セカンドオピニオンは誰でも受けていい?
コロナ禍を経てわれわれ患者も気づいたことがあります。それは「医師によって意見が違うこと」。
たとえ診断結果に疑問を持ったとしても「医師の言うことだから」と盲目的に信じてしまう人もいるでしょう。
では、どのタイミングでセカンドオピニオンを考えるべきなのでしょうか?
日本で初めてセカンドオピニオンを行い、啓蒙活動を行ってきた新見正則医師は「セカンドオピニオンの回数に制限はないので、心配なことがあるなら基本的に受けた方がよい」と言います。
「私が日本でセカンドオピニオンを啓蒙したきっかけは、留学時代に英国でセカンドオピニオンが当たり前だということを目の当たりにしたからです。
1990年代後半の日本はまだ主治医主義で、『医師の言うことは聞くもの』でした。
そこから25年かけてセカンドオピニオンを啓蒙してきました。その甲斐あって、今でこそセカンドオピニオンは普及しましたが、それでもまだ自費診療で1~5万円の費用がかかります。
セカンドオピニオンの意思を医師に伝えると、『私が出した診断を信じないのか』と担当医が嫌な気持ちになるのではないかと心配する患者さんもいると思います。
しかし、最近ではセカンドオピニオンは十分認識されています。
むしろ、セカンドオピニオンを行わない病院、または受けたい患者さんに受けさせないような病院は信用しなくてよいでしょう。
心配なことがあるなら、その時点でセカンドオピニオンを受けるべきです。
また、担当医との相性も治療を続けるための大切な要素になってきます。診断結果だけでなく、『この先生になら任せられる』そんなマッチングもあると思います。
最初の病院とセカンドオピニオン先の意見が同じであれば『間違っていなかったんだ』と思えます。
異なれば納得できる方を信用するか、もう一つ別の病院を検討してもよいでしょう。
セカンドオピニオンは納得いくまで何度受けてもよいですから」
「治療+αが大切」新見医師の新たな取り組み
「私のクリニックでは、セカンドオピニオンの患者さんが来院することもありますし、
現在進行中のがん治療にプラスしてできることを行うこともあります。
患者さんのお話をじっくり聞き、要望に合わせて、たとえば抗がんエビデンスのある
漢方『フアイア』の処方などを行っています。
『エビデンスのないことでも、からだに良さそうなことは積み重ねればいい』というのが私の考えです。
疾患のことばかり考えると疲れますから、森林浴やたき火のシチュエーションで
リラックスする新たな試みも行っています。
治療は患者さん自身が納得して行っていることが何より大切です。
そのためには、セカンドオピニオンを積極的に受けていいし、エビデンスは低くても”気持ちが良いと思うこと”を積み重ねていきましょう」
教えてくれたのは…新見正則先生
オックスフォード大学医学博士。「外科医x免疫学者x漢方医」というレアな医師として活躍中。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。院長を務める新見正則医院では、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアを基本処方にして漢方薬を加えて、各種のがん疾患や難病・難症に対応。著書『フローチャートコロナ後遺症漢方薬』(新興医学出版社)はAmazonでベストセラーに。