「墓石ってどこからくるの?」~墓石のふるさとの話~

以前のコラムで、国産の墓石に代わって値段の安い中国産の墓石が大量に入ってきて、そのおかげで沖縄のお墓は石造りが主流になった、というお話をしました。

さらに、中国だけでなく他の国々からも墓石が入ってきています。日本のお墓が外国の石でできているというのは、なにか不思議な気もしますが、グローバル化の波はお墓にもおよんでいると考えれば自然な流れといえるでしょう。

また、輸送の技術が進歩して、重量のかさむ石材を大量にかつ安く運べるようになったという、実際的な背景もあります。

今回は、墓石はどんな国から入ってくるのか、整理してみたいと思います。

中国産

日本に中国産の墓石が入り始めたのは、1980年ごろからといわれています。2000年ごろからは日本の加工技術と機械が現地に導入されるようになりました。これにより、それまでに比べて品質も大きく向上しました。

もともと同じアジア地域ですし、中国の石は国産の石に似ているともされるため、なじみやすかったのかもしれません。また、宗教をはじめとする日本の文化のかなりの部分が、中国から入ってきたことを考えると、受け入れやすかったともいえます。

中国産墓石の特徴をひとことでいうと、とにかくコスパがいいことでしょう。国産に比べると圧倒的に安く、そのわりに品質がよいというわけです。それによって、現在日本における墓石のシェアの約80%を中国産が占めています。

インド産

インド産墓石は、中国産が大量に入ってくる以前から輸入されていました。特に黒御影石はきわめて硬く、色がよいことなどから評価が高く、一定の人気を得ています。

また、色の種類も黒系をはじめとして白系・グレー系・赤系・ピンク系・緑黒系、さらに大理石に似たマルチカラー系など、さまざまなラインナップがあり、顧客の要望に合わせやすい点も根強い人気の秘密です。

ただ、生産量が不安定な傾向があり、最近はやはり中国産に押され気味です。

南アフリカ産

アジア地域はともかくとして、日本からはるか遠いアフリカの南端からも墓石が輸入されているのは意外な気もします。しかし、なかなかの支持を得ているのも事実。理由はいろいろありますが、そのひとつは中国産やインド産に比べて色合いが豊かなことのようです。

なかでも特に人気なのがインパラブルーと呼ばれるタイプ。青い結晶が石の表面に散在し、陽の光を浴びると神秘的な輝きを放ちます。また、オリーブグリーンというタイプも色合いが美しく、人気を誇っています。

ただ、アジア産と比べて価格がやや高いのがネックです。その要因は品質のよさにもありますが、輸送コストの高さも影響しているようです。というのも、南アフリカを出発した石材はいったん中国に荷揚げされ、そこで加工されてから日本に送られるケースが多く、輸送の手間がかかってコストが高くつくというわけです。

とはいえ、色合いの美しい南アフリカ産墓石は、洋風のお墓の石材として使われることも多く、根強い需要があります。

北欧産

スウェーデン、フィンランド、ノルウェーなども質の高い墓石の産地として知られています。特にスウェーデンで産出するファイングレーという石材は、別名スウェーデン黒御影とも呼ばれ、世界的にも最高級の墓石とされています。

フィンランドではフィンランドグリーンが有名です。薄い青または緑色の風合いが美しく、高級御影石として珍重されています。

ノルウェーではブルーパール、エメラルドパールと呼ばれる石材が知られています。いずれも貝殻の化石を含む御影石で、ダークブルーやグリーンの、あたかも宝石のような輝きを放つのが特徴です。そのため、もともと屋内の装飾用に使われていましたが、墓石としても人気が出るようになりました。

日本産

さて、歴史的にもっとも多く使われてきたのは、いうまでもなく国産の墓石です。日本は国土は狭いものの、石材の宝庫ともいわれ、北海道から沖縄まで、どこでも墓石材が産出します。

地元で採れた墓石材ですから、気候風土ともよくマッチするのは当然といえます。また、品質の良さや高い加工技術も背景にあって、安心感をもたらすというのも特徴でしょう。

その一方で、価格の高さがネックとなって、近年は中国を中心とする海外産に押されて気味ですが、やはり国産の墓石を使いたいという人は今もいます。墓石として使われる御影石は花崗岩が原料で、茨城県真壁町、愛知県岡崎市、香川県高松市庵治町が日本の花崗岩の三大産地といわれています。

まとめ

他にもお隣の韓国や中南米など、世界各地の石材が墓石として使われています。アジアはもちろん、アフリカや南アメリカなどからもはるばる海を渡ってくることを考えると、ロマンすら感じられますね。ただ、最初は美しくても意外に経年劣化が早い石があったりもしますので、墓石を選ぶ前に信頼できる業者を選ぶことが大切でしょう。

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