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【ケアマネが解説】介護保険認定調査で聞かれる項目や評価方法、期間とは
「認定調査」とは、
市区町村が要介護度を認定するために必要な調査のことです。
介護保険制度で利用できる介護サービスの種類や量は、
要介護度によって変わってくるため、認定調査はとても重要です。
そこで今回は、認定調査を受けるときに家族が知っておくべきことや、正しい判定を受けるためのコツをケアマネジャーである筆者がご紹介します。
出所:厚生労働省:介護サービス情報公表システム
要介護認定を受けるまでの流れ
要介護認定を受けるまでの流れは次の通りです。
1.要介護認定の申請
↓
2.認定調査・主治医意見書
↓
3.審査判定(一次判定・二次判定)
↓
4.市区町村による認定
上記の通り、要介護認定は「認定調査」の結果と「主治医意見書」をもとに審査が行われ、市区町村が認定します。
つまり、認定調査は要介護度を決定するうえで重要な調査となるのです。
認定調査で正しい情報を伝えなければ、現状とかけ離れた認定結果となる可能性があります。
【介護保険】認定調査で聞かれる項目や評価方法、期間とは
それでは、認定調査ではどのようなことを質問されるのでしょうか。
認定調査では、「基本調査」といって、合計74項目の身体状況について質問されます。
この基本調査の項目は以下の5つに加え、過去14日以内に受けた医療行為に分けられています。
認定調査の基本項目
1.身体機能・起居動作に関する項目
2.生活機能に関する項目
3.認知機能に関する項目
4.精神・行動障害に関する項目
5.社会生活への適応に関する項目
6.その他、特別な医療に関する項目
基本調査の評価方法
基本調査の74項目は、「能力」「介助の方法」「有無」の3つの評価軸のいずれかで判断されます。
たとえば、四肢の筋力低下や寝返りなどの身体機能や、意志の伝達ができるかという認知機能は「能力」で評価します。
また、衣服の着脱や金銭管理に対する介助は「介助の方法」、体の麻痺や認知症によるBPSD(暴言、徘徊、興奮など)などは「有無」の評価軸で判断すると決められています。
認定調査に反映される期間
原則的には、調査日より概ね過去1週間程度までが調査に反映される期間と決められています。
認知症の症状については、調査日より概ね過去1カ月間の出来事しか反映されません。
たとえば、1カ月前に転倒して歩けなくなった人が、調査日に回復して歩いている場合では、その時の状態が調査に反映されます。
【介護保険の認定調査】正しく判定してもらうための3つのコツ
介護認定で適正な認定結果を得るためには、認定調査で申請者のありのままの状況や現状での困りごとを正しく調査員に伝えることが重要です。
調査員は、限られた面会時間の中で本人や家族が答えやすいように工夫して話しを聞き出しますが、申請者側も質問に答えられるように事前の準備をしておく必要があります。
認定調査で正しく判定してもらうためのポイントは次の3つです。
- 調査内容を把握しておく
- 家族が同席する
- 具体的に伝える
認定調査で正しく判定してもらうコツ1.調査内容を把握しておく
認定調査での質問内容は、事前に把握しておくことが重要です。
急に質問されると記憶も曖昧で焦ることもあるため、正確に答えられない可能性があります。
調査項目が記載された認定調査票はインターネットで調べられますので、事前に把握しておきましょう。
認定調査で正しく判定してもらうコツ2.家族が同席する
認定調査では、本人ができないことをできると答えてしまったり、普段やらないことを調査員の前で張り切ってやったりする場合がよくあります。
また、認知症のある方では正確な状況を伝えられない場合もあります。
家族が同席しないで、本人任せにしてしまうと結果として介護状態が軽いと判断されてしまう可能性があるため、認定調査には必ず家族が立ち会いましょう。
また、認定調査では本人の答えた内容が実情と違っていることもよくあります。その場合は、本人のプライドを傷つけないためにも場所を移して話をしたり、調査員にメモを渡したりすると良いでしょう。
認定調査で正しく判定してもらうコツ3.具体的に伝える
認定調査では、具体的なエピソードを伝えるように心がけましょう。
そのためには、普段の生活の中で何ができるかできないか、家族が行っている介護の内容などをまとめて記録しておくと良いでしょう。
認定調査の時には、その記録を見ながら正確な情報を具体的に伝えることができます。
また、普段の生活での困りごとや介護者が大変だと感じていることなどをありのままに調査員に伝えることも大切です。
調査員が重要な出来事だと判断すれば、調査票に特記事項として記載してくれます。
要介護認定に納得できない場合には
要介護認定は、申請から原則として30日以内に結果が通知されます。
もしも、通知された結果が実態と異なる認定で納得できない場合には、まずは市区町村の担当窓口に相談して説明を受けることが大切です。
それでも納得できない場合は、不服申し立て(審査請求)や区分変更の申請で、処分の取り消しや再調査をしてもらうことも可能です。
終活に関する記事はこちらをご覧ください。
これからもあなたの人生の終活を
一緒に考えていきたいと思います。!