「お墓って何年もつの?」~お墓の寿命のお話~

お墓の購入を検討するとき、価格やサイズなど、いろいろ考えなくてはならないことがありますが、検討項目のひとつとしておさえておきたいのが「お墓って何年もつの?」という、いわゆる寿命のことです。

自分だけでなく、子々孫々も入ることを考えると、お墓の寿命というのは家の寿命以上に考えておく必要があります。

そこで、この記事では、お墓の寿命について見ていくことにします。

かつて主流だったコンクリート墓の寿命は?

現在沖縄では、いわゆる御影石と呼ばれる石材で造るお墓が主流になっていますが、以前はコンクリート製が主でした。これはコンクリートの方がコストが安かったからです。今も霊園などを訪れると、コンクリートやブロックでできたお墓がよく見られます。

しかし、こうしたお墓のなかには黒ずんだり、風化して一部が欠けたりしているものも見られます。特に戦後比較的早い時期に建てられたお墓は、かなり老朽化が進んでいるといっていいでしょう。

お墓と一口でいっても、その立地環境は千差万別です。たとえば直射日光があまり当たらず、風通しが良くて湿気が比較的少ないという、お墓にとって環境ストレスが少ないケースもあれば、日中は常時太陽の光にさらされたり、湿度の高い地域だったり、海の近くで潮風を浴び続けていたりと、環境ストレスが大きいケースもあります。

そのため、コンクリート墓の寿命も一概にはいえませんが、感覚的には長くても50年くらいではないかと思われます。

なぜ石造りのお墓が主流になったのか


近年になって、石材を使ったお墓が主流になったのは、コストが安くなったことが大きな要因です。特に中国製の石材が入ってくるようなってからは、国産の石材を使うより、かなり安くお墓が造れるようになりました。

中国産石材が安い理由はいくつかあります。まずひとつは大量に産出されることです。日本より国土がはるかに広く、石の採れる山が無数にあるため、ほとんど無尽蔵といってもいいほどの石材が眠っているといっていいでしょう。

また、採掘や加工に要する人件費などのコストが安いことも一因としてあげられます。

さらに、歩留まりの高さもあります。歩留まりとは一般に「原料や素材の投入量に対し、実際に得られた生産数量の割合」と定義されます。墓石でいうと、産出した石のうち、実際にお墓を造るために使えるものということになります。

これが国産の石材を加工する場合では10%以下、高級品だと3%以下の場合もあります。一方中国製では20%というケースもあるといわれます。

乱暴にいえば、国産の高級石材の場合、100トン採れても使えるのは3トン、中国製なら100トンのうち20トン使えるということになります。

昔は国産の石材を使っていたため高価だった石造りのお墓が、中国などの外国産が入ってきたため安価になり、一般の人でも手が届く範囲になってきたことで、従来のコンクリート製に替わって主流になってきたといえます。

石造りのお墓の寿命は?

では、石造りのお墓はどのくらいもつのでしょうか。これについては、ちょっと複雑です。というのも、石そのもののと、お墓の組み立てに使う接着剤、さらに基礎などに使うコンクリート、それぞれの寿命が違うからです。

石材にもさまざまな種類がありますが、基本的に寿命は100年以上、実際のところは多少の風化があっても、半永久的といってもいいでしょう。

一方、接着剤は100年以上もつことはなく、長くても30~40年くらいではないかと思われます。ただし、定期的にチェックしたり、メンテナンスを施したりしていれば、それ以上に長くもたせることも可能です。

また、接着剤がこれ以上機能しないという限界を迎えたら、お墓をいったん解体して組み立て直すという手もあります。

その際、コンクリート部分があまりに劣化していたら、そちらもいっしょに直すこともありでしょう。

つまり、適切なタイミングで改築を行っていけば、半永久的な御影石の寿命を生かすことができるというわけです。

それならコンクリート墓は劣るのか?

というわけで、手入れをきちんとしていれば、石造りのお墓は長くもたせることができます。それによって、子々孫々入ることが可能で、家族の絆をつなぎ続けることも可能になるのです。

ただ、だからといってコンクリート墓が石造りより劣るというわけでは決してありません。今もコンクリート製がある程度のシェアを持っているのは、それなりのメリットがあるからです。

その最たるものは、場所を選ばないことです。

お墓を建てるとき、敷地に石材を運び込むにはトラックが、現場で組み立てるには重機が必要です。しかし、トラックが入って行ける道がなければ、そもそも石材を運び込むことができません。

一方、コンクリート墓ならば、道がなくてもホースを延ばして現場に生コンを送り込むことが可能です。なので、石の墓が建てられない敷地でも、コンクリート墓なら建てることができるケースが多いのです。

まとめ

コンクリートそのものも耐用年数が延びていて、コンクリート墓の寿命も昔に比べて長くなりました。したがって、寿命も大切な要素ではありますが、それにこだわるよりも、お墓を建てる場所に合わせて石かコンクリートかを決める方が現実的でしょう。

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