21世紀に入って、ひとつのトレンドにもなっている終活。このコラムでも生前墓との関連で終活を取り上げたことがあります。
もちろん終活という概念に含まれるのは生前墓だけにとどまりません。自分らしい人生の最期を考える終活にはさまざまな側面があります。
終活には死と向き合うという面があります。そのためネガティブな発想ととらえられがちですが、実は残りの人生を豊かにするという効能があります。発想を転換して終活を楽しむという姿勢があれば、前向きに行うこともできるでしょう。
今回は、終活を楽しむためのコツのあれこれについて考えていきたいと思います。
健康な時から始めるのが楽しい終活のコツ
健康で、そう簡単には死にそうにない人が「終活をする」と周囲に話すと「なにいってるの、縁起でもない!」などとリアクションを返されて、ついヘコんでしまうこともあるようです。
しかし、終活は知力も体力も充実したときにこそ始めるのがよいとされています。実際40代や50代、さらに30代で始める人もいるほどです。高齢になって焦ったり、病気になってからよりも、健康なうちに人生の総決算としての終活を考えるのは、理にかなったことといえます。
まずやっておきたい断捨離
断捨離という言葉があります。ご存じの方も多いと思いますが、身の回りにある不必要なものを減らし、シンプルで快適な生活を目指すことをいいます。
この断捨離、終活においては生前整理とも呼ばれ、非常に有効だといわれます。というのも、亡くなったとき、故人のまわりにモノがあふれていたら、遺族はその処理に苦労することが多いからです。ひとつひとつに故人の思い出が詰まっていると考えたら、なかなか捨てられない場合もあるでしょう。
こうした遺族のわずらわしさがあらかじめ軽減できるのは断捨離の大きな効用です。
断捨離の対象は生活小物から衣類、本、家具・家電、さらにはデータとして存在する写真やテキストなどなど広範囲になります。知力体力が充実しているときから始めたいというのは、こうした理由もあります。
断捨離にはモノを整理することで心の余裕ができる、ストレスが減る、時間にゆとりができる、モノを売ったり買うモノが減ったりすることでお金に余裕ができるなど、さまざまな効用があります。まさに楽しみながらできる終活の一手段といえます。
その上で、モノに対する終着やこだわりを少なくして、残りの人生を心豊かに過ごすことにもつながるとなれば、やらない手はありません。
終活に役立つ坊主バー
「終活の始まりはお寺」ともいわれます。お葬式やお墓などがカラむ話なので、終活においてお寺が果たせる役割も大きいかもしれません。
この発展型なのかもしれませんが、最近東京や大阪などを中心に坊主バーが増えてきています。もちろんお酒を提供するお店なのですが、本職のお坊さんが接客スタッフを務めます。
若い女性の人生相談に乗ったりすることもあって評判になったのですが、もちろん終活を考える人にアドバイスをしてくれるので、男性のお客さんも増えているそうです。
お葬式やお墓について助言してくれたり、極楽浄土を語りながら残りの人生を豊かに送るヒントを与えてくれたりと、いわばその道のプロなので頼りになるでしょう。坊主バーの女性版で尼僧バーも出現しているそうです。
終活保険って、なに?
楽しいかどうかはわかりませんが、安心をもたらすアイテムとして終活保険というものがあります。
これは手ごろな保険料で、比較的高齢の人でも簡単な手続きで入れて、亡くなったときの保険金は葬式代やお墓の購入費として活用できます。これにより遺族の経済的な負担の軽減が可能になるというわけです。
「子どもにはなにも残してあげられないけど、お金の迷惑をかけたくない」という人が検討しているようです。
楽しく書こう自分史
エンディングノートという言葉を聞いたことがあるかもしれません。世を去るときに備えて、家族に対して伝えたいことなどを書いておくものです。延命治療に関する希望、臓器移植、お葬式のやり方やお墓に関することなど、かなり実務的なことまで記述するのが一般的です。
エンディングノートに近いものの、家族のためだけではなく、自分の人生を振り返り、残りの人生を充実させるものとして自分史というものがあります。
自分の歩んできた道や印象に残るできごとなどを振り返りながら人生を見つめ直し、記述していくのが自分史の本質といえます。
誰に強制されるわけでもなく、思い立ったときに書き始めるのがよいでしょう。そしてある程度原稿としてまとまったら、書籍として出版するという手もあります。人生の集大成として自らの足跡を著した本。それを親族や友人たちに配ることができたら、すばらしいことだ思いませんか。自分史はまさに究極の終活といえます。
まとめ
結局終活は、長い人生をもっと楽しんで、長生きするためのものといっていいでしょう。だから早いうちから考えておくのがよいということになります。