オレオレ詐欺や還付金詐欺をはじめとした振り込め詐欺など、いわゆる「特殊詐欺」による被害は依然として頻繁に発生しています。
ニュースでもたびたび取り上げられ、警察や金融機関による周知がされているにも関わらず、被害件数が少なくなったとはいえない状況です。
高齢者が詐欺に遭いやすい理由や典型的な手口、対策方法などについて解説するので参考にしてください
オレオレ詐欺や還付金詐欺をはじめとした振り込め詐欺など、いわゆる「特殊詐欺」による被害は依然として頻繁に発生しています。
ニュースでもたびたび取り上げられ、警察や金融機関による周知がされているにも関わらず、被害件数が少なくなったとはいえない状況です。
高齢者が詐欺に遭いやすい理由や典型的な手口、対策方法などについて解説するので参考にしてください
目次
高齢者をターゲットにした特殊詐欺の被害件数と傾向
高齢者をターゲットにした特殊詐欺はなかなか減らず、たびたびニュースでも取り上げられています。
警察庁の資料「特殊詐欺認知・検挙状況等について」で実際の件数データを確認してみましょう。
2010年の特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺など)の認知件数は6,888件(被害額112億5,000万円)でしたが、2017年には18,212件(被害額394億7,000万円)まで激増しました。
それ以降は、件数自体、やや減少に転じているものの、2022年での認知件数は17,570件、被害額は370億8,000万円と、まだまだ被害の規模は大きなままです。
ニュースなどで周知されたことや、警察、金融機関の対策もあり近年は減少傾向でしたが、2022年は昨年比で認知件数が21.2%増、被害額が31.5%増と大幅に増加。被害額の増加は8年ぶりとなりました。
特殊詐欺の手口別 認知件数・被害金額
特殊詐欺の手口はオレオレ詐欺や預貯金詐欺などさまざまです。
ここでは特殊詐欺の手口別に、2021年と2022年の変化を表にまとめました。
2021年2022年オレオレ詐欺3,085件4,287件(+39%)預貯金詐欺2,431件2,363件(-2.8%)架空料金請求詐欺2,117件2,922件(+38%)還付金詐欺4,004件4,679件(+16.9%)キャッシュカード詐欺盗2,602件3,074件(+18.1%)上記以外259件245件合計14,498件1,7570件(+21.2%)
2021年2022年オレオレ詐欺90億6千円129億3千円(+42.7%)預貯金詐欺30億6千円28億9千円(-5.5%)架空料金請求詐欺68億1千円101億8千円(+49.5%)還付金詐欺45億2千円53億7千円(+18.8%)キャッシュカード詐欺盗39億5千円46億9千円(+18.7%)上記以外8億1千円10億3千円合計282億円370億8千円(+31.5%)
被害額としては、依然としてオレオレ詐欺がもっとも多く129億3,000万円(前年比42.7%)、次いで架空料金請求詐欺で101億8,000万円(前年比49.5%)と、特殊詐欺の手口のなかでも大きな割合を占めています。
マイナスになったのは預貯金詐欺のみという結果でした。
特殊詐欺の交付形態別にみる認知件数
2022年における被害金の交付形態別では、振込型の件数が圧倒的で6,058件です。2位は現金手交型で3,981件、3位はキャッシュカード窃取型で3,074件、4位はキャッシュカード手交型で2,671件となっています。
また、2013年と比較して大幅に増えた交付形態はキャッシュカード手交型・窃取型、電子マネー型です。
現金手交型や現金送付型は減少し、振込型は一時下がったものの2021年から再び上昇しています。
警戒心を強くして日々気をつけるようにするわ。
なぜ高齢者が被害に遭いやすい?
先程の警察庁の資料によると、特殊詐欺の被害者の実に86.6%は65歳以上の高齢者でした(主にオレオレ詐欺など)。
警察庁による資料「オレオレ詐欺被害者等調査の概要について」(2018年)によると、被害者のうち「自分は被害に遭わないと思っていた」「どちらかといえば遭わないと思っていた」と答えた人は95.2%。
ほぼすべての被害者は「自分は詐欺には遭わない」との自信があったと答えているのです。
なんで高齢者が狙い撃ちにされちゃうのかな?
