ひとくちに葬儀を終えてから「納骨」と言っても、そのパターンは様々あります。
故人や遺族の思いや、信仰している宗教の違いなどによってそれぞれに合わせた納骨の方法を取ることができます。葬式の方法が多様化しているように、納骨の方法も多様化してきています。
様々な思想や価値観を持った人たちが共存する現代において、故人や遺族の気持ちは尊重しながらできる限り希望に沿った納骨の方法を選択しようという思いは誰にでもあると思います。
特に、身近な人が亡くなった時には故人を感じる「納骨」にこだわりを持ちたいという方も少なくはありません。
そこで今回は、一般的な納骨の他に考えられる「手元葬」や「分骨」といった納骨のパターンについてお話していきます。
「亡くなった後も故人を身近に感じたい」という思いが強い方は、選択肢の1つとしてこういた方法を取る方が増えてきています。
目次
遺骨や遺灰を身近に置いておく手元葬
本来、納骨は遅くても一周忌の頃までには終わらせるというのが通例でした。納骨をせずにそのまま遺骨を置いておくということに抵抗を感じている方も少なくはないでしょう。
しかし現在では納骨の形式も多様化しており、自宅で供養するという方も増えてきています。自宅で供養するパターンには大きく分けて2つの方法が考えられます。
1つは遺骨などを全て自宅で管理をするという方法。もう1つは墓地へ納骨した上で遺骨の一部を自宅で保管するという方法です。お墓などに納骨はせずに自宅など身近なところに遺骨を置いて供養することを「手元葬」と言ったりします。
遺骨を保管すると「成仏できないのではないか?」と思われるかもしれません。
ですが、仏教では「分骨」という風習があり、宗派の大本山へ遺骨を納めるということが行われいます。ですので遺骨を保管しておくことには特に問題はないという考え方もあります。
手元供養のメリット
1.身近に供養ができる
お墓や寺院などで供養していると、遠方の場合は出向くことも難しくなってきます。ですが、自宅などで手元供養すると場所は特に気にすることなく供養することが可能になります。
2.故人を身近に感じられる
遺骨や遺灰を自宅で管理していると、故人がいつも近くにいるような気分になります。中にはお墓が遠方にあったり、「一人でお墓に入れるのは可哀想」などといった意見から、手元葬(手元供養)を選択される方もいらっしゃいます。
3.費用を抑えることができる
お墓をゼロから建てるとなると100万円程度のお金がかかりますが、手元供養は必須の物品がないので、やり方によっては費用をかなり抑えることができます。
骨壺や納骨型のペンダントなどを使用した場合でも、一般的な相場では2万円〜5万円くらいの価格帯とされています。
一部を納骨し、一部を手元に置いておく「分骨」
では、遺骨の一部をお墓に納骨して、一部を手元供養する分骨はどうか。
分骨を行うにはあらかじめ骨壺を準備しておく必要があります。その時に「分骨証明書」をもらっておくと手続きもスムーズに行えるでしょう。
気になるポイントとして「法律的に問題ないのか」という疑問を抱く方も多いですが、法理的には全く問題はありません。
ただし、すでに埋葬されている遺骨を分骨したい場合には、お墓を管理している管理業者に連絡して書類の提出が必要となります。その場合、基本的に管理者側も分骨に必要な書類を渡しましょうという取り決めがされています。
分骨を行うメリット
1.常に身近に感じられる
手元葬であげたメリットと重なる部分もありますが、一部を納骨した上で、とはいえやはり身近にも置いておきたいという時に分骨という選択肢を取ることができます。
例えば、遺骨や遺灰が収納できるタイプのアクセサリーで身につけておくこともできますし、自宅などに置くオブジェクトなどで供養するということもできます。
こういった方法を取る多くの方は「故人を身近に感じたい」という思いがあるようです。
2.親族間で遺骨を分ける
あまり多いケースではなりませんが、中には「遺族間で遺骨を分けたい」と希望される方もいます。その場合は手続きを行った上で、親族間同士で遺骨を分けることも可能です。
3.海洋散骨・故郷での埋葬
近年では生前に「遺骨は海に撒いて欲しい」と希望される方が増えてきました。ですが、遺骨を一度海に撒いてしまうと後でやり直しが聞かないので、一部の遺骨だけを海などの自然に散骨するという方法を取ることも可能です。
また、最後は生まれ育った故郷に納骨したいという思いを持った方もいらっしゃいます。そういった場合には分骨して一部だけを故郷で納骨するということも可能です。
人間は最後には必ず誰しもが「死」に直面するわけですが、とはいえなかなか悲しみが受け入れられないこともしばしばです。
ですが、納骨についての色んなパターンを知っておくことでそういった悲しみとしっかり向き合う上で役に立つこともあります。
特に現代では遺族が自由に選べる時代でもあります。
様々な納骨のパターンを知った上でそれぞれが納得いく形で納骨することができれば、そういった悲しみとも向き合うことができるのではないでしょうか。