延命治療受けたいですか?本人と家族では10%近い開き 英国の「人生最終段階のケアシステム」を日本にも

延命治療受けたいですか?本人と家族では10%近い開き 英国の「人生最終段階のケアシステム」を日本にも

「老衰」を死因とする割合が増加している。

令和2年における順位は「脳血管疾患」や「肺炎」を抜き、「がん」「心疾患」に次いで3位で、割合にして9.6%になっています。

「老衰死」は昭和22年をピークに減少していたが、平成13年以降は増加に転じている。

ご案内のとおり、死亡診断書に死因を記載できるのは医師のみである。

厚労省の「死亡診断書記入マニュアル」によると、「死因としての老衰は、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合のみ用いる」とある。

(一社)日本老年医学会の行ったアンケート調査結果によると死因を「老衰」としたことがある医師の割合は53%にとどまり、「老衰」と診断することに難しさや不安・葛藤を感じたことがある医師の割合は46%だったという。

臨床現場では死因の究明を徹底することが求められきた。

しかしながら、近年になって超高齢者の老衰死者数が増加してきたことと、病院から在宅への移行も進み医師とのかかわり合い方が「点から線」になってきたことの影響もあって老衰を死因とする割合が増えてきており、今後ますます増加傾向が進むかもしれない。

同時に「延命治療に対する考え方」に変化が見られるようだ。

内閣府の行った「高齢者の健康に関する意識調査」によると自身が延命治療を受けたいという人は5.1%に留まり減少傾向が進むが、家族に延命治療を受けさせたいと答えた人は14.7%あり、10%近くも開きがあることがわかる。

「できることがあるのなら精一杯やる」というのが医療従事者や家族の心情であるだろうことは想像できる。

延命治療とは胃瘻や点滴による栄養・水分の摂取や人工呼吸器、人工透析なども含まれている。そんななかで考えてみたいのは「食べなくなったらどうするか」ということだ。

「ハリソン内科学」(医療従事者に使用されている内科学の教科書として最も評価されている本)に「食べさせないから死ぬのではない。

死ぬのだから食べないのだ」という記述があるそうだ。(「平穏死」のすすめ より)嚥下ができなくなり誤嚥性肺炎のリスクを減らす意味もあって、胃瘻をつくり栄養を摂取しようとするが、吸収できなくなれば嘔吐することもあり、結果誤嚥性肺炎をおこし病院で肺炎の治療を受けるということがよくあるそうだ。栄養補給が過剰だということだろうか。

三宅島(伊豆諸島)では食べられなくなったら水を与えるだけ、そうすることにより苦しまないで静かに枯れるように息を引き取るという慣習があったそうだ。(「平穏死」のすすめ より)

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上が叫ばれて久しいが、一方でQOD(クオリティ・オブ・デス)「死の質」ランキングが注目されている。

終末期医療環境、終末期ケアの利用可能性・費用・質によって判定される国際ランキングだ。

2015年の指標では日本は80カ国中14位(前回は40カ国中23位)で、今後の緩和ケアの充実が重大な課題として指摘されている。

ちなみに1位は前回につづいてイギリスだ。

イギリスには「ゴールド・スタンダード・フレームワーク」と呼ばれる「人生最終段階のケアシステム」が存在していて、月に1度、意思確認の面談が行われている。

そこで、①本人が元気であるうちに最期のケアのあり方、死の迎え方についての希望をきくこと②本人の最も新しい意思を、絶えず確認し続けること、が実現されている。

この二点はとても重要な要素だ。そこに財産管理の分野も含めて「人生会議(ACP)」の存在意義を再認識した。

日本においても地域になんらかの仕組みを作って、人生会議が当たり前に行われるようになることを願う。

ところで春本番を迎え、木々に咲く花々を楽しまれていることと思う。

花が最期を迎える際、日本語には花によってそれぞれの状態を表す豊かな表現がある。

「桜は散る」、「梅はこぼれる」で、「牡丹は崩れる」、「椿は落ちる」、「朝顔はしぼむ」、「菊は舞う」といった表現を使う。では「人」の場合はどうだろうか。私は「死ぬ」ではなく、できれば枯れるように「往く」(往生)でありたいなと思う。

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参考書籍:「平穏死」のすすめ 著者・石飛幸三(講談社文庫) 「老衰死」NHKスペシャル取材班(講談社)

「絶対に延命治療はしないで」92歳の母の強い意志に、娘はどう向き合ったのか

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