では、なぜそんな人たちが引っかかってしまうのでしょうか。
その手掛かりとなるのが、被害者の57%が「家族の声やウソを見抜けると思っていた」と回答していることです。
オレオレ詐欺などでウソを見やぶった人のうち、53%は「家族の声と違っていたから」と答えています。
「家族の声を正確に聞き分けられること」はきわめて有効な詐欺対策といえるでしょう。
ところが、人間の認知機能は50歳ごろから低下するとされているため、やはり高齢になるほど判断能力や声の認識能力に不安が残ります。
声の聞き取りだけでなく、銀行員や警察官、デパートの店員など、詐欺グループはさまざまな職業や役割を装って電話をかけてくるため、これをすぐに見破るのは大変です。
最新の情報やITリテラシーの面で遅れを取りがちなのも、高齢者が詐欺師のターゲットになりやすい要因のひとつといえます。
認知症などで介護が必要な高齢者、一人暮らしの高齢者なども注意が必要でしょう。
先程の警察庁の資料によると、特殊詐欺の被害者の実に86.6%は65歳以上の高齢者でした(主にオレオレ詐欺など)。
警察庁による資料「オレオレ詐欺被害者等調査の概要について」(2018年)によると、被害者のうち「自分は被害に遭わないと思っていた」「どちらかといえば遭わないと思っていた」と答えた人は95.2%。
ほぼすべての被害者は「自分は詐欺には遭わない」との自信があったと答えているのです。
では、なぜそんな人たちが引っかかってしまうのでしょうか。
その手掛かりとなるのが、被害者の57%が「家族の声やウソを見抜けると思っていた」と回答していることです。
オレオレ詐欺などでウソを見やぶった人のうち、53%は「家族の声と違っていたから」と答えています。
「家族の声を正確に聞き分けられること」はきわめて有効な詐欺対策といえるでしょう。
ところが、人間の認知機能は50歳ごろから低下するとされているため、やはり高齢になるほど判断能力や声の認識能力に不安が残ります。
声の聞き取りだけでなく、銀行員や警察官、デパートの店員など、詐欺グループはさまざまな職業や役割を装って電話をかけてくるため、これをすぐに見破るのは大変です。
最新の情報やITリテラシーの面で遅れを取りがちなのも、高齢者が詐欺師のターゲットになりやすい要因のひとつといえます。
認知症などで介護が必要な高齢者、一人暮らしの高齢者なども注意が必要でしょう。
高齢者を狙う詐欺の「典型的な手口」を知っておこう
特殊詐欺のかたちやツールが変わっても基本となる手口は同じなため、あらかじめその中身を知っておけば被害を防止しやすくなります。ここでは、代表的な手口と対策について解説します。
オレオレ詐欺
特殊詐欺の代表的な手口です。離れて暮らしている息子などのフリをして、「トラブルに巻き込まれてしまったので金が必要だ」などと電話をかけてきます。
たいてい知らない番号からかけてくるため、「携帯電話の番号が変わった」といった言い訳をするのが定番です。
「銀行で振り込みして」「代理の人間が受け取りにいく」などと言われた場合には、オレオレ詐欺だと思ったほうが妥当でしょう。
少しでも変だと思った場合は、かけてきた相手ではなく、知っている家族の番号にかけ直すなどしてください。
架空料金請求詐欺
心当たりのない買い物商品やサービスの利用をかたって、一方的に料金を請求してくるタイプの詐欺です。
よくわからないサイトや商品の請求はもちろん、他人に相談しにくいアダルトサイトの利用などを口実に料金請求してくることもあります。
こうした架空請求詐欺の特徴は、以下のようなものが典型的です。
サイト名の記載がない(あいまい)
利用した日付、時間などの記述がない
明確な料金内訳がない
身辺調査、裁判の開始、会社へ請求するなど、料金請求以外の文言がある
このような不審な点があれば、ほぼ架空料金請求詐欺と判断できます。
また、「宅配便で現金を送金してほしい」、「コンビニで電子マネーを購入して」などと一方的に言ってくるようなパターンも横行しているため、こうした手口にも注意してください。
この場合も、ほぼ100%詐欺です。
還付金詐欺
役所の職員などを名乗り、「医療費や年金、税金などの還付金がありますので、手続きをしてください」と電話や通知をしてくるタイプの詐欺です。
「手続きが本日中となっているので、ATMで急いで手続きをしてください」などと言ってきます。
コンビニやスーパーなどのATMに誘導され、犯人の指示通りに操作すると、もらえるのではなく相手にお金を振り込んでしまうのです。
また、「手続きをするには、先に手数料の振り込みが必要です」などといったタイプもあります。
被害者をATMに向かわせたあとに、自分から電話をかけさせ「操作をミスすると手続きできなくなるので、こちらの指示に従ってください」といったプレッシャーをかけてきます。
巧妙な誘導によって、詐欺師の用意した口座番号に振り込むように操作させてしまう流れです。
こう説明すると、そんな手に引っかかるのかと不思議に思いますが、手口がかなりマニュアル化されているうえ、機械操作に不慣れな高齢者にターゲットを特化していることにより、被害者が出てしまっています。
ただ、その対策方法はとても単純です。「公的機関はATMの操作指示をすることはない」、これを知っておけば被害を防げます。
「還付金の手続きがありますので、携帯電話を持って○○のATMへ行ってください」などと言ってきた場合は100%アウトです。
