お墓参り代行サービスというのを聞いたことがあるでしょうか。文字通り、お墓参りを業者が代わりに行ってくれるものです。
自分がすべきお墓参りを、赤の他人にお願いするというのは、ご先祖様に失礼で叱られそうな気もしますが、実際にはこうしたサービスは全国的にも広がりを見せており、沖縄でも手がける業者は増えているようです。
ご先祖様に申し訳けれども、お願いせざるを得ない切実な事情もありそうなので、そのあたりも含めて、今回はお墓参り代行サービスに焦点を当ててみたいと思います。
お墓参り代行は昔から普通だった?
お墓参り代行サービスは、仕事が忙しい、海外にいる、遠隔地にある、さらには高齢化や病気などのやむを得ない事情を抱えた人が利用するものです。
祟りがある、と怖れる方もいるでしょうが、いつも縁者を見守ってくれるご先祖様なら、お墓参りを人に頼んだからといって、祟ったりはしないと思います。
実は、お墓参り代行サービスは、昔からありました。代参というのがそれです。
代参は、お墓のみならず、神社仏閣などでも行われていました。なんらかの事情で自分が行けない場合、他人にお賽銭などを渡してお参りを頼んでいたのです。
さらに、こんぴらさんの愛称で知られる四国香川県の神社・金刀比羅宮には、飼い主に代わってお参りに行く「こんぴら犬」という犬もいたそうです。
また、三重県にある伊勢神宮にも「おかげ犬」というのがいたそうで、江戸から相当な距離を主人の代わりに旅をしてお参りしたといいます。それだけの距離を歩けない病人や体力の弱い人がやむなく犬に頼んだのでしょう。
バチがあたったりはしない
犬はともかくとして、縁者の代わりに他人がお墓参りを代行するというのは、考えてみれば、ごく普通の習わしだったともいえます。
というのも、菩提寺にお墓がある場合は、お寺の人が縁者の代わりにお墓を掃除してくれるのは普通のことですし、霊園などに永代供養をお願いしていれば、それも一種のお墓参り代行サービスといっていいでしょう。
したがって、他人にお墓参りを頼んでも、それでバチがあたるなどといったものではありません。
めんどうだ、わずらわしいなどの怠け心で行かないのは、いかがなものかと思いますが、事情によってはまったく問題はないと考えられます。
普通にお参りをしてくれて写真報告も
では、お墓参り代行サービスとは、どんなことをしてくれるのでしょうか。大まかには4つにあります。
まず、お墓の掃除です。墓石を磨いたり、そのまわりの草刈りをしたり、ほうきをしたりという、沖縄ではシーミーや七夕のときにやることを普通にやってくれます。
次は、お供えです。お花や食べ物、飲み物を供えます。オプションで、事前に伝えておけば故人の好みの食べ物などを供えてくれるというサービスもあります。
そして、メインとなる合掌礼拝です。もちろん業者のスタッフが実際にお墓を訪れて行います。業者によってさまざまですが、お線香を上げるサービスを料金に含んでいたり、オプションだったりします。
最後に、業者から報告が入ります。メールだったり文書だったりしますが、写真付きで報告が来ます。現地の様子が写真で確認できるので安心ですね。
また、遠距離などでお墓の現状が確認できない場合は、お参り前に業者が現地におもむき、写真を撮って送ってくれるサービスを提供している業者もあります。それと、お参り後の写真を比較すればビフォーアフターが一目瞭然ですね。
料金は10,000円前後でお参りのみなら5,000円も
料金については、サービス内容によって幅がありますが、沖縄では10,000円前後というのが一般的だと思われます。
また、このところのコロナ禍による外出自粛傾向を背景にして、タクシー会社がお墓参りを代行するサービスも登場しています。タクシーの乗務員がお墓を訪れ、簡単な掃除をし、線香を上げて合掌礼拝、最後に写真も撮影して届けてくれるそうです。
料金は最寄りの営業所からお墓までの片道タクシー料金に5,000円追加とのこと。したがって、お墓参り代行サービスの実質的な料金は5,000円となり、これはかなりリーズナブルといっていいでしょう。
沖縄の場合、ひんぱんにお墓参りをしないのが一般的ですが、業者によっては1年の回数を決めて年間セットでサービスを提供しているところもあるようです。
それを拡大して考えれば、毎年お墓参りを頼むなど、長期的な利用もあり得るでしょう。縁者がほとんどお墓に行かなくなってしまいますが、少なくとも無縁墓にするよりはずっと良心的といえます。
まとめ
お墓参り代行サービスは、ご先祖様を怒らせてバチがあたるようなものではありません。
内容は、掃除、お供え、合掌礼拝、写真付きの報告がセットというのが一般的です。
良心的な業者はホームページで料金を明確に出しているので、それらを比較して選ぶのがおすすめです。