遺贈寄付とは? 相続人以外に遺産を贈り社会貢献する方法

遺贈とは、民法で定められた法定相続人ではない人に遺産を贈ることをいいます。
 
これに対し遺贈寄付とは、社会貢献などの目的で非営利組織(NPO)や大学などに遺贈することをいいます。
 
本記事では、遺贈寄付を行う際の手続きや税金について説明します。

 遺贈寄付について教えて下さい。

遺贈寄付と一般の相続とは、どのような違いがあるのでしょうか。

遺贈寄付とは社会貢献などの目的でNPOや大学などに遺贈すること

遺贈寄付とは、亡くなられた方の遺産の一部、または全部を社会貢献などの目的でNPOや大学などに遺贈することをいいます。

相続と遺贈との違いは法定相続人ではない人に遺産を贈るかどうか

相続とは、亡くなった人の財産(債権、債務)を特定の人に引き継ぐことです。

特定の人とは、民法で定められた法定相続人を意味し、主に親、子、配偶者、兄弟姉妹を指します。

遺贈とは、遺言による贈与のことをいい、民法964条では「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる」と定められています。

遺贈は贈与の一種ではありますが、「遺留分を侵害することはできない」などのルールがあり、法的性質が通常の贈与とはやや異なります。

遺贈についての意識度は?

一般社団法人日本財団が全国の60代、70代の男女2000名を対象に 2021年1月5日に示した「遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査」によりますと、終活について、半数以上の58.2%の人が興味を持っています。

図表1

興味があり やや興味がある あまり興味がない 全く興味がない 合計
17.0% 41.2% 28.6% 13.3% 100%

日本財団 遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査 より筆者作成。

・遺言書でできることを知っているかの認知

図表2

社会貢献団体などへ寄付すること 家族以外の人へ財産を託す(遺贈する)こと 生命保険の受け取り人の指定・変更 未成年後見人の指定、後見監督人の指定 婚外子の認知
知っていた 61.6% 55.7% 49.3% 42.1% 40.8%
知らなかった 38.5% 44.3% 50.8% 57.9% 59.3%

日本財団 遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査 より筆者作成。
 
遺言書で「社会貢献団体などへ寄付すること」(61.6%)、「家族以外の人へ財産を託す(遺贈する)こと」(55.7%)については、半数以上の人が知っていました。

遺言書準備状況

図表3

既に公正証書遺言書を作成している 1.3%
既に自筆証書遺言書を作成している 2.1%
まだ遺言書は作成していないが、近いうちに作成しようと思っている 13.9%
まだ遺言書は作成していないが、エンディングノートは作成した 4.7%
まだ遺言書は作成しておらず、しばらく作成するつもりはない 35.4%
遺言書は作成しておらず、今後も作成しない 42.7%

日本財団 遺言・遺贈に関する意識・実態把握調査 より筆者作成。
 
実際に遺言書を作成している人は3.4%で、作成予定または意向のない人が78.1%もいる結果となっています。
 
遺贈寄付をするためには遺言書が必要であることは認識しているものの、遺言書の作成を考えていないことが伺えます。

遺贈寄付を行うには

遺贈寄付を行う順序は、専門家と相談して遺贈寄付する団体を検討し、遺言書の作成、遺言の執行となります。
専門家と相談

今まで生きてきた人生を振り返り、どのような団体に遺贈するか、また、遺言書作成について家族はもちろん、弁護士や司法書士などの専門家に相談します。
遺贈寄付する団体の情報収集

ひとつの団体にとらわれず、さまざまな団体を検討することをおすすめします。
 
問い合わせることはもちろんですが、実際にボランティアやイベントなどに参加することも、遺贈寄付先を決める重要な要素のひとつです。

次回は、遺贈寄付とは?について詳細をお知らせいたします。

終活に関する記事はこちらをご覧ください。

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