墓地の継承者がいない人や経済的な理由から墓じまいを考える方は増えています。個人墓、民間霊園、寺院墓地と供養の方法は様々。
昔のお墓は、場所が悪いところで建てられているパターンもあり、お住まいの地域の近くで新しくお墓を建てることを検討する方もいらっしゃいます。
この記事では、墓じまいについて豆知識から費用負担までさまざまな角度から解説していきます。
目次
他人事ではない!?墓じまいを考える人は年々増えている
核家族化が進み毎年の先祖のお墓参りに参加できない、墓地の継承者の不在など、時代の変化で、お墓自体の在り方について疑問に感じる人も多くなっています。
墓じまいを検討している方には、どんな背景があるのでしょうか。
少子高齢化や跡継ぎ不在でお墓の守り手がいない
少子高齢化や核家族化が進む中で、お墓が遠方にあるため頻繁にお墓参りに行けない、または高齢のためお墓参りに行けないのです。
そのため、お住まいの地域で移転先を探している方も多くいらっしゃいます。
代々受け継がれてきたお墓を守る人がいない状況に陥ることもあるので注意が必要です。
これらは「墓じまい」を考える人が増えてる原因の一つかもしれません。
無宗教の考え
そもそも日本人は、無宗教と考えている方が多い。40代、50代で墓地の存在自体を重視しないといった人が増えています。
お墓を維持することに対して費用をかけて維持することに価値を感じていないこともあり、墓地の簡素化に繋がっているのでしょう
決断をする前に親族で話し合うこと
墓じまいをするにも費用もかかります。即断即決するものではありません。
費用負担や付き合いがあるため、デメリットを感じる方もいます。
法要や葬儀を行ってもらうお寺やお坊さんを探す必要も出てきますのでデメリットも検討した上で親族とよく話し合ってから決断しましょう。
墓じまいにかかる費用?項目と料金の目安
墓じまいの費用は、墓地から墓石の撤去と更地に戻す費用だけではありません。
この章では、墓じまいの関連費用について解説します。
墓石の撤去費用
墓地の撤去費用は、墓地の敷地の広さで決まります。
およそ1㎡で10万~15万が相場。作業は地元の石材店にお願いすることになります。
墓地の立地次第で墓石を持ち上げる重機が入れない場所や墓石の形状や外柵など付属品の処分もある場合は、撤去費用は高くなります。
相見積もりを取りながら、費用を比較するようにしましょう。
更地に戻す必要がある
墓地を処分(墓じまい)をする時には、墓石の撤去と敷地を更地にもどす必要がある「現状回復義務」が生じます。
霊園墓地の場合は、無期限で使用する「永代使用権」というものを購入するわけで土地の所有権を持っているわけではありません。墓地返還時にこの使用権の取得費用が返還されることはないです。
別途発生しますのでご注意ください。
閉眼供養の費用
閉眼供養とは、「御魂抜き」と呼ばれることもあります。
墓石に宿る魂を抜き出すという儀式です。。
現在では、撤去作業をする前に、お坊さんを呼んで読経し焼香をあげるなどを行うのが一般的。
閉眼供養を行う際に渡すお布施や車代などで費用が発生します。
相場は地域やお寺によって異なりますが、1万円~10万円はかかるでしょう。
遺骨の移転先(供養先)の費用
移転先をどこにするかで費用は変わってきます。最近多くなってきた合同墓地での永代供養を希望する場合は10万~30万程度が目安です。
散骨をして、費用を抑える方法もありますが、いずれも遺骨を取り戻すことができないので注意が必要です。※お墓が必要だったと思い返しても戻すことはできません。
親族でよく話し合って決定すべきでしょう。
移転にはどんな方法があるのか?
