお墓参りをしてはいけないといわれます。その一方でそんなこと個人の自由だ、という意見もあります。
そこで今回は、年末年始のお墓参りの是非について調べてみました。
目次
沖縄では伝統的に年末年始のお墓参りはNG
沖縄の三大墓参り行事といえば、1月ごろのジュウルクニチ(十六日)、4月ごろのシーミー(清明祭)、そして旧盆前の七夕です。
これ以外にはお墓参りを慎むようにとされています。理由としては、まわりのお墓の霊魂がうらやましがって寂しい思いをするからとか、悪い霊魂がついてくるからなどといわれます。
しかし、ジュウルクニチとシーミーは、地域によってどちらかをやるのが普通なので、しきたりに従うと年に1回か多くても2回ということになります。
でも行きたいという人は多い
年に1、2回では少ないという人もいます。さらに全国的に見ると、年2回のお彼岸などの行事はあるものの、本土では基本的にはいつでもお墓参りに行っていいとされているようです。
そのため、故人の命日だったり誕生日だったり、結婚や進学、就職の報告をしにお墓に行って手を合わせることはよくあります。
それならば年末年始に、親戚にお歳暮を配ったり、年始のあいさつまわりをする感覚でお墓参りをしてもいいのではないか、という人もけっこういるようなのです。
お正月なのに縁起でもないという人もいる
なんだ、それなら年末年始にお墓参りをしてもいいじゃないか、という方もおられるかも知れません。しかし、話はそう簡単ではないのです。
というのも、喪中はお正月のあいさつを遠慮したり、喪中のハガキを正月には出さないなどの習慣がありますが、その裏返しとして年末年始のお墓参りは遠慮するべきという人もいます。
つまり、めでたい正月に、お墓参りなどという縁起の悪い行為はやめなさい、というのです。
というわけで、賛否両論入り混じっています。その是非は、宗派や各家の考え方によって違うのが実態です。
現実的には年末年始にしか行けない人もいる
ただ一般論として、お墓やお参りは縁起が悪いとする考え方には違和感を覚えます。お墓は決して縁起の悪い場所ではありません。
ご先祖様が眠る場所であり、生きている人間をやさしく見守っているはずで、しかもお参りする人は感謝の誠を捧げながら手を合わせるのですから、縁起が悪いどころか、愛にあふれた場所といってもいいのです。
年末なら一年の報告ができるし、正月なら新年のあいさつができます。また、地元を離れて暮らしている人が正月休みで帰省した際はお参りの絶好の機会であり、もっといえばお墓参りのために年末年始に帰省するという人がいても不思議はありません。
そう考えると、年末年始は年に1回のお墓参りのチャンスという人もかなりいるのではないでしょうか。
リゾート葬という新しい考え方もある
近年、沖縄ではリゾート婚が盛んになっています。県外や海外の人が沖縄で結婚式を挙げたり、披露宴を催したりするものです。
一方で全国的にはリゾート葬というものが少しずつ脚光を浴び始めています。これは「景色のいいところにお墓を持ちたい」とか「思い出の地に葬られたい」などという発想から来ているものです。
家のお墓をリゾート地に移したり、自分の入るお墓を思い出の地に用意したりするものです。お墓は代々継ぐもの、ずっと同じ場所にあるもの、などといった従来の考え方から解放された、自由な発想といえるものです。
沖縄でリゾート葬が増えれば・・・
リゾート葬の考え方からすると、本土からの距離の問題さえ解決できれば、沖縄は適地なのではないでしょうか。海のきれいな丘の上で眠れたり、家族はお墓参りのついでに観光も楽しめたりします。
また近年、老後を沖縄で過ごすために本土から引っ越してこられる人も多くなっています。その流れで、沖縄で永眠するためにお墓を買われる人もいるでしょう。
本土の人が沖縄で眠るとなると、その家族は沖縄の風習にこだわらないかも知れません。すると、みだりにお墓参りをしてはいけないという考え方にとらわれることなく、好きなときに、もしくは都合のいいときにお参りするという風潮が広がることも考えられます。
そうなると当然、年末年始にお墓参りをしてもかまわないとなってもおかしくありません。時代の流れとして容認の方向になっていくと思えて仕方がないのです。
まとめ
沖縄ではジュウルクニチやシーミー、七夕といった行事以外にはお墓参りをしてはいけないとされています。
しかし、本土ではご先祖様に一年の報告や新年のあいさつのため年末年始にお墓参りをしたいと考える人もいます。
本土の人が沖縄にお墓を持つケースも増えている中で、暮れやお正月のお墓参りも容認されていく方向にあるのではないでしょうか。