墓地以外の場所でもお墓の建立は可能?

最近は、亡くなった身内の方のご遺骨を墓地に埋葬せずに散骨する方も増えていますね。

樹木葬のような新しい埋葬のスタイルを選ぶ方も増えていますが、お墓は空いている場所があれば勝手に建てることができるのでしょうか?

例えば自分の家の庭に建ててもいい?それともお墓を建てる場所について何か規制があるのでしょうか?

お墓を建てることができる場所について、墓地以外の場所でも可能なのか?詳しくご説明します。

お墓を建立する墓地とは

墓地とは、文字通りお墓の土地です。同じような言葉に霊園という言葉もありますね。何となく雰囲気が違うと思われるでしょうが、基本的に意味に違いはありません。

墓地といわれるものには次の個人墓地・公営墓地・民営墓地・寺院墓地の4つの種類があります

個人墓

市町村の許可を受けることでお墓を建てることができるという規定です。

適切な墓地がない、理由書の提出などの厳しい条件があります。

「特別な事情」に該当するのは、公共事業で移転を余儀なくされた場合や災害復旧のために移転する場合です。

しかも、この例外的な取り扱いは、簡単に許可はもらえないと考えた方がよいです。現在では新たに個人で進めてお墓の土地を持つことは極めて困難です。

個人で墓地が必要であれば、お墓のプロにお任せするのが賢明と言えるでしょう。

公営墓地(公営霊園)

地方公共団体が運営・管理する墓地です。

一般的に墓地を利用する際は、最初に支払いが必要な永代使用料と年々支払わなければならない管理料があります。

これらの費用は寺院墓地や民営墓地に比べると大幅に安いケースが多いです。

公営墓地は費用が安い反面、管理が行き届いていないのではと心配されるかもしれませんね。しかし最近の公営墓地はきちんと管理も行き届いた霊園が多いです。

一方で費用が安く管理が行き届いている公営墓地にも弱点はあります。

1つは、何時でも申し込めるわけではなく、募集時期が限られていることです。年に一度の募集という公営墓地が少なくありません。

もう1つは、費用が安く人気が高い反面、募集区画がそれほど多くないということです。

このため、申込倍率が高くなり、抽選になることが多いことです。公営墓地はご希望の時期に必ずしも利用できないということが難点です。

沖縄県の公営墓地を参考までにご紹介します。

  • 浦添市営浦添墓地公園:沖縄県浦添市字当山世利原
  • 宜野湾市営宜野湾市野嵩霊園:沖縄県宜野湾市字野嵩坊主又原
  • 嘉手納町営嘉手納霊園:沖縄県中頭郡嘉手納町字東621番地

民営墓地(民営霊園)

宗教法人・公益法人などの民間の事業者が運営する墓地・霊園です。

民営墓地は通常宗教・宗派が不問で、仏教だけでなく神道・キリスト教あるいは無宗教でも利用できる霊園が多いです。

また最近増えている生前購入が可能な霊園が多く、基本的にいつでも申し込むことができます。

お墓の区画の位置や大きさを自由に選ぶこともでき、さらに建てる墓石の種類やデザインも自分の好みに合わせて自由に決められるタイプが多いです。ご予算に応じて好みのお墓を建てられる点でメリットは大きいですね。

一方で、公営墓地と比べると永代使用料や管理費などが高めになる点は否めません。墓地によって違いもありますので、好みに応じた墓地を探してみるのもよいですね。

沖縄県の民営墓地を参考までに幾つかご紹介します。

  • 名護やんばるメモリアルパーク:沖縄県名護市屋部728番地
  • 宮古島メモリアルパーク:沖縄県宮古島市平良字松原1290-2
  • 新川霊園:沖縄県島尻郡南風原町新川

寺院墓地

お寺の境内などにある墓地でお寺が経営主体となって管理する墓地です。

寺院墓地にお墓を建てるときは、通常入檀料などのお布施を渡して檀家になります。

檀家の方は、それ以外にもお寺の行事などに際して寄付が必要なことがあります。その意味で寺院墓地は、どちらかというと他の霊園より費用負担が増えることが多いです。

寺院墓地は、歴史と伝統のあるお寺が経営するものが多く、経験豊富なご住職がおられるのが強みです。墓地の管理が行き届いているだけでなく、葬儀や法要のことにも詳しいです。

代々お世話になっている場合は、ご遺族以上に過去の経緯などもご存じです。分からないことがあればすぐに問い合わせることができ、安心感をもてるでしょう。法要や供養も手際よくやってもらえます。

