近年、お墓、葬儀やにまつわる資格や検定がたくさんあって、それらの取得者がプロとして業界で活躍しています。お墓ディレクター、尊骨士、葬祭ディレクター、葬送儀礼マナー検定、尊骨士、お墓ディレクターなどがそれにあたります。
ここへ来て、コロナ禍もあってお墓参りに行けない人が増えており、お墓の掃除を専門とする資格に注目が集まっています。
それが「墓地清掃士」という資格。
注目される理由のひとつは、まだあまり一般的ではないため、これを取っておくと依頼がたくさん来て、いいビジネスになる可能性があることです。
そのあたりも含めて、今回は墓地清掃士について調べてみました。
お墓荒れ放題は避けたい・・・
以前、このコラムで「お墓参り代行サービス」というのを取り上げました。利用する理由としては・・・
- 実家が遠方でその近くにお墓があるけど、なかなか帰省できない
- 引っ越しによって、お墓が遠くなりお参りに行くのが難しい
- 高齢や病気などの理由でお墓に行けない
- 仕事が忙しくて時間が取れない
などというものです。
お墓参りに行けなければ、礼拝ができないだけでなく、お墓のお掃除ができません。その結果、墓石は汚れ放題、雑草は生え放題、ゴミは散らかり放題ということにもなりかねません。
そのため、お墓参り代行サービスには、お墓掃除もセットになっているのが普通です。墓石を布で水ぶきしたり、枯れたお花を片づけたり、雑草を抜いたり、ゴミを片づけたりするわけです。
お墓参り代行サービスの一部を専門化
この、お墓参り代行サービスにおけるお掃除をさらに専門化したのが墓地清掃士といえます。ちなみにこの資格は、一般社団法人・墓地清掃士認定協会という団体が認定しています。
たとえば・・・
- 台風や大雨でお墓が被害を受けていないか心配
- お盆やお彼岸のお墓掃除をお願いしたい
- お墓掃除を父の日、母の日などのプレゼントにしたい
などという場合にお願いするのもよさそうです。
知識や技術、文化への理解を持ったプロ
墓地清掃士は、簡単にいえば、お墓掃除のプロフェッショナルなのですが、単なる墓掃除屋さんではありません。目には見えませんが、その背景には、お墓に関する高度な知識や文化への深い理解が隠されているのです。
まず、単純な話、墓石は高価なものです。なんの知識もない人がめくらめっぽう拭いたり、やたらにゴシゴシ磨いたりすると傷を付けかねません。比較的柔らかい石材もあるので、石に対する知識も必要です。
また、墓石クリーニングに薬剤を使う場合は、それに関する知識がなくてはなりません。
一方で、お墓やお墓参りは文化のひとつでもあります。世界的に見れば、これほどお墓を大事にする国は珍しいのです。
たとえばインドに多いヒンズー教徒は、遺体を火葬した後、遺灰を川に流します。また、チベットなどでは遺体を山で解体し、鳥に食べさせる鳥葬が行われます。ヒンズー教徒もチベット仏教徒も基本的にお墓を作りませんし、もちろんお墓参りの習慣もありません。
墓地清掃士は日本独特の葬送やお墓文化を理解し、その土台の上でお墓掃除をするというスキルも必要になります。
参入企業が多くなっている現状
ところで、従来の少子高齢化の流れにコロナ禍が加わり、お墓掃除代行サービスの市場が拡大しつつあります。その流れに乗って、お墓参り代行業者をはじめ、ハウスクリーニング業者や便利屋さん、シルバーセンターまで参入しています。
なかには清掃業界の巨人ともいえるダ○キンも、お墓掃除代行サービスを行っています。こちらの場合は基本料金が税込で22,000円となっているようです。
現場で作業するのは素人が多い
それはいいのですが、実際に現場でお掃除を担当するのは、学生バイトだったりもします。普段自分の家のお墓に参るとき程度の掃除でいいだろう、といった安易な考え方があったり、無資格でもできる業務だったりするため、参入の壁が低いのも実情です。
そのため、学生に限らず、フリーター、定年退職者、さらに専業主婦まで、さまざまな人が参入しています。バイト代は1件あたり3,000~5,000円程度のようで安く思えますが、作業時間が1時間からせいぜい2時間であることを考えると悪くはありません。
大した技術も資格も要らず、オーダーがあったときだけ行けばよく、まあまあのお金が得られるバイトというわけで、多くの人が行うわけですが、その分サービスのクオリティが低下しかねません。
その点、墓地清掃士の資格を持つ人が行うのであれば、お願いする方も安心というわけです。
まとめ
コロナ禍もあり、お墓参りやお掃除に行けない人が増えていて、その代行サービスが広がりつつあります。
実際に作業するのは、知識や技術のない素人も多いため、サービスの質が問題になっています。
墓地清掃士の資格者であれば、プロフェッショナルとしてのスキルを備えているので、お願いする方も安心です。また、この資格を取得すれば、ビジネスとしての展開も期待できそうです。