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お墓ディレクターについて~
一般社団法人 日本石材産業協会が認定する資格で、お墓に関する幅広い知識と教養を兼ね備えた人です。お墓ディレクター検定試験に合格することで取得することが出来ます。
「お墓ディレクター」とは一般社団法人日本石材産業協会が認定する資格の事で上から順に1級、2級と分かれています。お墓に携わる人間としてとても興味深い内容であり、お墓に関する悩みを抱えたお客様の解決への糸口になるものです。
お墓ディレクターの知識は多岐に渡りますが、ここでその一部をご紹介します。
宗教とお墓の関係
神や仏など人を超越した力を持つ者の教えや思想を信仰し、自身の生活に取り入れたり、信じる事で人は自身の心の安定を求める事ができます。もちろん選択の自由がそこにあり、どの国のどの宗教を信仰しようともその権利は自身の自由です。
世界規模で見た場合に、最も多くの信者を要するのがキリスト教と言われています。宗教を信仰する人口のうちじつに約33%の人が信仰しています。次いでイスラム教、ヒンズー教、仏教などがあります。
私たちの住む日本では仏教で使用される用語が日常的に使われていることもあります。そのことから宗教がいかに人々の生活に浸透しているのかが分かります。人の生死にもその思想は深く根付いており、例えば「人の魂は輪廻する(輪廻転生)」「生まれ変わり」といった考えもその一つと言えます。
滞りなくこの世に転生して欲しいという願いから、死者を弔い葬る手法や儀式は宗教や宗派によってもさまざまです。日本で言えば、現在では衛生的な観点などのさまざまな理由から火葬が基本になっていますが、法整備がなされる以前は土葬や風葬も各地で行われていました。
その後、時を重ねていく中で現代のような弔いが根付いていきます。お墓ディレクターの検定では葬儀の歴史やお墓の歴史を深く学ぶことになります。
お墓と墓地に関する法律の把握
お墓と墓地に関する法律を把握しておくことは検定の内容のひとつとしても重要ですが、実務でも大きく関わってくるので心して学習する必要があります。
法律はシビアな世界ですので、曖昧な認識や異なった認識は改めるべきです。お墓に関する法律は権利に関する法律や、お墓を建てる際に必要な墓地に関する届け出、また最近増えつつある改葬や墓じまいに際して必要な手続きがあるのでひととおり把握しておくことが大切です。
また、業務を行う際にお客様の中には個人でお墓を建てるのではなく、霊園墓地や永代供養などを選択される方もいますのですべてのお客様のケースを想定し柔軟に対応するためにもお墓に関する法律や手続きの知識は検定に関わらず必須になってきます。
石材について
検定の内容の中にはお墓に関する多くの知識が必要とされています。その中でも墓石に関する知識として石材についての項目があります。
石材の種類やその石の性質(メリットやデメリット)を熟知し、依頼者(お客様)に分かりやすく丁寧に説明ができるレベルを保たなければいけません。例えばひとくちに御影石と言っても種類はさまざまで、産地や時期によっても大きく表情を変えてきます。石の強度に関する知識や加工の方法なども必要な知識です。
加えて近年で言えば、東日本大震災によって放射能汚染の発生した地域から採掘された石についての放射能レベルの数値、またはその石材を使用するにあたって人体に直接影響を及ぼすものなのかどうか?など、これからお墓を建てるであろう依頼者(お客様)の立場になったものの見方ができるようにします。
終活と残された人々のケアについて
自身の大切な人がこの世を去るという状況は経験の有無にかかわらず、心に大きなダメージを及ぼす事が容易に想像できます。故人に対しての想いの大きさの分だけ喪失感は強大なもの、もしくは根深いものとなりその心情は計り知れません。
遺族の心に寄り添う事や残された者の心の状態をほんの少しでも把握する事、共感する事でどのようなかたちで遺族の方に前を向いてもらうか、死を受け止めてもらうかなどを学びます。
人の感情や情緒の問題なので一概にマニュアル化する事はできませんが、傾向や心理を学ぶことで広い視野をもってお客様と接する事ができるのではないでしょうか?