また寺院墓地も最近は宗教宗派不問というところが増えています。檀家にならなくても利用できる場合も増えています。

沖縄県の寺院墓地を参考までに幾つかご紹介します。

  • 知花墓地:沖縄県沖縄市知花3-18
  • 与那原洪済寺霊園:沖縄県島尻郡与那原町字板良敷1121-1
  • 西原浄苑:沖縄県中頭郡西原町字内間421-1

お墓の建立は墓地・埋葬法の規制がある

本題の墓地以外の場所にお墓を建てることができるかという点について、結論から先に言いますとほぼ不可能です。

理由はお墓を建てる場所・ご遺骨の埋葬ができる場所は、墓地・埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」と言います)で決まっているからです。

墓埋法では、「墓地」はご遺体を埋葬あるいはご遺骨を埋蔵するお墓や納骨堂を設置する区域に限っています。

そして、墓地や納骨堂の設置については都道府県知事の許可を受ける必要があります。ご説明した公営墓地・民営墓地・寺院墓地は、この墓埋法で経営が認められているものです。

つまり、墓地以外の場所でのお墓の建立は禁止されているのです。また、ご遺体の火葬・埋葬を行うときは市区町村長の許可を得なければなりません。墓地・納骨堂以外の場所にご遺体・ご遺骨を埋葬・収蔵することは、法律上禁止されているのです。

墓地を使う権利

それでは墓地を使う権利は、どのような権利なのか見ていきましょう。

お墓を墓地に建てること、お墓が必要なくなったら処分することはお墓を建てた人が好き勝手に自由に行ってもよいのでしょうか。

土地の権利には、所有権と使用権の2つのパターンがあります。

お墓は、墓地の区画の使用料を払って建てるのが普通です。古くから住み続けている場合は、自分の家の庭先に代々のお墓が設けられていることもありますが、極めてまれです。

墓地の一部を借りてお墓を建てる権利を永代使用権と言います

永代使用権は、文字通り使用権で所有権ではありません。因みにお墓の墓石自体は、墓地の管理者ではなくお墓を建てた方の所有に属します。

墓地は自由に売却できない

お墓を建てた方は墓地の使用権を持つだけです。

お墓を勝手に売ったり、他の人に譲ったりすることはできません。お墓をお墓以外の目的に使うこともできません。

墓埋法が制定される以前からあるお墓

墓埋法が制定される以前は、地域によっては集落ごとの共同墓地もありました。

個人の私有地に代々のお墓が建てられている場合も少なからずあります。沖縄にはこのような集落墓地や個人墓地が残っています。

それらは既存墓地として墓埋法上も認められていますので、現在でも法律上、問題ありません。

自分の土地にお墓を建立できるか

それでは、自分の土地であればお墓を建てることはできるのでしょうか?

これまでご説明したとおり墓地の設置・経営は法律で規制されています。そして、ご遺体・ご遺骨の埋葬は許可を受けた墓地以外の土地では行えません。

多くの自治体は墓地経営の許可は、地方公共団体か宗教法人・公益法人に限ると定めており、新たに個人でお墓の土地を持つことは専門家を通さないと難しいもの。

お墓を建てる場所が墓地以外の土地の場合は、宅地や畑・山林・原野などの空き地であっても、勝手にお墓を建てることはできません。たとえ自分の土地で広大な面積があっても、墓地でない土地を使うことは認められていないのです。

また、仮に自分の家で代々お墓を所有していても、新たなお墓の建設や墓地の譲渡は自由に行うことはできません。

お墓の建立と税金

最後にお墓にかかる税金について補足しておきましょう。

土地にかかる税金には、土地を取得した場合の税金として、国税の登録免許税・地方税の不動産取得税があります。

土地を持っている場合は固定資産税・都市計画税があります。

墓地は管理者に所有権がありますので、お墓を建てた方・使っている方には、これらの税金はかかりません。相続税や贈与税も所有権がありませんので、対象になりません。

個人所有の墓地の場合

沖縄にも先祖代々受け継いできた個人所有のお墓があると思いますが、どのような税金がかかるのか心配かもしれませんね。

墓地・墓石・仏具などは法律で祭祀財産といい、相続税の対象ではありません。墓所や祭具などは相続税の非課税財産です。

ただし、骨董品としての価値があり投資対象となるもの、商品として持っているものは相続税の対象になります。

まとめ

ご紹介したようにお墓を建てる場所は法律で墓地に限られています。

お墓を建てること、埋葬をすることについては、いろいろな法律上の制限があるのです。法律で決められた方法以外の形で埋葬すると、死体遺棄罪に該当し処罰の対象になることもありますので絶対にNGです。

墓地には個人墓地、公営墓地・民営墓地・寺院墓地がありますが、それぞれ特徴があります。

埋葬の形や費用なども考えて、故人の意思を尊重しつつ、ご家族ともよく相談されて、ご自分達の希望に沿ったお墓・墓地を探してみることをおすすめします。

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