空き家なのに実家の片付けが進まない?どうすればいいですか?

テーマ・空き家なのに実家の片付けが進まない?

50代からの女性のための人生相談」は、専門家が読者のお悩みに答えるQ&A連載のシリーズです。

今回は、生活研究家活アドバイザーの阿部絢子さんが⇒消費生59歳女性の「実家片付け」についてのお悩みに、が回答します。

「生前整理の一環として物を減らしたい」けれど、実際に何から手を付ければいいのかわからないというお悩みの声をよく聞きます。

59歳女性 「実家の整理」についての人生相談について

昨年、姑が介護施設に入りましたが、空き家になった実家のものを捨てることができません。

主人は「母が死んでからでいいだろう」と言っています。

義母は認知症の症状があるものの、特に悪いところもなく10年は元気でいると思います。

私たちも年をとるわけで、そのとき片付ける元気があるかわからないのに聞く耳を持ってくれません。

義母は現在じゃ、新型コロナ感染症拡大の影響もあり、施設外に出ることができないし、認知症の症状も出てきて本人は帰りたいとも言っていません。

義母が今後家に帰る可能性は少ないと思うのですが、主人と主人の弟は同じような感じで、嫁同士は片付けたい(生前にある程度捨てたい)と思っていて、現実は意見のすれ違いの状態です。

実家の片付けの上手な進め方を教えてください。(59歳女性)

阿部先生解答⇒「生前整理・遺品整理の考えは最近の習慣」

住み慣れた、実家の片付けは大変に難しい問題です。

それも、ご相談者の場合、特に夫の実家なので特に大変かと思います。

相談者の方以外にも多くの人が、実家の片付けについて、心配したり苦労したり悩んだりなさっているのが実情です。

きっとみなさん「親(舅姑も含めて)の生きてきた道をどう残すか」ということに、苦慮されているのだと思います。

実際、私の実家の場合も、曾祖母の代から4世代が暮らした家に、膨大なモノが残されていました。

当主となった父も、目先の片付けはしたものの、押し入れの古いモノは手付かずで、後をどうすればいいのかも、言い残さずじまい。

跡を引き継いだ母も、嫁いだ家の片付けのことなど一切考えず、日々の暮らしに専念するばかりでした。

前の世代(曾祖母や祖父・明治生まれ)が必要だったモノは、後の世代(両親・大正生まれ)には不要なモノも多かったわけですが、両親は生きることに精いっぱいで、片付けなど考えも及ばなかった。当時はそういう時代だったのです。

言い換えると遺品整理生前整理終活片付けなど「モノを取捨選択しながら暮らす」という考えは、高度成長期以後に生まれた暮らし方です。

私たちの世代(戦後の昭和生まれ)が、両親や先輩たちが残した負の遺産を見て「これではいけない」と取り入れたことなのです。

生前整理・遺品整理か?実家の片付けの方法は慎重に

でも、同じ世代生まれであっても、まだまだ片付けの重要性を理解していない方も多いのではないでしょうか。

特に、姑にこうした思考がなかったのなら、息子であるご主人は、実家を片付けようとは夢にも考えてはいないはずです。

嫁である立場、そしてご自身の年齢などを思うと「体力のある今、すぐにでも実家を片付けたい」という思いは強いでしょう。しかし、ここは考え時です。

あなたが「考え方を変えてほしい」と願っても、親からその大切さを教えてもらえなかった子ども(ご主人や義弟)は「モノを取捨選択しながら暮らす」という考えをそう簡単に持てるものではありません。

今は手を付けない方向で、亡くなった後の片付けをスムーズに進める方法を相談してはいかがでしょうか。

ただし、年齢を重ねてからの片付けは、経済的負担が必要となることを、しっかりと説明しておきましょう。

ちなみに、我が実家の場合は、母の生存中に母の了解を得て、半分片付けました。

そして、愛するお母さまが亡くなった後、本格的な片付けをしました。

その際の費用はおよそ30万円でした(新潟市でのこと)。

事前にこの費用を想定しておいて、母が残してくれた年金などで賄いました。

つまり、亡くなった後の片付けの始末=母が作業費を支払う形を取ったということです。

もちろん、話し合いの上、すぐに片付けに取り掛かれるのであれば、それに越したことはありません。

ご主人やご兄弟、その嫁同士で話し合った上で双方が納得できるのであれば、こうした方法も一つです。

 ご健在に本人に残すものの希望を確認しておくことが大切!

いずれのケースの場合も、実家に残すモノを決断するのは、残される側=子どもたちの責任とも言えます。

それが「親の生きてきた足跡をどう残すか」ということ。

これはご主人の役割になると思うので、元気なうちにお母さまに聞いておくことをおすすめします。

残す遺品の商品さえわかれば、その他の商品を片付けやすくなります。

生前に残すモノを確認しておくことで、いざお母さまが旅立たれたときにも、実家のモノはもちろん、残された人の気持ちも整理しやすくなるのではないでしょうか。

あべ・あやこ 生活研究家・消費生活アドバイザー。家事全般や食品の安全性の専門家として活躍。薬剤師の資格を持ち、今も現役で働いている。

構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)より記事を転用しました。

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