以上の事はお墓ディレクターの学ぶべき項目を抜粋した一部に過ぎませんが、「お墓の専門家」としての基礎知識や法律の事、人間の心理とケア、石材の知識など多岐に渡ります。
家族への負担を減らす終活の必要性とエンディングノートに書く内容について
お墓について分からないお客様は多いもの
お墓というのは、一度建てると長きに渡って人々の手で護られていくものです。大事な人のお骨を雨風から守るだけでなく、ご家族にとって心のできとなる大切な場所でもあります。
お墓の事は多くの人が理解できているわけではなく、実際にお墓の購入を思い立った時に初めてリサーチを始める方が多くいます。つまり実際には「我が身」に起きてみない事にはわからないという事です。
現在では「終活」がブームとなっているせいか、お客様は生前に自分でお墓の業者を探したり、すでにお墓を建てた人の口コミや紹介などを頼りにお墓業者を訪ねる傾向がみられます。
そんな時にお墓の専門家として、お客様の要望にどれだけこたえる事ができるのか?お客様の不安な気持ちにどれだけ寄り添う事ができるのか?などお墓業者さん、またはお墓ディレクターの力量が問われます。
実際にあったお墓についてのご意見をいくつか紹介したいと思います。
「ケース1のように、何件かの業者をピックアップし見積もり金額の比較までするのは良い選択と言えるでしょう。はじめから自分の思ったようにできる業者さんに巡り合えるわけではないので比較する事は大切です。
しかし問題はそのあとです。
お墓業者さんの中には通常の企業のように営業担当の方を置いている会社も多くあります。本来であればお客様と直接的に接する機会の多い営業担当者がいわば会社の顔になってきます。
お客様にとっては営業担当であろうが経理事務であろうが課長であろうが部長であろうが関係ないのです。
会社の営業担当の態度や雰囲気などさまざまな視点からお客様は見てます。会社の顔である営業の担当者が知らぬ存ぜぬではお客様は困ってしまいます。もしも営業担当の方ではお客様の疑問を解決できない場合こそ誠実な対応が求められます。
ケース1の場合もわからなければわからないなりの対応、つまり営業担当の者では分かり兼ねること、答えられる者へスムーズに引き継ぐなどの対処をとっていれば少しは違った印象を与える事ができたのではないでしょうか?」
「近年、改葬(お墓のひっこし)や墓じまいを請け負う業者さんの需要は高まりつつあります。また、改葬や墓じまいを専門とする業者さんも登場していますが、核家族化が進んでいる事やお墓を継承していくことの難しさがその背景にあるようです。
もともとあるお墓の今後を左右する大きな決断ですので慎重になるのも頷けます。お客様の中には、新たにお墓を建てる事よりも改葬や墓じまいがよりハードルの高い事柄だと考えている方も多いようです。
そういったお客様の不安な気持ちを理解し、解決へのアドバイスをしていくのもお墓業者、お墓ディレクターの仕事だと考えます。手続きの仕方や手順、必要書類など基本的な知識でもお客様にとっては初めてに近い事柄なので、ここでのアドバイスは大きな意味をもつ事でしょう。
分からないことがあればお墓ディレクターに聞いてみよう
私共みくにはお墓に関わる仕事をしている中で、お客様からお墓に関するご相談を受ける事が多くあります。その相談内容はさまざまですが、多くのお客様はお墓の事となるとわからない事が多く不安な気持ちを抱えながらみくにに訪れます。
「お墓の事を人に聞くのはちょっと…」といった先入観から相談できずにいる方もいます。ですので、お客様自身も…
②分からないからこそ調べてみる
③分からないままで終わらせない
これらの積み重ねが「妥協しないお墓づくり」の第一歩だと考えます。
分からない事を恥じる事は決してありません。周りの人に相談することに抵抗があるならお墓業者に聞いてみてください。その道のプロの意見はこれまで幾度となく相談に乗ってこられたものなので適格な回答をしてくれるはずです。ただお墓業者さんに相談したからといってすぐに契約する事なく、比較や検討を繰り返して後悔と妥協のないお墓を作り上げるようにしましょう。
まとめ
今回は「お墓ディレクターとは?」についてお話しいたしました。知名度で言えばまだまだかもしれませんが、お墓のスペシャリストとしての専門知識を駆使し、お客様のより良いお墓づくりをサポートできる奥の深い資格だと思います。
お墓ディレクターに関しては、日本石材産業協会のホームページにて詳細が記載されていますので、興味のある方はぜひ検索してみてください。