高齢者の転倒を防ぐために,バリアフリーについて考える

高齢者にとって家の中での大きなリスクとは

不慮の事故に遭遇する可能性は誰にでもありますが、高齢者にとって入院など重篤なケースに発展しやすいのが転倒による事故です。

高齢者が転倒すると骨折や頭部打撲など大きなケガになりやすく、これが原因で寝たきりの状態や死を招くこともあります。

また、高齢者の転倒事故は自宅内で起きることが多く、2020年の消費者庁の報告によると、過去5年で、自宅で転倒した65歳以上の人のおよそ半数が入院もしくは通院が必要な状態となっています。

これは、特に一人暮らしの方にとっては非常に大きなリスクといえないでしょうか?

高齢者の転倒事故を防ぐためには、どこでどのように転倒するのがわかった上で対策をすることが大切です。

そこで考えたいのが自宅のバリアフリー化です。

加えて、事故が起きた際の対処の仕方や迅速な対処のために見守りについても知っておきましょう。

 転倒事故の発生しやすい家庭ないの場所とは?

消費者庁の発表では、高齢者の転倒事故が最も多く発生する場所は第一位⇒自宅で48%を占めています。

次いで多いのが第二位⇒一般道路の23%ですから、ある意味、高齢者にとって自宅は最も危険性が高い場所といえます。

自宅内のどのような場所で転倒事故が起きているのか、発生件数の多い順にみると、次のようになります。

①浴室、脱衣室
②庭、駐車場
③ふとん、ベッド
④玄関、勝手口などの出入口
⑤階段
⑥トイレ

住み慣れた家でなぜ事故に会うのか疑問に思えますが、その理由として考えられるのが、加齢による体力や運動機能の低下、体型の変化などです。

加齢による変化は徐々に進みます。

そのため、自分でも気づかないうちに筋力が衰え、少しバランスを崩しただけで体を支えられない、ちょっとした段差を越えようとしても足が思うように上がらない、といったことで転倒することがあります。

つまり、普通に歳をとるうちに住み慣れた家で事故に会う危険性が高まっていくということです。
家の中の転倒しやすい場所をみると、段差があったり、立ち上がりの動作をするような場所であることがわかります。

このような場所で転倒したときの状況や原因としては、すべる、ぐらつく、何かに引っかかるといったことが多いようです。

 危険の転倒の原因を取り除き事故を事前に防ぐ為に

宅内での転倒事故を防ぐためには、転倒しやすいとされる場所とその原因になるもの(バリア)を取りのぞいていきましょう。

いわば、バリアフリー化ですが、大がかりなバリアフリーリフォームをしなくても、以下を参考に問題となる箇所ごとに適切な対策をしていけば家の中の安全性は向上します。

<浴室、脱衣室、トイレ>
・浴室の床や浴槽の底には滑り止めマットを敷く、または滑り止めシートを貼る
・浴室の出入口、浴槽のまたぎ越し付近の壁に縦手すりを設置する。

浴槽の壁ぎわには浴槽の底で滑った際につかまるための横手すりを設置、L字型手すりなら、縦手すりと兼用できる
・浴室やトイレ、脱衣室で使用するスリッパやサンダルなどは滑りにくく、脱げにくいものにする
・トイレでは、便器の横の壁に縦手すり、またはL字型手すりを設置する。

スペースが狭い場合は折りたたみ式手すりの選択肢も

<ふとん、ベッド>
・ふとんの場合はふとん用の立ち上がり補助手すりを使用する、もしくはサイドレールつきベッドの使用を検討する
・ベッドにはサイドレール(手すり)を設置する
・寝室からトイレまでの廊下などは滑りにくい床材にし、歩行に不安があれば壁に横手すりを設置する

<玄関、勝手口、庭、駐車場などへの出入口>
・出入口などの段差がある場所の付近の壁に縦手すりを設置する。

また、段差を小さくするために踏み台を置く。手すりつきの踏み台もおすすめ

<階段>
・手すりを設置し、ステップの先端に滑り止めをつける。蛍光や蓄光タイプの滑り止めや足元用のランプの設置もおすすめ

こうした対策を一人暮らしの高齢者が自分で行うのはむずかしいものです。

日ごろから離れて暮らす家族と自宅のどこに不安があり、どんな対策が必要か相談しておき、帰省のときなどに実際に確認し、リフォーム業者に相談したり、必要なものを購入するといった手順でバリアフリー化を進めてはいかがでしょうか。

転倒時の対処で重要なポイントとは?

転倒予防の対策に加え、転倒してしまったときの対処法も知っておきましょう。

まず、転倒してもすぐに起こそうとしてはいけません。

意識があるか声をかけて確認します。

意識があれば、転倒した姿勢のまま、話しかけるなどして気持ちを落ち着かせるようにし、転んだときの状況や痛むところがないか、ていねいにゆっくりと聞き取りましょう。

意識がはっきりし特に痛みなどもなければ、他の場所に移動してもいいですが、意識がない、もうろうとしている、痛くて起き上がれない、少し動かしてもひどく痛むといった場合は動かさないようして、救急に通報するなどし、すぐに受診することが必要です。

もし、頭を打った場合、転倒直後は異常がなさそうでも数日後に頭痛や嘔吐、意識を失うなどの症状が出ることもあります。

そのような場合もすぐに受診しましょう。    

バリアフリー化に更にプラスすると安心なもの

このように転倒したときには、まず周囲の人が迅速かつ適切に対応することが必要ですが、一人暮らしの場合にはどうすればいいのでしょう?

そこで、利用をおすすめしたいのが、人感などの複合センサーを使った見守りシステム「いまイルモ」です。

「いまイルモ」は、オプション端末を使えば家中のあらゆる危険個所に設置する事ができます。

トイレや浴室など、転倒事故が起きやすい場所に端末を設置しておけば、離れていても、一定時間人の動きがないなど知ることができ、迅速な対応につながります。

自宅のバリアフリー化に見守りシステムをプラスして、高齢者の自宅をより安全で安心な環境にしていきましょう。

安否確認LABOシニアの暮らしと介護と見守りより引用

次回は、高齢者の転倒にはこうして対応、原因と対策を科学的に検討について

終活に関する記事はこちらをご覧ください。

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