「親が死ぬ前にやるべき7のこと」“親の終活”をもめごとなく進めるために必要なことを解説、大切なのは「経済面と感情面」の2本柱 パート①

人生の最期を見据えた活動のことを指す「終活」。その言葉は定着してきたものの、親とは終活の話題を避け、先送りにしている人が多いのではないだろうか。

「私たちが相続の相談に乗るお客様でも、親が元気なうちに終活を手助けし、相続対策を行っているのはごく少数です。結果、親の死後に家族が相続でもめるなどトラブルに発展する例や、親の生前に何もしなかったことを悔やむ人を数多く見てきました」

 こう明かすのは夢相続代表の曽根恵子さん。同社は日本で唯一の相続対策をサポートする専門会社として、1万5000件以上の相続相談に対処している。

親が死ぬ前にやるべきことを解説

実際、相続トラブルは後を絶たない。遺産分割に関する調停・審判の申し立て数は年々増加し、20年間で約1.5倍に。法的な介入を求めるほど、相続で争う件数が増えているのだ。

「親が元気なうちに本人を交えて家族で話し合っておけば、相続争いになる可能性は低いでしょう。生前に相続のことを決めておくことは、親にとっても子どもにとっても、終活の最大テーマといえます。ただ、すんなりとはいかないのが現実です」(曽根さん、以下同)

 親が生きている間に、死んだ後の話をするのは気が引けるもの。相続のこととなればなおさら切り出しにくいだろう。また、親子のあり方の変化も相続の話し合いを難しくしている。

「昔は親と子が同居し、生活を共にする密な関係でした。ところが今は核家族化が進み、子のほとんどは親元を離れ、別世帯を持って暮らすのが当たり前になっています。年老いた親と会うのは年に数回というところも珍しくないはずです。親と子のコミュニケーションが薄くなっているわけです」

さらに相続問題は資産家だけに該当すると考え、「うちは親の財産が多くないから、話し合いなんてしなくていい」などと捉えがちに。実際は前述の法的な相続トラブル事案の約8割が遺産総額5000万円以下で、1000万円以下でもめたケースも全体の約3分の1に及ぶ(2019年度、裁判所「司法統計年報」家事事件編)。相続争いはどこでも起こり得るのだ。

「親との必然的なコミュニケーション不足や、危機意識の低さなどから、一緒に進めておくべき終活が後回しにされてしまう。それが後悔を招く要因でしょう」

 一方、子の後悔は相続に代表されるお金の問題だけに限らない。

「もっと親と話をしておけばよかった。親に聞きたいこと、親とやりたいことがたくさんあった─。親亡き後、こうした後悔の念を抱いている相談者の声を耳にします。残念ながら、その願いは二度と叶えられません」

 ある日突然やってくる親との別れ。親の気持ちに寄り添うことなく死別してしまうと、取り返しのつかない罪悪感や喪失感に苛まれる人は少なくない。特に母子のつながりが強く、最愛の母親を失った悲しみに暮れ、“母ロス”から立ち直れないケースも見られる。

「そういった事態を避けるためにも、親子の終活は必要不可欠といえます。終活=生前整理はトラブルや後悔を回避できる前向きな機会。終活をポジティブに捉えることが大切です」

 悔いのない終活を進めるためには7つのポイントがあるという。その前段階で認識しておきたいことから聞いた。

タイミングを逃す前に今始めて後悔を防ぐ

 まず以下で紹介する項目を見てほしい。曽根さんへの取材をもとに、親との終活を急ぐべき人の例を挙げている。自身が当てはまるかどうか、チェックを。

こんな人は特に注意!
・遠方に住む親と疎遠である
・親がケガや介護で入院・入所している
・父母のどちらかが先立った
・親の介護の負担が親族のひとりに偏っている
・親がスマホで資産取引をしている

「親の介護の始まりは、終活に早く取りかかるべきサインといえるでしょう。介護施設や病院に入所・入院すると、気力や刺激を失って認知症を発症するケースが多いです。認知症の場合、本人との意思確認は困難を極めます。そうなる前に話し合いの機会を持つようにしたいですね」

父母のどちらかが先立つのも認知症につながりやすいパターンのひとつ。

「配偶者の死によって同様に気力を失い、認知症を発症しやすいのです。あとを追うように亡くなるケースも少なくないため、親との終活を急がなければなりません」

 親の介護の負担の偏りも、のちのちトラブルの原因に。また、親がスマホで株取引している場合はどんな注意点が?

「今は高齢者でもスマホやパソコンを使って株などの金融商品を取引しています。親が該当し、ネット証券に株などの資産を残したまま亡くなったら、遺族は探し出すのに苦労を強いられ、資産の引き出しも容易ではありません。

 そこで、通常の終活に加えて、“デジタル終活”が必要になってくるのです」

まず親の人生を知って寄り添うことから

では、親との終活は何から手をつければいいのか。3つのステップに分け、親の気持ちを知るためにやるべきことをまとめた。

先延ばしにせず、まずはココから!親の気持ちを知る3ステップ
《STEP1》頻繁に連絡を取り合う
親との連絡を密にして、薄れていた関係性の回復に努める。関係性を取り戻せば会話も弾んでいく。終活に向けた下地作りの位置づけ。

《STEP2》親子の年表を作る
親の歴史を子は知らないもの。これまでの歩みや思い出をインタビューし、自身の歩みも加えて親子年表を作ると、親の人生が見えてくる。

《STEP3》家族の未来年表を作る
家族の未来に起きることを想定し作成。今後どのタイミングでお金が必要になるか、また親の介護や看取りについて現実的に考える道標に。

住まいが別々の親と連絡を取っていないなら、頻繁に連絡を取り合うようにするのが第一。自分から電話をかけたり、実家が近ければ夕食などに足を運ぶ。

「親が遠方に住んでいる場合は、より意識して電話やLINEなどで接点を持つようにしましょう。親との関係性を再構築し、終活に向けた下地作りを行います」そのうえで、「親子の年表」や「家族の未来年表」の作成に取り組む。

「『親子の年表』は親にインタビューしてまとめます。幼少期から現在までの歩みや思い出を聞きましょう。併せて自身のこれまでの歩みも思い返し、年表を完成させてください。

 次の『家族の未来年表』はその名のとおり、家族の未来を想定してまとめます。相続の発生、子の成長や独立などまで見通し、年表に落とし込んでください。

 2つの年表をみんなで共有すれば、親の気持ちに寄り添う終活のヒントを家族全員が得て、話し合いに臨めるのです」

https://www.jprime.jp/articles/-/29996?page=2
より転用しました。

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