沖縄伝説・風習シリーズ「沖縄で一番古いお墓ですって!?」~ウチナーンチュの元祖である神様のお墓に関する話~

暑さもひと段落し、快適な季節になると、ウチナーンチュはドライブに出かけます。2020年はコロナ禍で巣ごもり気味なのですが、密にならないドライブならば気晴らしに良さそうです。

密を避けるなら、人の少ない歴史スポット巡りもありですね。というわけで、沖縄でもっとも古い(かも知れない)お墓を訪ねてみました。

★沖縄の伝説・風習シリーズについてのご理解ご協力へのお願いをコラムの最後に書かせて頂いていますので読んで頂ければ幸いです。

※ふう しゅう 【風習】

その地域社会で、人々が長年に渡って伝えててきた生活や行事の独特のならわし。しきたり
風俗習慣

それがあるのは浜比嘉島

沖縄の代表的なドライブスポットのひとつといえば海中道路。左右に海の絶景を見ながら駆け抜けると、ひときわ爽快な気分が味わえます。

本島側から乗り入れて海中道路を通過、平安座島に入ったあたりの信号を右に曲がると浜比嘉大橋があります。ここも絶景スポットとして知られています。

橋を渡り終えると浜比嘉島で、突き当たりを左折すると、左手の海に小さな島があります。この島はアマンジと呼ばれ、コンクリートの道が整備されているので、歩いて数十秒で渡れます。ここにアマミチューの墓と呼ばれるお墓があります。

こちらがアマミチューの墓。岩の割れ目をお墓とし、今はコンクリートで補強されています。

琉球開びゃくの神様

伝説によるとニライカナイ(神の世界)から女神のアマミチューと男神のシルミチューという、ペアの神様が降りてきました。二神は浜比嘉島の洞窟で暮らし、子どもが生まれ、その子孫が人間として繁栄したといわれます。そこで、アマミチューとシルミチューは琉球開びゃくの神とされます。

伝承では「アマミチューとシルミチューが天から降りてきて一番初めに久高島に渡ったけれど、洞窟がなかったので津堅島に行った。しかし津堅島には水がなかったので、洞窟と水の両方がある浜比嘉島へやってきて住むことにした」そうです。

別バージョンでは結果が変わっていて「アマミチューとシルミチューという男女の神様が琉球の国造りをした。まず久高島に降り立ったが水がないためコマカ島に渡った。

シルミチューはアマミチューをコマカ島に残し、自身は津堅島に渡った。

そこには住むための洞窟がなかったため浜比嘉島に降り立った。浜比嘉には洞窟があり、水も豊富だったため住むことにした。シルミチューは比嘉集落でノロと一緒になり、3名の男子を授かった」といっています。

住んだのは島の高台にある洞窟

アマミチューとシルミチューが住んだとされるのが、現在シルミチュー霊場と呼ばれる場所です。行くにはまず鳥居をくぐり、108段の階段を登ります。

頂上には柵のついた洞窟があります。中には鍾乳石の陰石(女性を象徴する石)があり、これが霊石として崇拝されています。女性が参拝したら子どもを授かったという評判が広がり、県内外から子宝を望む多くの参拝客が訪れています。

また、毎年旧正月に行われる年頭拝みには比嘉のノロを中心に地元の人々が浜から小石を1個拾ってきて、洞窟内に安置された壺に入れて無病息災や子孫繁栄を祈願します。

現在シルミチュー霊場には柵が設置されていて、その奥に霊石があります。

柵の内部はこのようになっています。霊石は奥にあるようで、この位置から本体は確認できません。

二神が葬られたのがアマンジ

アマミチューとシルミチューは浜比嘉島の沖にある久場島で亡くなり、アマンジに骨を移して祀るようになったといわれています。

お墓は島の岩陰を利用して作られています。このお墓では毎年旧正月の年頭拝みなどで豊穣と無病息災、子孫繁栄を祈願します。また、長旅で島から出る時や外国へ移民する時にも拝みました。

お墓の正面の波打ち際には、大きなきのこ岩があります。これはノッチと呼ばれるタイプの奇岩で、何千年、何万年という長い年月、波によって下の方が侵食されたものです。お墓からきのこ岩と浜比嘉大橋がきれいに見晴らせるので、その風景もかなり楽しめます。

アマミチューの墓からは、きのこ岩と呼ばれるノッチと海、その向こうの浜比嘉大橋を眼下に収めることができます。

パワースポットとしても人気が出ている

アマミチューの墓は、前述のように墓所というよりも拝所(うがんじゅ)としてあがめられています。さらに、現代風にいえばパワースポットしても注目されています。シルミチュー霊場もそうですが、いってみれば浜比嘉は島全体がパワースポットといえます。

1997年に浜比嘉大橋の供用が開始されましたが、それ以前は離島だったわけで、それもあって、現在も島は神秘的な空気をたたえています。浜および比嘉のふたつの集落で成っていますが、いずれにも御嶽(うたき)や拝所が多くあり、元気や癒しを求める人が多く訪れます。

まとめ

琉球開びゃくの神であるアマミチューとシルミチューは、ウチナーンチュの元祖といえます。そのお墓であれば、もしかしたら沖縄最古のお墓かも知れません。

★沖縄の風習シリーズについてのご理解ご協力へのお願い

※毎回書かせて頂いている「沖縄の風習シリーズ」は

みくにの会社も6年目に入り、毎日地道に稚拙なブログを書かせて頂いています。

このグログを読んだ読者様からの御質問等から沖縄に昔からある伝説・風習等を調査してその意味等を書かせて頂いています。

その為にその地域独特の「伝説・慣習・習慣」には、現在の社会情勢・常識から乖離した習慣もあります。著者としてその習慣について擁護・批判する立場には加担する目的はありません。 予めご理解・ご協力の程宜しくお願います。

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