沖縄でも需要が高まる『手元供養』の意味について

近年の沖縄でとても需要が高まってきている「手元供養」。

基本的に沖縄ではお墓がある場合、遺骨は葬儀当日の納骨されます。これは風葬の名残がある沖縄ならではのことで、「遺骨を持ち帰ってはならない」というものがあるからです。

しかし、葬儀当日に入るお墓がなかったり、納骨堂へ預ける予算もない場合もあります。

そんなときに手元供養を選ぶ方が多くなりました。

そこで今回は沖縄で手元供養をする場合の拝み方をお伝えしていきます。

手元供養とは

基本的に沖縄のお仏壇は位牌以外のものをあまり入れません。

なので沖縄で遺骨を長く祀りたいのなら、粉骨して小さくまとめ、お仏壇の脇か別スペースに祀ると親族トラブルも避けられおすすめです。

そういった背景もあり、今では手元供養用の小さな祭壇も販売されるようになりました。

A4サイズほどの祭壇で、来客時には扉を閉めるなど祭壇に見えないおしゃれな作りのものもあります。

ヒヌカンに拝む

沖縄でお仏壇と同じように、まずはヒヌカン(火の神)へ通します。ヒヌカンへはお墓がないこと、家で祀ることになったことを報告しましょう。

近年では、現代の言葉で報告する家も多いですが、昔ながらの沖縄言葉での下記のようにグイス(祝詞)をお伝えるすると良いでしょう。

「ウートゥートゥー ヒヌカンヌ ウカミガナシー、

(あな尊き ヒヌカンの神様)

〇〇ガ ユーアマイトゥビタシンガ、フーシヌネーヤ ブラングトゥ、

(○○が亡くなったもののお墓がないので、)

チューカラ チネーサンムトゥウトーティー、マチールクトゥンカイ ネイビタン、

(今日からこの家にお祀りすることにしました。)

ドゥーリン ウマウトゥーティー、ククルヤスラカニ ムナンジュラスァ マチラチ、ウタビミスーリー ウートゥートゥー。

(どうぞこの家で心穏やかに、無事にお祀りできますように。)」

ヒヌカンへのヒラウコー(平たい線香)はタヒラ半の、二枚と半分、日本線香であれば12本と3本です。

お仏壇への拝み

ヒヌカンへの拝みを終えたら、続いてお仏壇へと移ります。
お仏壇へ拝するヒラウコーはタヒラのみ(二枚のみ)です。

御願に集まる家族はそれぞれ半分(日本線香半分)で大丈夫です。

お仏壇でのグイスは下記です。

「ウートゥートゥー、〇〇サン チューカラ クマヌ チネーサンムトゥウトゥーティー ウマチィリ スルクトゥンカイ ネイビタン。

(あな尊き御先祖様、〇〇さんを今日からこの家でお祭りすることになりました。)

イルイル チガカイナクトゥン アランディウムヤビィシガー、

(いろいろ気掛かりなこともあるかもしれませんが、)

ドゥーリン クマウトゥーティ、ククルヤスラカニ ムナンジュラスァ、マチラチ ウタビミスーリー ウートゥートゥ

(どうぞこの家で、心穏やかに無難に祀ることができますように。)」

このグイスの後半はヒヌカンへの拝みとほぼ同じです。
一時的に沖縄で遺骨を祀る場合には、「なるべく早くお墓を建てますので、しばらく宜しくお願いします。」と伝えましょう。

ウチカビ

ヒヌカンとお仏壇への拝みを終えると、年中行事や他の行事と同じようにウチカビを焚きます。

定番の「カビバーチ」と呼ばれる金属ボウルに焚くのが良いでしょう。

その流れとしては、

①施主が5枚、集まった家族親族はそれぞれ3枚を目安にウチカビ焚いてください。
終わるとお酒を掛けて終えます。

②続いて重箱からおかずを数品取り出し、ひっくり返してお重の上に乗せます。
これを「ウハチ(お初)」といいます。

③ひっくり返したウハチから少しよけ、ウチカビを焚いたカビバーチに入れましょう。

④全ての拝みが終わったら、ウサンデー(お供え物を下げること)をし、家族もいただいて、一連の御願は終了です。

ただこれらは基本的な流れであって、家々によってさまざまな流れがあります。

ウハチを出す時には「ウハチデービル(ウハチです)」と言いながら、お出ししてください。

お供えするもの

最後にお供え物です。

自宅に遺骨を持ち帰るのは、その昔はお墓が建つまでの一時的なものでした。
そのため、後飾りに遺骨を祀りお供え物をします。

持ち帰った時の御願では、重箱料理のウサンミを供えてください。

お供え物一覧は、

①ヒラウコー

②ウサンミをチュクン(二セットの意味合い。もち重二段・おかず重二段を用意します。)

③ウチカビ

④祭壇の左右には供え花・お茶・お水をお供えし、中央には盃に注いだお酒を用意します。

⑤お盆にバナナやもも・みかんを乗せた果物の盛り合わせ

です。

重箱料理は、沖縄では弔事用と慶事用がありますので、弔事の習わしに準じてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は手元供養の場合の御願にやり方についてお伝えしました。

この拝み方は本来、お墓のない家で一時期自宅に祀る場合の拝みでしたが、今では手元供養の拝みとしても行われています。

昔からの名残で葬儀後に遺骨を家に持って帰るのはご法度とされていますが、一番大事なのは故人を想って丁寧に供養することです。

手元供養を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

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