「フンシーって、なんだ!?」~風水とお墓の関係について考えた話~

近年運気を上げる手法として風水が注目されています。中国から伝来したものですが、沖縄でもフンシーと呼ばれて、盛んに活用されてきました。風水といえば家を建てるときにも使われますが、実はお墓に関しても運気を上げるために重要な技術だといいます。

そこで、今回は沖縄におけるお墓の風水について調べてみました。

そもそも風水とはなにか

風水とは、今から4000年くらい前の中国で誕生したいわば環境学です。「気」の考え方を核として、地理学や心理学、医学、統計学もまとめたもの。簡単にいうと、生活に直結した衣食住、行動など、自分のまわりに存在する環境を使って幸運を呼ぶための手法です。

風水では「環境が運を決める」というのが、基本的な考え方です。持って生まれた運は、自分では変えられないので、まわりの環境を工夫して運を上げていこうとするのが風水の手法なのです。

したがって、まわりを見て、運を落とす要因を取り除いて、運を上げる要素を取り入れるのが風水ということになります。

沖縄への伝来は意外に遅かったけれど・・・

風水が日本に伝来したのは6世紀ごろといわれますので、1500年ほど前のことになります。一方、沖縄への伝来は17世紀ごろとされますので、400年くらい前でしょうか。日本本土に伝わった時期から考えると比較的最近のことだったわけです。中国と直接交流があった沖縄にしては、遅かったといえるかも知れません。

18世紀の琉球で、政治家として活躍した蔡温という人がいます。蔡温は政治はもちろん、経済や土木技術にも精通した役人でした。

この時代、現在の名護市にある羽地大川は、氾濫をくり返し、周辺地域の人々を苦しませていました。それを憂えた蔡温は、中国で学んだ風水の知識を生かして羽地大川の大改修に取りかかりました。

周辺の地域からのべ10万人を動員し、風水の技術を駆使して川の流れを変えました。この大事業をわずか3ヵ月で完成させたそうです。これによって、暴れ川はおとなしくなり、農民たちも安心して米作りに励めるようになりました。

このようにして、風水は沖縄にも根付いていったのです。

陽宅風水と陰宅風水がある

風水には陽宅陰宅という考え方があります。宅とは字の通り、住居のことをいいます。したがって陽宅とは街や家といった生きている者の生活空間を表します。一方で陰宅とは、死者の居住空間であるお墓を意味します。

風水では、陰宅と陽宅で運気が上がるように工夫すれば、生者は子孫繁栄を得、死者は永遠の幸せを得るとされます。

そして、お墓に関わる風水のことを陰宅風水といいますが、これは本来、土葬を前提とした風水技術となります。

埋葬された遺体の骨に存在する物質が故人の子孫に影響を与えると、風水では考えられています。お骨が土地の良い気を受け取ることができれば、子孫も良いエネルギーを得ることができ、運が開けるというわけです。

日本で陰宅風水は廃れつつある

しかし、現在の日本では、陰宅風水はかなり廃れているという話も聞きます。というのも前述のように土葬が前提となっているからです。ほぼ100%が火葬になっている現状では、陰宅風水の出番がないといったところでしょうか。

また、お寺や霊園に葬られるのが一般的であれば、風水を考慮してお墓を建てるのは、やりたくてもできないともいえます。それでも沖縄では今も重視されている

ただし、例外があります。沖縄です。沖縄では現在も陰宅風水、つまりお墓の風水を気にする人が多くいるといわれます。これも先祖崇拝が宗教のように根付いていることから来ているのでしょうか。

ご先祖様の家であるお墓の風水がよければ、生きている者も安定した恩恵が得られ、それが幸せと子孫繁栄につながるという考えは納得できるものであり、沖縄の風習にもマッチしているといえるでしょう。

場所、方位、干支などが考慮される

陰宅風水で重視されるのはまず立地条件、そして墓地や墓石の向きです。山では龍と呼ばれる方位と墓石の向き、水の流れなどを考えて配置します。一方、平地の場合は、水の流れと墓石の向きを考慮します。

また、亡くなった人の生まれ年も重要な要素となりますが、場合によってはお墓を建てる人の干支も考慮されます。

簡単にいうと、お墓の場所、方位、干支などが総合的に勘案されるわけですが、これは家の場合も同じです。もちろん、陰宅と陽宅では具体的な内容は変わるかも知れませんが、基本となる要素は共通ではないかということです。このあたりにも、お墓は死んだ後に入る家という考え方が見え隠れしているように思えます。

研究者によると、中国から伝わってきた陰宅風水の特徴がよく現れているのが、同じく中国から伝わった亀甲墓だといいます。亀甲墓の構造は、中国風水における理想的な形を具現化しているというのです。

まとめ

沖縄は、伝来が遅かったわりには風水が盛んな土地柄です。それは、お墓の風水にもっともよく現れているとされます。

お墓によりよい気を集めることで生きている者にも幸運が訪れるという考え方は、ご先祖様を大切にすることで子孫が繁栄するという、沖縄の人の考え方ともつながっているように思えます。

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