沖縄風習シリーズ「お墓にユタが来た!」~沖縄独特のユタについてのお話~

ウチナーンチュならユタについて聞いたことがある人も多いでしょう。新しくお墓を建てたときや墓じまいするときなど、通常お坊さんに来る場にユタが来ることがあります。

ところで、菩提寺という言葉を聞いたことがあるでしょうか。沖縄ではあまりなじみがないので、聞いたことがない人もいるでしょう。

菩提寺というのは先祖代々のお墓があるお寺のこと。本土では代々のお墓がある菩提寺が家の葬儀や法要などを一手に引き受けます。いうまでもなく仏教を背景としたシステムとして機能しています。したがって、仏教の影響が少なかった沖縄では、菩提寺を持つ家はほとんどありません。

そこで、沖縄ではお葬式や法事の際は近隣のお寺や、葬儀社等が提携しているお寺にお願いしてお坊さんに来てもらい、読経して供養してもらうのが一般的です。

しかし、お坊さんではなくユタに頼むことがあります。これは、菩提寺の制度とはほとんど真逆にある、沖縄独特の習慣といっていいでしょう。

今回は、ユタについて、おさらいも含めて解説してみます。

★沖縄の伝説・風習シリーズについてのご理解ご協力へのお願いをコラムの最後に書かせて頂いていますので読んで頂ければ幸いです。

※ふう しゅう 【風習】⇒その地域社会で、人々が長年に渡って伝えられたきた生活や行事の独特のならわし。しきたり 風俗習慣

そもそもユタって何者?

ユタとは沖縄や奄美群島などにいる霊媒師兼占い師のような人です。近い存在といえば、青森県の下北半島にある恐山のイタコだと思われます。イタコは「口寄せ」といって、亡くなった人の霊魂を自分の体に憑依させ、縁者などと話をさせます。

ユタは、通常はカミダーリといって心身に異常をきたし、その後御嶽(ウタキ)などを巡って修行を積んでデビューするとされます。ちなみに、だれでもなれるというものではなく、なりたくてなれるものでもありません。

一説によるとユタは沖縄県内に1万人ほどいるといわれます。140人に1人くらいの割合なので、かなり多いのではないでしょうか。男性もいますが、大部分は女性で、病気や近親者の死、離婚などがきっかけでカミダーリになるといわれます。

つまり、なにかの不幸な経験を経て、心身に異常をきたし、神様もしくは霊的な存在の導きによって、必然的にユタになるというわけです。ただし、中にはお金目当ての偽物もいるといわれますが、見かけだけで本物かどうか判断するのは困難といっていいので、気をつける必要があります。

家、事業、体のことなどユタの守備範囲は広い

ユタに相談に行くのは、お墓がらみだけではありません。たとえば、家を新築するとき、事業を始めるとき、病気にかかったときなど、多岐に渡ります。

相談を受けたユタは、「その土地は、昔お墓だったところだから家を建てるのはやめなさい」とか、「あんたは事業を始める前に拝所めぐりをしなさい」とか、「あんたのお父さんが、継いではいけないトートーメーを継いだのが病気の原因。それをなんとかしないと治りません」などとアドバイスします

相談は1回30分~1時間ぐらいで、料金は3000円程度。出張で供養やお払いなどをするときは3万円ぐらいかかるようです。

また、親族が亡くなると、とりあえずユタを訪れる場合もあります。亡くなった人をあの世から呼んでユタの体に降ろしてお話しし、いい残したことや希望を聞いたりすることもあります。

ただし、これを何度もやると、「せっかくあの世でのんびりしているのに、しつこく呼ぶな」と、ユタの体に降りた故人に怒られこともあるそうです。

医者のように医療にも貢献する??

沖縄には「医者半分、ユタ半分」という言葉があります。病気に悩む患者さんが医者にかかる場合もあれば、ユタに相談するときもあるというのです。

実際に本当かどうか真実はわからませんが?実際に医者の中にも、病気の原因が分からないときや、心理的な原因が疑われるときなどは、「ユタに行きなさい」と患者にいうドクターもいう噂まであります。

ユタに相談することで症状が改善することもあるからで、医者が信頼するユタを紹介することもあります。

さらに医者自身も、心身に異常を感じたときにユタに相談することがあるといいます。このように、特に精神医療の分野においては、ユタがかなり貢献しているという意見もあります。というのが沖縄の実情です。

★しかしユタに盲信して全財産を失って路頭に迷っている話も聞きますので十分に気をつける必要があります。

占い・易者なども全て自己責任で決断しないと全財産を失ったという証言を筆者も被害者に何人かにお会いしましたの注意が必要と思います。

習慣的にセカンドオピニオンをする方が大多数

さて、お墓の建立に関わらず、人生の決断をする場合に依頼することになったときは、なんといっても信頼できる人を選ぶことが大切です。なじみのある信頼する人に相談してできれば3人くらいに会って、いっている内容を吟味してみるのが無難です。

また、たくさんの依頼実績のあるユタを選んでいるようです。

なかには普通の占い師なのか本物のユタ?なのかわからない人もいるようです。

まとめ

ユタに関しては賛否両論ありますが、沖縄社会に根付いていることはたしかです。

また、ご先祖様がこういっているなどと、ユタからいろいろいわれることもありますが、すべて鵜呑みにして振り回されることのないよう、気をつけるのも大切です。

特別資格がある訳ではないので(玉石混合)である事には間違いありません。

ぎょくせきこんこう【玉石混淆】  goo辞典より引用

すぐれたものとつまらないものが入り混じっていることのたとえ。

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※毎回書かせて頂いている「沖縄の風習シリーズ」はみくにの会社もお陰様で6年目に入り、地道に毎日、稚拙なブログを書かせて頂いています。

このグログを読んだ読者様からじつにさまざまな御質問等を頂きます。

その中から沖縄に昔からある伝説・風習等を調査してその意味等を書かせて頂いています。

その為にその地域独特の「伝説・慣習」には、現在の社会情勢・常識から乖離した習慣もあります。著者としてその習慣について擁護・批判する立場には加担する目的はありません。

予めご理解・ご協力の程宜しくお願います。

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