墓じまいをする際に、遺骨の移転先をどこにするかを事前に決める必要があります。
新たな個人墓、霊園、寺院に移す以外にもいくつか方法があるので先に把握する必要があるので参考にしてみてください。
ここからは、お墓の移転先について紹介します。
個人墓(新しいお墓)
場所・形・広さなど自身の好みで決めることができるのが個人墓の大きな特徴です。最近は、墓、土地を含めても200万程度で販売しているお墓屋さんも増えています。
数十年後の劣化、大きなひび割れなどよほどのことが無い限り、お墓は崩れることはありません。追加費用が発生するなど、子供たちに金銭の面で負担になる心配も少ないのが個人墓の良いところです。
唯一、管理は自身でやっていく必要はあります。最近は、霊園のように草刈りやお墓の周りの掃除、墓石のひび割れや劣化のチェックを定期的に行ってくれる販売店もあります。
今も生前墓の需要があるのは、定期的なメンテナンスやアフターフォローなどサービスの質の向上や価格の変動が大きく影響していると考えられます
合同墓地(合祀墓)
合同墓地は、他の遺骨と一緒に祀られるお墓。
個人の占有スペースはなく共有の場所に埋葬されます。費用は10~30万くらいが目安です。
ただし遺骨は、他の遺骨と一緒になるため取り出すことはできません。
永年供養を行うプランでは、納骨後は寺院が永代に渡って手厚く供養してくれます。
納骨堂(合同墓地)
納骨堂は、夫婦や単身者という単位で遺骨を納める場所を提供してくれるサービス。
お墓の「集合住宅」というイメージです。
比較的交通の便が良い場所に納骨堂がある場合が多く、遠方のため墓地まで行けないということは少ないでしょう。
お墓の建立もいらず管理も簡単に行えることから納骨堂を利用する人は増えています。
費用感は、広さや設備にもよりますが、一定の期間までを選び期間終了後は、合祀されます。
樹木葬
樹木葬とは、墓石の代わりに桜やハナミズキなど樹木をシンボルとし、その周りに遺骨を埋葬するスタイルです。
管理のかからない合祀墓の永年供養で単身者や夫婦での契約なら費用も低く抑えられます。
相場として5万円~200万円と立地条件により大きく異なります。費用は1名あたりの埋葬になるため、人数が増えると割高になることがあるので気を付けましょう。
散骨
故人が思入れのあった場所など散骨が可能な場所で遺骨を粉骨にして撒くことです。
散骨を行うひとは少数ですが、墓石建立や管理する必要もないのでお墓を継承問題や無縁仏になるという心配がありません。
自治体により散骨ができない地域はあるため、専門業者に依頼する必要があります。
費用感としては、親族立ち合いのもとでの合同散骨なら約10万前後、業者に完全委託なら約5万前後を目安にしましょう。
民間霊園、寺院墓地は解約することはできる?
行事やお布施、葬儀や読経をお願いしたり、密接な関わりがあることでしょう。先祖のお墓の供養をお願いしている民間霊園、寺院墓地を解約することはもちろん可能です。
しかし、役所のように紙切れ1枚で手続きが完了するわけではありません。解約する場合は、関係を悪化しないよう事前に相談しながら話を進めましょう。
墓じまいの際には「埋葬証明書」発行してもらう必要があります。
民間霊園や寺院墓地の維持費用や負担について
墓地の区画や墓石の購入、法要のお布施などお墓に関する費用負担は、トータルで数百万~数十万と結構な費用がかかります。
霊園や寺院は、墓地スペースを貸しているわけですのでお墓の維持費用や法要のお布施や謝礼など年間を通してかかる費用があります。お寺の改築や整備など寄付を求められる場合もあります。
個人墓ならこれらの費用負担がなくなるので負担が軽減されると言えるでしょう。
ただ、これまで法要や葬儀などで読経など仏事ごとは霊園や寺院が行ってくれました。解約するなら法要・葬儀も継続してお願いすることはできなくなります。
民間霊園や寺院墓地でお墓の法要から管理まで任せているので、関係を断ちづらい事情もあるでしょう。
転勤などで遠方に引っ越し現地での関係が切れるのを期に、永代供養を決断する人もいます。
解約しても返金されることはない
やめる際に解約料が発生することは基本的にありませんが、返金もないです。
正式な契約を交わしていない限り、法的に支払う義務はありません。
遺骨を移動させるには埋蔵証明書を発行してもらう必要があるため、穏便に進める必要があるので注意しなければなりません。
まとめ
代々守っていく墓地の必要性は、時代が変わるにつれどんどん価値観も変わってきています。
受け継がれてきた墓地を続けることが難しいケースもあるでしょう。
先祖だけでなく、将来いつか訪れる自分の死後、どう弔ってほしいのか?家族と一緒に考えてみることで、自然とその答えが出てくるかもしれません。
本記事を通してじっくりと検討してみてください。