預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺盗
預貯金詐欺は、「払い戻し金があるのでキャッシュカードの変更が必要だ」などを理由として、キャッシュカードをだまし取る手口です。
暗証番号を聞き出し、自宅まで直接キャッシュカードを取りに行きます。
自治体職員のフリをするほか、「お客様名義のキャッシュカードが使用されています」などとデパートの職員を名乗ることもあります。
また、キャッシュカード詐欺盗は、被害が増加傾向にある詐欺の手口です。
まずは「口座が不正に利用されているので手続きをしたい」などと電話をかけ、嘘の説明をしたのちに銀行職員などを装った詐欺師が自宅までキャッシュカードを確認しに来ます。
封筒などにキャッシュカードを入れさせ、本人が目を離した隙に偽物のカードと交換して、犯人はまんまとキャッシュカードを手に入れるのです。
キャッシュカードの入った封筒は本人が保管するものの、割印などをして「開けないように」と言われるので、すり替わったことに気付きにくい巧妙な手口といえます。
自治体や銀行の職員がキャッシュカードを取りに行ったり暗証番号を聞いたりすることはありません。また、封筒にキャッシュカードを入れるよう促すこともありません。
もしそのようなアプローチがあったら、それは詐欺といえるでしょう。
高齢者を詐欺被害から守る3つの対策
詐欺被害に遭った人のうち75%が「誰にも相談しなかった」という警察庁の調査結果があります。
家族と連携する
逆に、被害阻止に至ったケースのうち、家族が阻止したケースでは76%の人が家族に相談しており、自分で詐欺に気づいた人の60%も「自分以外の誰かに相談している」のです。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺は、家族との信頼関係、共有情報の豊富さによって多くのケースを防ぐことが可能です。
詐欺被害を防ぐためには、日頃からの家族との会話が欠かせません。
典型的な詐欺の手口を覚えておく
特殊詐欺はある程度パターンが決まっています。
「公的機関がATMに誘導することはない」「相手の連絡先が不明瞭」「現金を宅配便で送れと言ってくる」といったように、瞬時に詐欺だと判断できるケースも多い傾向です。
ただ、年々その手口は、巧妙、複雑化しています。
常に特殊詐欺の最新情報を調べ、手口を知っておくことも有効です。
また、さまざまな手口がありますが、公的機関の職員を名乗る詐欺は増加傾向にあります。くれぐれも注意しておきましょう。
電話機を交換する
特殊詐欺の多くは電話をかけてくるところから始まります。
そのため、知らない番号には出ない、怪しい電話は録音するなどの対策が有効です。
電話番号の表示ができ、録音機能のある電話に交換するとよいでしょう。また詐欺を防ぐ目的の電話機も販売されています。
そのような電話機に交換しておくだけでも安心です。
あとは電話機の交換と最新情報のチェックね。
「詐欺かも?」「詐欺に遭った!」どこに相談すればいい?
特に一人暮らしや相談できる身近な人がいない高齢者は、相談窓口の連絡先をメモしておくといいいね!
「被害に遭ってしまった」「不審な場面に遭遇した」という場合は、警察や公的機関の設置している電話相談ホットラインに相談してください。
詐欺師たちは、考える時間を与えないようにプレッシャーをかけてきますが、ひとまず立ち止まって第3者へ相談してみることも効果的な対策です。
「詐欺に遭ったかもしれない」という場合も、警察への迅速な相談で対応を考えることができます。
主な相談窓口は、以下です。
消費者ホットライン:188(局番なし)
または各地の消費生活センター
・警察の相談ホットライン:#9110
詐欺被害に遭った場合は、「相手方の情報」「具体的な被害金額」「被害に遭った経緯と日時」などを整理したうえで相談しましょう。
相手側から送られてきた情報や通話内容などの「証拠」も、可能な限り用意しておくと警察などが対応しやすくなります。
まとめ
高齢者をターゲットにした特殊詐欺は、パターンがある程度決まっています。そのため、「どんな手口があるのか」を押さえておくだけでも、多くの被害を防ぐことが可能です。
万が一怪しい場面に遭遇した場合でも、あわてて言われた手続きを進めるのではなく、家族に相談したり、相談機関に電話をかけてみたりすることが大切になります。
くれぐれも「自分だけは大丈夫」と油断しないようにしましょう。
<参考>
警視庁・SOS47 特殊詐欺対策ページ(警察庁)
特殊詐欺認知・検挙状況等について(警察庁)
オレオレ詐欺被害者等調査の概要について(警察庁)
著者:かぼじん
行政書士、WEBライター
行政書士としてデイサービス施設の開業支援などにもたずさわるかたわら、父親がくも膜下出血で倒れたことをきっかけに、そのリハビリや介護などを経験。現在は、90歳を超えた祖母の見守りなどで、日々いろいろな介護支援のサービス、アプリなどを実践中。また宅地建物取引士資格を持ち、大手不動産メディアなどで不動産にまつわる情報をさまざまな角度から解説している。ライターとしては、スモールビジネスや介護関係、不動産投資の記事を中心に執筆活動中。
https://www.heartpage.jp/contents/magazine/08-00527
ネットより転用しました。